《初心者がVRMMOをやります(仮)》アクセサリー職人、カナリアです

學校をでる前に、玖は一度ジャッジにメールを送る。「今日は行ける」とか、「何時からログイン予定」とか、「今日は無理」の三種類がデフォと化している。それに対してジャッジも簡潔に返してくれる。

現実で玖とジャッジを繋いでいるのはこの古ぼけた攜帯と、それでやり取りされる短い文面だけなのだ。

母親は夜勤。父親は出張。珍しく二人ともいない日だ。

最近、母親のきがしばかりおかしい。玖の部屋を何度か覗いているようだ。

ゲームのこともばれたのかと、勘ぐってしまう。

ばれたらばれた時。そう開き直った玖は、いつものようにゲームにログインした。

今日は珍しく、ジャッジが遅いらしい。だから、細工職人となめし職人のところに行って、しばかり習う。

ウォールベアの骨で作るアクセサリーは、だいぶ上手く彫れるようになった。最近はジャッジに坑道に連れて行ってもらい、鉱石系採掘したりしている。採取した鉱石をアクセサリーに出來るようにもなったし、皮の加工も上手くなった。

最近では、アクセサリー製作に、ギルドを通じて名指しでの依頼も來るようになった。

全部、ジャッジや、この町にいる人たちのおかげだと思っている。

「もう、俺の教えることはない」

細工職人の師匠にそんなことを言われた。

だから、その日ジャッジに「お禮」としてウォールベアの骨と最初に採掘した鉱石で、ピアスを作る。

この石を見つけたとき、カナリアはジャッジに似合うと思った。

そして、向けのアクセサリーを作っていたものの、なかなか売れずにいたときにジャッジがしばかりアドバイスをしてくれた。そのアドバイスを取りれると、倍以上売れるようになり、スキルの上がりもそれまでよりも凄いことになった。

気がついたら細工師のスキルはかなり上がっており、「魔法攻撃UP」や「MPUP」などの追加補助までつくようになっていた。

カナリアは知らなかったのだが、「TabTapS!」のユーザーは他のゲームに比べると圧倒的にない。だから細工師やアクセサリー職人といった人なかったのだ。

そして、ならではの細かい模様。それをAIにつけたいと思う者は多い。だが、AIはあくまでソロでやるときの補助要因という立ち位置が変わらないため、追加補助をするのだ。

スキルUPさせ、追加補助がつくまでは、安価でNPCが「余所行き」でつけるようなものと、高価で男向けのちょっと無骨なデザインのものを作るように、ジャッジが指示した。

それがなかったら、カナリアの作るアクセサリーは自己満足で終わっていただろう。

アクセサリーにエアラビットの皮やウォールベアの皮なども使っているのも、カナリアの作るアクセサリーの特徴になっている。

「できたっ」

作ったアクセサリーは三人分。ジャッジとリース、それからセバスチャンの分だ。

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