カナリアがこれで分かったのは、植繊維が二種類、繊維が三種類という所までだ。

現実世界の「綿」に似た素材は、こちらでは「メンモドキ」というらしい。綿花のように花開き、中の綿わたを取るのだが、開いた瞬間に取るのが一番狀態がいいとの事。それだけなら簡単だが、実はこの「メンモドキ」、花開く時に狀態異常の花を撒くのだ。つまり、いい狀態で収穫するためには「狀態異常」に強くならなくてはならない。採取クエストはそんなにあるわけではないらしい。

現実世界の「麻」に似た素材は、「アサミタイ」という植だ。から繊維がとれ、あまったものは燃料となり、実は薬として使う場合と油として使う場合もあるらしい。このあたりも現実世界と一緒だというが、それ以外が問題なのだ。生育が早く、を切ったり、実を取ったりするとすぐさまそれを補うように長する。その長の早さで他者を串刺しにすることもあるというのが、かなり怖いものだ。

この二つが植繊維だが、これのどこが「植繊維」だと言いたくなっていた。

……が、そのあと聞いた繊維でかなり度肝を抜かれる羽目になった。

「カナリア。……スパイダーシルクのクエストは初期からあったはずだぞ」

途中からってきたジャッジが呆れたように言う。

「……だっ、だって蜘蛛ですよ！？　誰が好んでやりたいと思うんですかっ！！」

そう、繊維の一つはスパイダーシルク。これ自が大まかに分けると二つに分かれる。一つは初心者クエストでもでてくる、比較的大人しいシルクスパイダーを捕らえるか、殺すかして糸を紡ぎだすものだ。もう一つが上級クエストになり、こちらはかなり好戦的なシルクスパイダーだ。上級クエストの方がやはり、品質的にも上だが採取できるLVがかなり上になってきてしまう。安価で手にるほうが、需要も多いのが事実だという。

「よく見ると可いと言っていた知り合いが……」

「そんなこと知りません！　蜘蛛を可いと思えるのが不思議ですっ！！」

ジャッジの言葉にとっさにカナリアは返した。

「マスター。にあのゲテモノを可いと思わせるのは無理です。カナリア嬢、あなたのスキルのためです。我慢してください」

「うううう～～～」

カナリアとしては、確かにシルクに似た素材を使いたい。それでレース編をしたい。。蜘蛛を捕らえに行くのがしばかり辛い。

「ミ・レディ。迷っているところ申し訳ありませんが、他の繊維の話をしたいのですが……」

「あ、お願いします！」

何とか頭を切り替えることに功したカナリアが、次なる繊維の話を聞くことにした。