《初心者がVRMMOをやります(仮)》新しい道筋

それからしばらく、カナリアとジャッジは互いに顔を合わせないサイクルになった。

カナリアは、元々長時間ゲームをするわけではない。その間にLV上げと素材集めをしているのだ。騎乗クエストをけ、それなりに早い駱駝を購した。

この駱駝、かなり便利がいい。山道だろうが砂漠だろうがどこにでも行くのだ。

おかげでカナリアのLVもそれなりにあがってきた。そして、セバスチャンと共にタブレットを見ながら、鉱山の位置を調べていく。クエストついでに素材も取っていく。おかげで「採取」と「鑑定」のスキルもかなりあがってきた。

しかも、鉱脈を見つける率も高くなっているし、以前よりも質のいい素材が取れる。現地調合が増え、「調合」のスキルも順調に上がっている。勿論、モンスターとの遭遇率もあがるため自然と「索敵」のスキルもしずつではあるが上がっている。

「金は川、銀は山の中ですか」

見つけてカナリアは思わず呟いた。

金は粒狀、もしくは砂金の狀態で川底に沈んでいる。銀は山の鉱脈に粘土狀で埋まっているのだ。ちなみに、プラチナは未だに見つけられずにいる。

「……困ったなぁ」

このゲームの世界地図をタブレットで見ながらカナリアが呟いた。現在いるのは、「ソフィル大陸」。そこまで広い大陸ではないが、山脈、森林、大河、砂漠といったいろいろな素材が集まりやすい。ここにある國が「ソフィル王國」と「ガレ連邦共和國」の二つ。ガレ連邦共和國は、ソフィル王國から獨立した國家の集合だとセバスチャンが言っていた。

勿論、ソフィル大陸以外にも大陸が三つあり、島々もかなりある。全部を巡るとなったら大変だ。

「この大陸でそう簡単に見つけられないってことは、別の大陸にある可能もあるってことですよね」

「そうなりますね。さすがに私もそこまでは存じ上げませんので、ジャッジ様に伺うのがよろしいかと思います」

「そっか。この先々加工するんだったらやっぱり鍛冶師の基本と錬金も覚えておかないと難しいかな?」

「ミ・レディはどこを目指していらっしゃるのですか? 「調合」スキルでしたら、現狀のままでもよろしいかと思います」

々やりたいと言ったが、「方向を決めろ」とセバスチャンとジャッジに説得された。だから、んなものを作るということに決めた。その中には薬や武もあるのだが……。

「薬関係はあとになさってください。それよりも、アクセサリーなどの服飾をある程度極められた方がよろしいかと」

「その極める過程で、『錬金』と『鍛冶師』は必要になるかなって思っただけです」

セバスチャンに先に釘を刺されたため、カナリアは苦し紛れにそう答えた。

「理由をお聞きしても?」

「これから先、金屬加工というジャンルが絶対増えそうなんですよね。細いチェーンなんかも作りたいですし。それに石を金屬の臺座につけるだけでもアクセサリーになりますから」

「皮ひもでやられていらっしゃいますよね」

「うん。皮ひもだと、フォーマルに向かないので、NPCの方々からも時々言われるんです」

「……なるほど。それで『鍛冶師』が必要だと」

「そうなるかなぁ。頼むよりも自分でやったほうが納得いくと思うんです」

「それで、『錬金』は何に使うのですか?」

「硝子の加工です」

硝子でビーズを作る。鉱石ほどではないが華やかになるし、鉱石で作りにくい形も出來るだろう。それを伝えると、セバスチャンは納得した顔になった。

「なるほど。分かりました。本日はクエストに必要なモンスターも狩り終えましたし、近くの町に一度戻りクエストを終了させましょう。それから拠點に戻ってこれからを考えましょう」

「はいっ」

セバスチャンの言葉に、カナリアは大きく頷いた。

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