《初心者がVRMMOをやります(仮)》新素材は鬼仕様

その後仕様の変更された例の糸はどれくらい糸を撚ったり、手を加えるかによって強度が変わるようになった。

ただ、同じようにやってもプレイヤーごとに強度が変わるという鬼仕様だ。

ちなみに、カナリアの場合は撚らずに使っているというのもあって、玉石と呼ばれる寶石に近い石や魔石、金屬以外はあっさりと切り刻んでしまう。特殊手袋をして作業すれば加工も可能だ。

そしてその手袋はジャスティス謹製である。

そのジャスティスといえば……。

「また針が駄目になった」

二本の糸で撚れば、何とか布として織れる。三本で撚ってしまえば、見事に金屬を切り刻む。

悪戯半分で二本で撚った糸を二つ遣い再度撚ったところ、ディッチ特製の自車もバイクも綺麗に切り刻んだ。……そのバイクも自車も強度として最強度を誇るヒヒイロカネで作っていたのだ。勿論ディッチにかなり怒られた。初めてヒヒイロカネを使って出來上がった乗りだったらしい。

その糸を使うにはこれまた最低三本で撚った糸を使って織った布が必要で、それを作るだけでも一苦労だった。出來上がった時に、その織機も駄目になったが。

というわけで、そちらは封印……などするわけもなく、どうやって使えるようにするか頭を悩ませている。

ヒヒイロカネを切斷しまくった糸を摑むために何度死に戻りをしたか分からない時點で、ジャスティスもマッドな所があるのだが、「初期メンバーあいつら程じゃない」とAIや他のメンバーに言うあたり、どっこいどっこいだということにジャスティスは気づいていない。

「また、針折れた」

そんなことをぶつぶつ言いつつ、製に勤しむのだった。

そして、錬金に使えないかとわくわくしたスカーレットは……。

耐火をあげるためにサラマンダーの鱗と一緒にしたら、あっという間に影も形もなくなった糸に呆然としていた。

挙句の果てには、サラマンダーの鱗にあった耐火がきれいさっぱりと消えている。

「……何がどうしてこうなった」

あっという間に使い道のなくなった鱗をどう扱うべきか悩む羽目になる。

「でもこれ、カナリアちゃんにあげたら喜びそうですよ」

アルブスの一言に、そういう使い方もあったなと思い出し、失敗作をもって工房を出るのだった。

この三つの報は「カエルム」がギルドを通じて公表し、新しい素材づくりに一役買うことになる。

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