《初心者がVRMMOをやります(仮)》増えた能力はまたも非常識な模様

最近、カナリアにはもう一つ能力が増えた。

何故増えた!? と疑問に思ったのはカナリアだけで、他は呆れながら納得していた。

「多分、玖ちゃんにある『小型魔獣の友達』の稱號が関係あるんじゃない?」

「……そうかなぁ」

リリアーヌの言葉にカナリアは不思議そうな顔をした。

現在二人がいるのは「安楽椅子」だ。そして二人の膝にはニーニャが乗っている。

魔獣たちの暴もおさまったこともあり、最近またニーニャたちを表に出すことにしたのだが。

訪問客が「魔獣に嫌われいるか否か」というのがそのプレイヤーの頭の上に出ているのだ。勿論、見えるのはカナリアとセバスチャンだけである。

「喫茶店部を二つに分けた方がいいかもねー」

桜餅もどきを包むための葉っぱを納品に來たエリが笑ってってきた。

「うちのギルドはー、騎獣もちいないからねー。前回のあの暴はまったく関係なかったー。多分だけどー、あの暴で騎獣を失った人たちがNGじゃないのかなー」

そんなメンバーは誰一人いなかったため、頭からすこんと抜けていた二人である。

「……そだね。ニーニャたちに何かあると悪いし、分けよっか」

「うん。皆と相談してみる」

「和室をご用命の際はうちのギルドをよろしくー」

確かに両方に和室はいるよね。そう言いあってリリアーヌとカナリアは笑いあった。

ニーニャたちのいる方は名目上は「會員制」とした。會員になる條件は「ニーニャたちに嫌われていないこと。カナリアかセバスチャンが希者の頭上を見て、「魔獣に嫌われていない」というアイコンが出ていることの二つである。

ニーニャたちと戯れたり、ニーニャのために餌を確保してくれる依頼もそのアイコンが出ていないとNGにしたのはジャッジである。

「……どうしてですか?」

「偽裝して、毒でも混ぜられたらたまったものじゃない」

「そんなことできるんですか!?」

「カナリアよりもスキルが上であれば、出來る。鑑定スキルは中の下くらいだろう? 偽裝スキル使ってしまえば、毒が混されても分からない。それに毒製作スキルはカナリアにはないし」

「そんな騒なスキル要りません」

「……あ~~~。通常だと毒製作スキルで毒つくって、偽裝スキルで毒が混していないように見せて餌にするんだよ」

「通常のご飯で駄目なんですか?」

「その方が捕獲とか、魔獣の卵採取しやすい。麻痺毒や睡眠毒とかで魔獣を……」

「そうなんですか!? ドラゴンさんの時も使いませんでしたよね」

「あれはカナリアの修行のため」

使ってもよかったのだが、理由なく使ってしまえばカナリアは分からないままだっただろう。それ以前に使わなかったからこそ、隠しクエストに行ったのだ。

その報も流れたせいか、々と縛り付きで討伐や採取、捕獲をするプレイヤーが増えた。隠しクエストで得た稱號を持つプレイヤーもちらほらと見かけている。

カナリアの稱號の多さは珍しいが、他は割とあったりする。時折ユウが「あ、あの稱號に至る隠し作ったの俺(もしくは親父)」と呟くときがあるが。無理やりクリアしたトール他、例のメンバーの殆どがレッドカードを食らい、稱號が宙ぶらりんになり、再度誰かが取得したらしく、ユウは嬉しそうである。

それはともかくとして、「家族ペットが毒で苦しむのは嫌だろう?」とジャッジが言えば、カナリアはあっさりと納得して、知り合いにだけ頼むようになっていた。

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