《FANTASY WAR ONLINE》第八話
夢というものは人の思いを伝える場としてよく使われてきた。預言者が預言を授かる場所も夢の中であるし、人の會にも夢が使われている。中には、奧手の人が想い人に夢を便りに自らの想いを伝えるなどもよくある話である。
で、なぜ今こういう話をしているのかというと、今俺の目の前には薫とメルの二人がいる。薫の姿は今まで見知った姿ではなく。額のあたりに小さな角が生えていたので、ゲームの種族で現れているのだろう。聞いてみたところ、鬼人だそうだ。
で、その二人だが表は非常に対照的であると言わざるを得ないだろう。
メルは初めて會った時のような凜とした表を作っている。が、汗を流して目はさまよっている。極度の張狀態に陥っているのがよくわかる。変なことを発しないように口は真一文字に閉じており、ちらちらとこちらの顔をうかがう。
一方で薫はニコニコと笑顔を絶やすことない。これは普通に笑顔であるだろう。薫は怒ると笑顔がより輝くなどの格をしてはいない。普通に嬉しかったり、楽しかったりするから非常に楽しそうな笑顔を浮かべているだけだろう。で、俺もつられて笑顔になってしまう。
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おそらく、薫はメルが俺の人なのだということはわかっている。メルも同様だ。で、メルは薫に対して負い目をじているようであるが、薫はそんなことない。これは、俺と築き上げてきた信頼関係からくることである。
薫は俺を信じているのである。俺が薫のもとを離れることがないと。それだけし合っていると。だから、別に一人増えようが十人増えようが気にしないと、前に言っていた。
そりゃそうだ。ちなみに言っておくと俺は貞である。薫と人として十年以上は付き合っている。しかし、俺は薫に手を出していない。これは家の方針で決まっているためでもあるが、俺は別に不満はない。だって、しているのだから。に渉は必要ないのである。だから、そこら辺の渉ありきの人なんかに俺たち二人の絆が劣っているわけがない。だからこそ、俺は生涯薫をし続ける自信があるし、薫も俺が離れるとは考えていないのである。そもそもそういう未來が考えられない。十年間付き合っているのだからな。
それに、薫は母さん二人の関係を羨ましがっている雰囲気がある。だから、し前に二人目を作らないのかと質問されたことがあるぐらいである。月子母さんも波母さんの紹介で父さんと知り合ったらしいしな。
「薫、こっちでの名前は?」
「かおる。ひらがなに変えただけだよ」
「なるほど。俺もスバルってカタカナに変えただけだ」
「ならいつも通りね。よかった」
「あ、あの! かおるさん!」
メルがこの空気に耐え切れず大聲を張り上げる。
「なに?」
「スバルは悪くないの! わたしが勝手に好きになって、それで甘えて、それで抱きしめてもらって、嬉しくて……わたしが勝手に好きになっただけなの! スバルはそれをけれてくれただけ! だから、怒るならわたしだけにしてしいの!」
かおるは何も言わない。ただじっとメルの告白を聞いていただけである。俺も何も言うことはない。結局俺とメルの際の許可がもらえるかどうかはかおるにかかっている。俺は別に何も言わないでただ判決を待つだけである。
「メル」
「ごめんなさい」
メルの聲は今にも消えりそうだった。
「メル、こっちを見て」
かおるはメルの顔を両手で包んで持ち上げる。メルの涙ぐんだ瞳が見える。
「メルは、私がスバルと別れてって言ったら別れてくれる?」
「わたしは……わたしは……出來ない。そんなの、出來ないわよ……」
メルは涙をぽろぽろ流し始めた。
「スバル。どうやって、一日でここまで口説き落としたの?」
「俺が本気で惚れたから、本気でを囁いたとかか? かおると同じように接したはず」
「ああ、それならメルがこうなるのも無理ないよ。私も當時はがすぐに発しちゃうくらいスバルのことが大好きだったし」
「別に発させてもいいけど?」
「それはいやだ。スバルに迷かけちゃいそうだし」
「そうか? でも、いつでも発させていいからな。それをけれられる甲斐がなきゃダメだからな」
「ありがと、スバル。……さて、メル。よく聞いて」
メルは涙で歪んだ顔でかおるを見る。俺も近寄ってメルを落ち著かせるようにゆっくりと頭をなでる。すると、かおるがし羨ましそうな顔を見せるので、かおるの頭にも手を置き優しくなでる。二人して真剣な話をしているのにもかかわらず口をむにむにさせているのはらしい。俺のせいですねごめんなさい。
「私は別にメルのことを怒っていないよ。だって、メルはスバルと離れ離れになったらこんなに顔をぐちゃぐちゃにして泣いちゃうぐらいスバルが好きだものね。私も同じ。スバルと一生會えなくなったらメルと同じぐらい泣いちゃう。もしかしたら自殺しちゃうかも? まあ、それはないと思うけど、たぶん。だから、私とメルはスバルのことが同じぐらい大好きなの。メルが私と同じくらいスバルのことが好きなのだとしたら、私の好きはまだまだ足りないみたい」
「いや、カンストしただけだろ」
「そう? それなら私も初日でカンストしているから、それもメルと一緒。だから、一緒にスバルをして、一緒にスバルにされましょ?」
「いいの?」
「いいのいいの。だって、私の義母さまたち、とっても幸せそうなの。二人して同じ男の人をしてとっても幸せそう。私たちもそういう関係になりましょ?」
「う、うう……かおる……ありがとう」
メルは薫のに顔をうずめて嗚咽をらし始める。
「どういたしまして、メル」
その景は溫かく、穏やかなものであったと言えるだろう。二人はそうそう仲たがいすることはなくなるのではないだろうか?
「スバル? 私たち二人とも、幸せにしなかったら許さないよ?」
かおるのその笑顔はとてもまぶしく、俺にさらなる決意を促せるに十分なほどであった。
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