《FANTASY WAR ONLINE》第十三話

今の気分は?

最高である!

急所攻撃の解はとっくの昔に起きている。今もマナトの肘が俺の目を狙って飛んでくる。俺はそれを潛り込んで避ける。そして、マナトの右わき腹に膝蹴り。しかし効いていない。自分で飛んでいるからだ。その隙を父さんに狙われる。さわやかな笑顔で。父さんの顔はこの顔から崩れない。より一層輝くだけだ。しかし、手癖足癖はひどい。目つぶし金的は當たり前。に手刀も飛んでくる。今がそれ。だが、祖父ちゃんが父さんの膝裏を蹴る。しかし外す。つま先が俺の顎に迫る。上が反れたら? その瞬間に誰かの拳が腹にめり込む。それはいけない。だから橫にずれて避ける。は倒れてはいけない。それが隙だ。後ろから來るユウトに裏拳。しゃがんで避けられる。ではそこに下段回し蹴り。位置はしゃがんだ顔面である。それはけ止められる。衝撃を逃げるように丁寧に止められる。なかなか。そのまま足首を折るかな? そこを起點に二段蹴りだ。相手は祖父ちゃん。そのついでにユウトにつかまれた足も外すのである。

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俺の種族は獣人である。しかもスピードファイターである要素が強い。そのきは? いうまでもなく素晴らしい。拳を突き出す速度も蹴りを振り切る速度も、キレている。空気が悲鳴を上げているかのようである。しかし、それは俺だけではない。他の三人もなのである。マナトは悪魔だ。その様子は? パワーファイター? 拳がかすっただけでしふらつくほどだ。基本的に迎撃としての構えになるのだろうが、それでも脅威だ。

《只今までの行により【拳】を習得しました》

《只今までの行により【蹴り】を習得しました》

《只今までの行により【投げ】を習得しました》

《只今までの行により【関節技】を習得しました》

《【拳】【蹴り】【投げ】【関節技】を統合し【徒手武】を習得しました》

《只今までの行により【け】を習得しました》

《只今までの行により【回避】を習得しました》

《只今までの行により【見切り】を習得しました》

「うわ、なんかいっぱい増えた」

ユウトは驚いた風にそう聲を出した。確かに、スキルってこんなに簡単に覚えるなのだと思った。魔力知は一切習得する気配を見せないのにな。

今は、戦組手を終えて、し休憩である。師匠はとても興味深そうに見ていたのがわかった。

「元気があるのう」

「今休憩しているんですけど」

マナトがつっこむ。しかし、師匠はそれを華麗にスルー。顎に手を置いて何かを考えているようである。

俺は先ほどの戦いのきについて何度も反芻を行っている。そうして思い出したことがある。魔力知をついでにじ取れる訓練も並行していたことを。途中で忘れていた。これでは意味がない。今集中すれば魔力をじ取れるのだが、そうもうまくいかないものである。

それと種族スキルの【嗅覚強化】を遊ばせているような気がする。戦闘に組み込めないだろうか? 隠れた敵を見つけるためだけに嗅覚を使うか? そんなわけない。何かに使えると思うのだが、何に使えばいいのだろうか? まで出てきている気がする。

「兄さん」

「なんだ?」

ユウトが俺に話しかけてくる。さて、何か用事でもあったかね?

「【嗅覚強化】のことなんだけど」

俺と同じことを考えているのだろうか?

「このまま遊ばせるのってもったいないよね」

「お前は俺か」

「兄さんも同じことを?」

「いや、この様子だと父さんと祖父ちゃんもだな」

「だよねえ。索敵だけのスキルなんて汎用が低すぎるよね。だから何かに使えないかと思っているんだけど」

「それは俺だって思っている。だけどな、思いつかん。だからとりあえず魔力知の修行でもやっていればいいさ」

【嗅覚強化】の使い道を考えながら魔力知でもしてみるか。そうすれば、ながら知が出來るようになるかもしれない。

「そういえば、マナトの種族スキルって何なんだ? マナト聞いているか?」

「え?」

「種族スキル。なんだ?」

「ああ、そんなこと。えーっと……【殺】だな」

……なにそれ?

「なんかすごいよな。効果は自分が敵と認識した者の數が多ければ多い程、能力が上がる。また、無抵抗の敵を即死させる。ってところか」

「後半の部分は【殺】だからこその能力なのかな?」

「たぶんそうだろうな。多対一の時に強くなると考えるだけでも十分強いけどな」

「じゃあ、さっきの訓練は強化されてたのかな?」

「あ、それはされてない。オレが敵と認識してないからな」

「ああ、なるほどな。つまり、戦場とかにいないとこの効果は発揮されないのか」

「いや、周りの人間全員敵だと思い込むことが出來たら、一対一で戦う時ですら強化されるんだよ。これはかなり強いよ」

「ただ、自分の思いに左右される力ってところは使いづらいかもしれないけどな」

「まあ、オレはこれを使いこなせるようになるだけだからな」

まあ、使いこなせなければ寶の持ち腐れだからな。使いこなせるようになってくれることを祈る。

「ふむ、そうじゃな」

先ほどから靜かにしていた師匠は、ようやく思考の波から上がってきたらしい。何を考えていたのだろうか?

「山菜取りにでも行こうかの。ついてくるといい。食事がより豪華になるぞ」

山菜取りか。興味はある。森の中で迷ったときにも活かされることだろう。覚えておいて損はない。そう思い、俺は立ち上がる。そしてほぼ同じタイミングで他の四人も立ち上がる。みんな考えていることは同じらしい。

「やっぱり元気じゃのう」

「そりゃ、この程度は毎日やっていますからね」

「なるほどの。では行こうか」

そうして、俺たちは師匠を先頭にして森の中へと踏みっていくのであった。

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