《FANTASY WAR ONLINE》第十五話

「師匠。魔力を知できるようになりました」

「ほう、はやいのう」

師匠はあまり驚いていないような気もする。もしかしたら、習得できる予があったのかもしれない。

【魔力知】はどうだ? 確かに、今の休憩中ですら自の魔力をじ取れる。これで魔力殘量を常に把握し続けることが出來るのだろう。さらに、【嗅覚強化】と併用することで、周囲の魔力を匂いによって認識することが出來るのである。【魔力知】のレベルが上がれば、自然と出來るようになることである。しかし、レベルが足りない狀態で、この狀態になることが出來るというのは大きなアドバンテージである。

「景が変わりますね、師匠」

「ん? 今のレベルでは、せいぜいが自分の中にある魔力をじるだけであろう?」

「いえ、魔力の匂いを嗅いでいるのです」

「魔力の匂いじゃと?」

「はい。無臭のが空気中に漂っています。これが魔力でしょう」

「匂いがないのに嗅ぐことが出來るのか?」

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「はい。魔力を知できないとわからないかもしれませんが、今の俺には無臭のを嗅ぎ分けることが出來ます」

その會話を聞いていた狼組は? 鼻をひくひくとかして匂いを嗅いでいるようだ。しかしね、そんな簡単に習得されては俺の立場がね。

「うむ、わからんのう」

祖父ちゃんはわからないようである。よかったよかった。そんな簡単にわかってたまるか。

「最低でも、自分一人で魔力を知できるレベルにしておく必要があると思うぞ」

「なるほど、それも一理あるね」

父さんは納得して瞑想を開始し始める。それに続くように殘りの三人も座禪を組む。

「お主は次に進むとするかの?」

「お願いします」

次は? もちろん、魔力を作する段階である。これをれるようになる必要があるのだ。

「まずはわしのに手を當てるのじゃ。わしが魔力を作するからそのじ取り、自分も同じようにするのじゃ」

俺は師匠の肩に手を當てる。これはどこでもいいらしい。ならば、手が起きやすい方にするのは當然であろう。

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俺のレベルではれていることでようやく他人のの魔力をじ取れるようになる。これは嗅覚を併用していてもである。

では、師匠の魔力は? かすかにじ取れる。いまだに、真皮のあたりと、脳のあたりに魔力がたまっている。きはない。……お、かすかに魔力にきが? ゆっくりと脳にある魔力がを巡るようにいている。いや、蠢いていると表現するのがいいのか? 実にゆっくりとしたものである。水がゆっくりと布に広がっているかのような緩やかなきだ。

「これを真似するのじゃ」

なるほど。だがね、どうやって? もうし観察する必要がある。魔力の巡る様子は? 脳から右半を通るようにして進み、腕足と巡って再び脳へ戻る。この循環があるようだ。つまり、俺の魔力も同じように巡らせる必要があるわけか。たぶんそうしろということなのだろう。

俺は脳にある魔力を摑み引っ張り出すようにイメージしてみる。が、くことはない。うむ、違うのかな? 語ではイメージで魔力をかせるような気がするんだけど、違うのかね。これは、魔力の考察がいる? もしかして。あり得るな。考えよう。

魔法に関係のあるステータスはINTとMNDである。これは知神のことであろう。神が上がると魔力量が増える。つまり、脳みそにある魔力の量が増えるのだろう。つまり、神力で脳のキャパシティを広げているのだろう。で、知。これは? 公式ではこのステータスを上げると魔法の威力が上がると書いてあった。どうしてだ? これは、実際に魔法を見てみないとわからないな。

「師匠」

「なんじゃ?」

「魔を見てみたいです」

「ふむ、よかろう」

すると、師匠は泉のほうを向いて座りなおす。俺は師匠の肩に手を置いたままだ。今回は魔力の知がメインなので、目を閉じる。これで集中しやすい環境を作り、わずかな差ですら見逃さないようにしておく。

「では、これが素手の狀態じゃ」

師匠の魔力が先ほどまでとは比較にならない速度でき、外に放出される。そして、しばらくすると発音。この発の規模も覚えておこう。威力の比較にする。

「で、次が杖を持った狀態じゃ」

再び魔力が素早く移し、外に放出される。で、発。規模は? 先ほどと変わらない。しかし、消費された魔力がなかった。

「その杖はINTが上がりますか?」

「そうじゃな」

なるほどね。

つまり、INTとは魔力の使用効率に関係するのだろう。10の威力の魔法を放つときにINTが高ければ高い程、消費するMPは抑えられるというところか。で、公式の説明の理由は魔法の仕組みにあるのだろう。

魔法は呪文を利用して発する。一定の規格にのっとってだ。つまり、消費MPは絶対的な數字として存在しており、これが上下することはありえないわけだ。だから、消費効率が上がっても同MPを消費するから、その分威力が上がるという仕組みなわけか。

では、魔力作に関係のある要素は? わからん。だが、魔力を扱うという點ではINTが有効だろう。知が上がることによって、無意識レベルでの魔力の扱いが向上していると思われる。なら、知を使うように魔力を作すればいい。覚ではなく論理的に魔力をるのだな。

「……わからん」

愚癡が出てしまった。しかしね、これはしょうがない。魔力を論理的にどうかせばいいのかがわからん。魔力はわかる。今も知覚できているのだから。だが、これってくの? その場に居続けているんですが。石のようである。しかし、師匠のは水のように流れる。難しい。魔力難しい。運営は設定盛りすぎだろ。こんなの普通のプレイヤーは投げ出すよ。スキルポイント制だったら、簡単だろう。しかしそうしなかった理由もわかる。この運営は公式発言でバランスをぶち壊していると言ったのだ。ぶっ壊れの種族がいるということはない。ただ、ぶっ壊れのスキルがあるだけだ。しかし、どれも取得難易度が高い。

だがね、汎用スキルの難易度も高いんですけど! 俺未だにフィールドで魔を狩っていないんですけど! 文句は? ない。魔力の修行を楽しんでいるからだ! だったら問題ないね。

「休憩じゃ休憩」

祖父ちゃんも長い時間集中し続けるのはさすがにこたえる。こればっかりは人間だからしょうがない。

「じゃあ、気分転換でもしようか?」

父さんの提案は? 賛である。師匠も狀況を察して俺たちから離れたところに腰かける。本日二度目の組手だ。

參加者は師匠を除く全員。俺の今回の目標は? 鼻を使う。併用して【魔力知】もだ。祖父ちゃんたちの魔力はじ取れないが、それを利用すればいい。魔力がないところにいるのだから。

「ヒュッ!」

狀況はどうやら俺に有利のようである。

なぜか? 俺の魔力もじ取れる鼻の力のせいである! これはひどいぞ。全員の立ち位置を常に把握できている。不自然に魔力が知できない場所に必ず誰かがいるのだ。それに、全員の匂いも覚えた。だから、誰がどこにいるのかもある程度絞れる。これは強い。

しかし、そこに誰かがいるということがわかるだけで、何をしているのかはわからない。楕円形の何かが存在することしか知覚できないのだ。俺の練度が足りないせいだろう。それでも、余裕があるのだ。

今も、背後から襲ってくるユウトの腕を摑んで背負い投げ。叩き落すように投げる。しかし飛ばれて失敗。だがね、俺に奇襲は効かないのよ。

《只今までの行により【嗅覚強化】がレベルアップしました》

《只今までの行により【徒手武】がレベルアップしました》

《只今までの行により【け】がレベルアップしました》

《只今までの行により【回避】がレベルアップしました》

《只今までの行により【見切り】がレベルアップしました》

《只今までの行により【魔力知】がレベルアップしました》

まだ戦闘中なんですけど。それでもレベルアップするみたいだ。それに、郭までもがぼんやりとであるが知できるようになっている。さらに、溫くなってしまう。いまなら、拳を突き出している様子や、蹴りを繰り出していることもわかってしまう。まだ、こぶしを握っているのか開いているのかの違いはわからないけどね。

これでは面白くない。なら、どうする?

だったら、目をつむろう。視覚報を完全になくすのだ。これはハンデ? 違う。自分がより難易度の高い場所へといざなうことで、訓練に厚みを持たせるのだ。ならばさっさとやろう。

俺は目を閉じた。

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