「……出來ない」

「それは、まだイメージの塊が弱いからじゃな。それは原子であって原子にあらず。萬創造の源であり、破壊の象徴でもあるのじゃな」

師匠、それは難しすぎて何を言っているのかわかりません。

「魔力に質を與えられないんですけど」

「質は與えるもんじゃないしの」

師匠の助言を聞きながら、俺は再び自分の魔力を作する。まずは魔力をかし手のひらへと集める。そこから魔力をの中から外へと放出するのだが、これは一定時間がたつまで俺の意志でかすことが出來る。しばらくしたら、霧散してしまうが。

今イメージするのは火。暖かな炎。魔力を消費して燃え続ける炎。しかし、うんともすんとも言わない。

……何かが違うんだろうな。その何かがわからないのだがな。どうしましょ。

いや、師匠の言葉を思い返せ。これにヒントは必ずある。というかヒントしか言っていないはずだ。信じるんだ師匠を。

《只今までの行により【魔力作】がレベルアップしました》

今も、考えながら魔力をかしているからな。をかしながらだと、たまに魔力をかすのを忘れたりするが、この程度ならば、同時にできる。

さっきの言葉は質は與えるものではないということだ。つまり、火の質をイメージによって與える必要はないということなのだろうか。そうなのかもしれない。魔力にもともとその質が包してあり、それを【魔力作】によって導き出してやる必要があるのではないだろうか。ありえる。今なんとなく思いついたがあり得る。

ではやってみるとしよう。思いついたら実戦である。

《只今までの行により【魔力作】がレベルアップしました》

早い段階でもう一回レベルアップした。それだけ度の濃いくんれんをしていたということなのだろうな。

「師匠、何とかできました」

「そのようじゃの」

今俺の手のひらには、小さな火の玉が浮かんでいる。

結論から言うとその考えは正解だった。だが、それを完ぺきにイメージすることは出來ず、今では魔力が枯渇寸前になるまでやってようやく、魔を発現させることに功したのだ。

そして、俺の目の前にある火の玉はゆっくりと生を終えるように消えていった。何とも哀愁漂う景である。しかし、この景は俺は一生忘れることはないだろう。それだけの達がある。

しかし、俺は魔の発言だけで相當な疲労をしていたのか息が荒い。

「それは、魔力の欠乏狀態による疲労じゃ。神的なものじゃな」

「そうでしたか師匠」

しかし、この疲労をすぐに回復させるために、俺はに気をみなぎらせる。

気というものはに存在するエネルギーである。どこぞのバトル漫畫のように外に放出するという使用方法はしない。これの主な使い方は、に充実させの頑強さを上げたり、免疫能力を向上させたり、回復能力を向上させたりという使い方が主な使い方である。

ああ、後は発勁に使われるというものもあるか。あれは半分噓であり、半分本當である。俺たちは発勁の時に、気を使うというだけで、他のところがどうかは知らない。

これは、今までの組手が終わった後も呼吸を整える意味でよく使っている。張と力の組み合わせだな。

《今までの行により【気功】を習得しました》

このゲームって何でもあるんだな。これは、このゲームでも発勁はうてるという証明だな。し試してみるか。

俺は近くの木に近寄る。

「何をするのじゃ？」

「見ててください」

俺は木を前にして構えをとる。呼吸を整える。その場には靜寂が生まれる。大気すらも息を止める時間へと突する。

「ふっ」

聲がれた。まだまだ甘い。しかし、俺の拳は木へと真っ直ぐに飛んでいく。

発勁の基本は筋のかし方。自分の拳の威力を外ではなくへと通す筋の使い方が基本となる。俺たちはそこから、衝撃のその瞬間に気を使う。

気はの頑強さを上げるために使うこともある。見たことはないだろうか。金的や拳に攻撃を食らっても平気な顔をしている人を。それも気を扱うことによる技である。しかし、あれには相當な集中狀態がいる。そのため実戦では使えない。だが、俺たちはそれを戦闘で使えるように訓練を積んでいる。だからこそ、自分からいている狀態で気をみなぎらせることが可能である。

攻撃が當たる瞬間、俺のは一瞬であるが鉄の高度に近くなる。一部では金剛法などといわれるような技である。それで、俺たちの発勁は完する。

俺の一撃を食らった木は悲鳴を上げながら倒れる。殘った幹はひび割れて使いにならないだろう。

「確認は終わりました、師匠」

「すごいのう」

師匠は、ただ顎をでるだけである。やはり、この世界ではこの程度のことは誰でもできるのだろうか？　魔族だし、出來そうな気はする。だからこそ、師匠のこと反応なのだろう。

「さて、魔力はすぐに回復せんし、帰るとするかの。もうすぐ晝になるであろうよ」

「わかりました、師匠」

俺たちは晝を食べるためにいったん戻ることにした。……ここに來る意味あったのかね？