《FANTASY WAR ONLINE》第三十話
「あ、終わりましたかね?」
「ああ、はい。もう大丈夫ですよ」
「それはよかった」
と、言うとミールスは近くのが數多く置かれている場所へ近寄り、そこから一つの真っ白な的を取り出す。そして、それをし離れた場所へと突き刺した。
「ええ、ここに魔をうちこんでください」
ミールスが指さす場所は先ほど突き刺した的。
「……はあ……?」
しかし、俺が登録する魔は飛び道ではない。魔は飛んでいかない。敵にあたりに行くことはない。なぜなら、自分のから火を吹き出す魔なのだから。
「師匠、どうすれば?」
困ったときは師匠に聞く。これが最も簡単で有効なことである。
「的に手を當てて魔を使えばよい。あの的は、魔力のきを記録するためのものじゃからな」
「なるほど、わかりました」
だったら話は早い。俺は的に近寄って、真ん中に手を付ける。
いつもと同じ覚で魔を使う。魔力を熱で溫め著火させる。著火させる瞬間はマッチのきを魔力で再現する。すると、俺のの周囲にある魔力が炎を纏い、俺の全てが炎で覆われる。それがしばらく続くと、魔力切れを起こして、鎮火する。
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「…………」
ミールスは無言で立っているだけである。何か言ってほしい。もう終わったんだけども。それに、カナリヤも時が止まったかのようにくことはない。何か変なことしたかね? ああ、魔力の使い方が変か。普通は使わない魔力を使って魔を発現させているからな。
「終わりましたよ?」
とはいえ、誰もかなければ意味がないので、俺が終了を宣言する。
「あ、そうでしたか。すみません。ぼーっとしてました」
と、ミールスが謝罪をすると、懐から羊皮紙らしき紙の束を取り出して的の方へと近づく。と、羊皮紙の束を的にかざす。
「あれはなにをしているので?」
「羊皮紙に魔力のきを記録しているのじゃよ。あの的はかなり高価な魔道での。各ギルドに一つしかないのじゃ」
「それに、魔をぶち込むんですか?」
それ壊れるだろ。簡単に。
「ああ大丈夫じゃ。魔法抵抗が高くなるように作っておるからの。ニュークアタックされた時も、建が吹き飛んだのに、的だけは無傷で殘っていたほどじゃからの」
うーん……この技の使い方を間違っていると一方的に言えないのがむかつくな。たぶん、これが最適解なんだろう。どんなにもやもやしていたとしても。
「……あー、すごいですね……さっきの」
カナリヤが近づきながら先ほどの魔をそう評価する。
「そんなにひどいか?」
「……えーと……ひどいというわけではないんですけど、まあ……魔力に対する抵抗力が著しく下がるなあ、と……思うわけでしてね」
「言いたいことはわかる」
俺だってそう思っている。が、こんなの登録したって誰も使わない魔も多いことだろう。その中の一つに加わるだけの話だ。
「はい、完しました。これがスクロールですね」
ミールスは的から離れて俺たちの方へと近づいてくる。そして、手に持っている丸めた羊皮紙のようなものを俺に手渡してくる。
「これは?」
「広げてみい。スクロールじゃ」
俺は、師匠の言われた通り、スクロールを広げる。すると、そこには魔法陣と神代語で呪文が書かれていた。
「へえ、これがスクロールなんですね」
「はい、魔法陣が先ほどの魔を発させる式となっており、その式の発現にこちらに書いてある呪文が使われます」
「この呪文は誰が考えるんですか?」
気になる。ミールスが適當につけるのかね?
「式に対応しているんですよ。だから、火・纏う・……と、呪文にはっているでしょう。これを鍵として魔法陣が起するんですね」
「なるほど」
そういうパズルめいたものが魔法なんだな。でも、これを新たに編み出せるのは魔導士だけで魔法使いたちはこれをするだけと。
「しかし……この魔法は使いにくいのう。もうし【魔力作】を鍛えたら更新したほうがいいぞ」
「え?」
「ああ、このスクロールの説明文を見てください」
ミールスに言われたため、その通りにする。
【『フレイムボディ』のスクロール】
消費MP:毎秒3
自分のに炎を纏わせる。魔法防力が下がるが、敵に自分のがれた時、ダメージがる。
「へえ、ステータスであらわすとこんなじなんですね。ダメージとかはないんですか?」
「そんなのMNDの數値の差で変わるんじゃから、関係なかろう」
「ああ、なるほど」
「ですが、これはし燃費が悪いのでこの魔法の恩恵にあずかれる近接戦闘タイプの魔族には使いづらいでしょうね」
「そうじゃのう。だから、もうし効率のいい魔力の運用の仕方を覚えたら更新するといいの」
「師匠、先ほどから言っている更新とは?」
「ああ、そういえば教えてなかったの。魔導士の技も日々上がってくるものじゃからな。最初に登録した時よりもより効果のいい魔を編み出せたら更新できるのじゃよ」
そういうことか。つまり、登録したからハイ終わりというわけではないのだな。
「ですが、更新前のスクロールを買った人はどうするんですか?」
「もう一度買い直すんじゃよ」
師匠はあくどい顔つきで楽しそうにそう言った。
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