《FANTASY WAR ONLINE》第四四話

「いやー、結構早く來たと思ったけど、お前らのほうが早かったか!」

と、達樹は殘念そうに言う。

今ここに集まっているのは俺とかおる、そして達樹と生の四人である。いつものメンツである。代り映えもしないが、安定じる顔ぶれである。

裝備の様子から、達樹が前衛で生が後衛だろう。達樹は腰に剣をぶら下げているし、生は背中に弓筒を背負っている。

「ねえ……なんで和服?」

というのは生である。まあ、疑問に思うのも無理はない。俺たち二人は角や耳しっぽが生えているだけで現実と大して変わりがないからな。キャラメイクをどれだけ適當にしているのかがわかるというものである。俺にいたってはメルにやってもらうという適當さだからな。

「似合ってるだろ?」

俺は自慢げに自分の著ているものを見せる。達樹は何とも言えないような顔で俺たち二人を見ている。

「まあ、似合ってはいるけどさ……」

生も何かまずいものでも口にれたような顔をする。何かおかしなことでも俺は言ったっけかな?

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「あ、そうそうフレンド登録はさっさとしておこう?」

生は話題を変える。

フレンド登録はまあ、よくあるあれである。メッセージが送れたり、チャットが出來たり等だ。俺も一応家族全員とはフレンド登録をしている。使ったことは一切ないけれども。正直な話、全員忘れていると思う。

ということで、俺は達樹と生の二人ともフレンド登録をしておく。これで家族以外のフレンドが出來たわけだ。ボッチの電話帳みたいだな。

「えー、ウッドとライフな」

ウッドが達樹でライフが生である。覚えやすくていいな。

「覚えやすいね」

かおるも同じことを思ったらしい。自分の名前にっている漢字を使った名前付けだからな。ごっちゃになることはないだろう。

「いや、お前らの名前、適當過ぎるだろ。なんでこんなことになるんだよ」

ウッドは引いている。何を言うか。自分の名前に誇りを持っているだけではないか。それに、ゲームの中で本名を使おうが、これが本名だと気づくのはリアルの友人だけである。もしばれたとしても、危害を加えられる前に危害を加える覚悟が出來ている。攻撃しようとしたほうがくたばるので、俺にはそんな心配など一切ない。

「ある意味すごいと思うよ。いくらなんでもここまで堂々と名前は使えないよ」

「自信があるからな」

「その自信を分けてほしいもんだぜ」

これは自分で育てるものだからな。あげられるほど簡単ではないのだ。

「で、二人の種族は?」

二人の外見は髪が緑とオレンジに変わっているというだけで、他に目立った特徴はなさそうである。緑がウッドでオレンジがライフだ。よりわかりやすいね。

「オレは竜人だぜ!」

「あたしも竜人!」

二人して竜人なのか。いやまあ、雙子だからなんだろうけど……君たち二卵だよね。だからわざわざ、同じ種族にする必要はないんだけど。

「あたしの他に選べる種族が蟲人か魚人だったから、これしかなかった!」

ああ、の子だもんね。蟲とか魚はいやだよね。だからとはいっても、竜はいいのかね。というか、竜人らしさがないんだけど。

「竜人要素はどこだよ」

二人は、羽もなければ角もない。尾もないし鱗もない。ないないづくしのクソザコな種族にしか見えない。まるで人間みたいだ。

「ああ、ないぞ」

ウッドは衝撃の告白をする。

「ないってどういうことだよ」

「いやな。竜人ってレベルが上がるほどそういう要素が増えていく種族らしいんだよ。他にもそういう種族はあるらしいぞ」

「へえ」

俺は今まで見た種族を思い返してみる。……そういえば、つきこ母さんとマナトの種族である悪魔は、外見に変化が見られなかったな。悪魔なのに羽とかないんだなって思ったが、もしかしたら悪魔もそういう種族なのかもしれない。ということは対となる天使も同じような種族なのだろう。いろいろあるんだな。

「でも、何レベルで種族の特徴が出てくるのかわからないけどね」

ライフは殘念そうに言う。それじゃあ、下手したら數十レベル先までこの格好の可能があるのか。

「まあ、頑張れ」

「先人に教えてもらうというのもあるよ」

かおるのアドバイスは何ともためになるものである。竜人の住人にどれくらい力をつければいいのか聞けばいいのだな。

「ああ、それもそうか。後で聞いてみるとするか」

「そうだね。あたしたち、今までずっとレベル上げしてたもんね」

二人のこれからの予定が決まったようである。

「っと、ここで話してないでさっさとフィールド行こうぜ」

「お手らかにな」

「あほ抜かせ」

俺たち四人はフィールドへ出る門へと向かって歩き出した。

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