《Creation World Online》第6話

俺の試合が終了した後30分の休憩を挾んで2回戦が開催された。外はもう真っ暗だというのに元気な奴らだ。

2回戦に勝ち殘ったのは俺とアンリを含めて12人。実質次に勝てばパーティーりである。

しかし俺たちはここでは負けられない、のために優勝しなければならないのだ!

俺たちがそんな決意を固めていると俺の出番となった。

「それじゃ、行ってくるわ」

「負けないでくださいよ?」

「當たり前だ、今回も正々堂々勝ってやるぜ」

「…卑怯って言葉ご存知ですか?」

なぜかアンリからジト目でそう言われる。俺はただ全力で戦っているだけなのに…

何はともあれアンリのジト目攻撃を華麗にスルーした俺はステージに上がる。すると、対戦相手はもう既に上がっているようだった。

相手は中學生くらいの男で長は低く、髪は現実で染めたのだろうか元が黒くなった金髪だった。そして、いやらしい目つきをしていた。どこを見ているのかと視線を追ってみるとそこにはアンリがいた。

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…ああ、なるほどね。

おそらく染め金髪の彼はアンリのことが気にったのだろう。しかし、アンリはその視線に気がついたのだろう「助けて」と言わんばかりの視線をこちらに向ける。

染め金髪はそんなアンリの態度が気に障ったのか俺を睨んでくる。なんでやねん…

頭の中でなぜか関西弁でツッコミをれると染め金髪が手に持っていたロングソードをこちらに向けてぶ。

「彼を寄越せ!」

…はい?いや、意味がわからない。

その場にいるプレイヤー達も「何言ってんだこいつ」というような目をしている。

「いや、意味わかんねーんだけど。頭大丈夫?」

「うるさい!おい、審判!早く試合を始めろ!」

おい、無視すんなや。

俺の言葉を無視して金髪は審判に怒鳴どなる。

仕方がないので新しく思いついた方法で苦しめ…もとい戦ってやるとしよう。

俺がニヤリと笑っていると審判が慌てたようにぶ。

「そ、それでは!第2回戦1試合目シュウ選手vsシヴァ選手!」

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うっへえ、神様の名前つけるとか中二病こじらせ過ぎだろ…

俺は軽くバカにしながら【法則介】を準備する。

「【三重展開トリプル】」

シヴァがスキルを使用するとその頭上に3つの白の魔法陣が現れる。

「くらえ!【フレイムランス】【ピアッシングサンダー】【ウインドプレス】」

魔法陣がそれぞれ赤、黃、緑にそのを変えると炎の槍が、鋭く尖った雷が、風の圧力が、俺目掛けて飛んでくる。

対する俺は炎の槍に風の槍をぶつけて破壊する。雷は腰に帯びていた鉄のショートソードをぶん投げて避雷針ひらいしんとして使う。風の圧力には同じく風の圧力をぶつけて相殺する。

そして俺はなんのためらいもなく【法則介】のスキルを発する。

すると、シヴァが突然消える。正確には消えたのではなく落ちたのだが。

シヴァが立っていたその場所には深さ2m程度のが空いていた。

俺はに近づき覗き込むとの底でシヴァはなにが起こったのかわからない、といった表をしていたが、俺を見るなり睨みながらぶ。

「お前!なにをした!」

「スキルを使っただけなんだが?」

「そんなわけあるか!お前のスキルは壁を作るだけのゴミスキルだろ!」

ゴミスキル…あれ?なんだろう、すっげーぶっ殺したい。

俺が軽くキレかけている間にもシヴァは続ける。

「大なんで俺を拒否してまでお前みたいな冴えない奴にあのがつくんだ!」

「単純にお前の目つきが汚いだけじゃね?」

「汚くない!」

「唾つば、唾飛んでる汚い」

こんな風に俺がおちょくっているとついに頭にきたのだろう【三重展開】も使わずに普通のファイアーボールを飛ばしてくるので一歩後ろに下がって避け、を覗いてニヤリと笑いながら言ってやる。

「ねえねえ、今どんな気持ち?の中から魔法を撃つ以外の手段がないのにそれすら楽に躱かわされるのってどんな気持ち?」

會場中のプレイヤーがあるメガネの顔を思い出して殺気立つ。それはの下のクソガキも同様だったようで、さらに唾を飛ばしながら俺に向かって何かをんでいた。はっはっは、気持ちいいな!

俺が大笑してやるとさらに怒ったのかシヴァはぶ。

「くそ!この、貞が!」

「…あ?」

おそらく苦し紛れに言ったのだろうがいかんせん言葉のチョイスが悪かった。俺が最も言われることを嫌う単語をこいつは言ってしまったのだった。

雰囲気がガラリと変わってしまった俺の様子を傷ついたとでも勘違いしたのかシヴァは「はっ!貞かよ!」だの「貞のクセにあんなと一緒にいて大丈夫かよ!」などと暴言を吐く。

そんなシヴァに対し俺は__

「フッ、フハッ、フハハハハハハッ!」

笑った。全力でそれはもう周りがドン引きするレベルで笑った。

…ああ、こいつのことは許さない。全力でこいつに心的外傷トラウマを刻み込んでやる。

俺は笑うのを止めるとアイテムボックスから瓶を取り出して言った。

「おい、お前…覚悟できてるよな?」

「はっ、なんだ?またアイテムか?…おいまてなんでそれいてるんだ!」

シヴァは俺が取り出した瓶の中で蠢うごめいているカブトムシの蟲みたいな見た目の蟲を見て青ざめている。

この蟲の名前は【蟲スカベンジャーラーヴァ】というモブである。ちなみに長すると沼地のフィールドボス【食蝶スカベンジャーバタフライ】になるという設定らしい。

なぜ俺が敵モブである蟲をアイテムボックスにれていたのかというと、このサイズの蟲型モブやスライムなどは瓶などの容れればアイテム扱いになるということを発見したので何かの嫌がらせ…もとい、作戦に使えるかもしれないので取っていたのであった。

そんな蟲瓶を片手に持ってもう片方の手をアイテムボックスに突っ込み目的のアイテムを取り出す。それは1回戦でも使用した『パラライズボム』である。

そして俺は満面の笑みでこう言う。

「それじゃ、楽しんでいこうか!」

その言葉と共にパラライズボムを放り込むと上手く【麻痺】の狀態になったようなので俺は【法則介】を使って下に降りられるように壁に出っ張りを作る。【法則介】マジ便利、初日にディスってマジスンマセン。

そして、シヴァの前に立つとシヴァは憎々しげにこっちを見て言う。

「はっ、それで?麻痺にして何するんだよ」

「ん?こうするのさ」

そう言って俺はシヴァを蹴り倒しその腹に【ウインドカッター】で傷をつけるとライフが減りすぎないように回復ポーションを口に含ませる。すると傷は治らなかったがライフは回復する。(徐々に減ってはいるが)

俺の奇行に最初はギョッとしていたシヴァだがライフを回復させたことがわかるとこちらを嘲った目で見て言う。

「敵を回復させるなんてゲームしたことあんの?」

「…」

ニヤニヤしながら話しかけてくるシヴァを無視して次の工程に移る。

シヴァの腹部につけた傷口に蟲瓶の中の【蟲】を何匹か乗せる。

しばらくの間蟲達はうねうねと傷口の上を這い回っていた。それを見ながらシヴァは「なに?これが攻撃?ざっこ!」と笑っていたが次の瞬間その顔を歪めた。

「いってえ!なんだこいつら!噛みやがった!」

正確には蟲達は噛んでいるのではなく食べているのだが初期段階ではわからないだろう。

最初は余裕の表だったシヴァだが段々と自分のにめり込んでいく蟲達を見て焦りだす。

「お、おい!もういいだろ!助けてくれよ!」

「なに言ってんの?まだまだこれからだぜ?」

「あっ!ぎ、ひぃ!」

いきなり蟲達がめり込むスピードが上がった。おそらく腹のを食い破ったのだろう。おっと、そろそろライフが盡きてしまうな。

シヴァのライフが盡きてしまわないように口の中に回復ポーションを無理やり口の中に押し込んだ。シヴァのライフはまた8割程度まで戻って徐々に減っていく。

そうこうしているうちにギリギリ見えていた蟲達は全部シヴァのって行ってしまった。なのでさらに追加で瓶の中から5匹蟲を取り出して腸の隙間にねじ込むようにれる。シヴァが苦しそうな聲を上げるがガン無視である。

5匹ともねじ込み終えると最終工程にることにする。

俺はアイテムボックスから3つのアイテムを取り出した。

1つ目は俺が【錬金】を使って作り上げた【麻痺ポーション】である。効果は飲ませた相手に【麻痺2】のバッドステータスを與えるというもの。

2つ目は【回復ポーション】。これはもちろんシヴァのライフが盡きないようにするためである。

3つ目は沼地のフィールドボス【食蝶】のドロップアイテムである【】。これはあるモンスターを呼び寄せる効果がある。

まず俺は麻痺ポーションをシヴァの口にぶち込んで麻痺の効果を延長させる。続いて回復ポーションで丸出しだった腹部とボロボロに食い破られた臓を回復させていく。それにしてもこのゲームは臓やまでしっかり再現しているなんてよくできているな。

俺は心しながらも最後の工程に移っていた。

そして俺は泣いているシヴァに問いかける。

「さて、最後の工程だ。何か言うことは?」

「あっ、ひぅ!ごめ、ごめんなしゃ…」

「聴こえないなー!」

そう言うと俺はシヴァの部で何かが蠢いているかのようにく腹部に【】を塗る。すると__

ドパァッ!という音と共に蟲達が臓を抉り腹を食い破って飛び出してくる。さらにがかかった部分のをすごい勢いで抉り取っていく。その度にシヴァの片やが周囲に飛び散る。

「あぎゃああああ!ひぁあああああ!」

「汚いから唾飛ばすなよ…」

泣きぶシヴァを見ながら俺はそう呟くが痛みで聞こえていないのだろう。やがてシヴァのライフが盡きそうになったそのとき一気にシヴァのライフが回復する。なぜかって?俺がポーションをぶっかけたからだよ。

ほぼほぼ廃人と化したシヴァに対して俺はニヤリと笑って言う。

「さあ、まだまだこれからだ」

◆◆◆◆◆◆◆

30分後、そこには虛ろな目で虛空を見つめながら「あうあ…」などと意味のわからないことを言っているシヴァがいた。

そしてシヴァからいい反応が返ってこなくなったので俺は【ウインドカッター】で一気にライフを削って試合を終了する。

シヴァがNPC達に介抱されているのを橫目にアンリの橫に座る。

スススッ

なぜかアンリが離れてしまう。しかしここで諦める俺ではない!

諦めずにもう1度アンリに近づく。

ススススッ

「おい、なんで逃げる」

「自分のに手を當てて考えてください」

「アンリと俺のって同じくらいの大きさだと思う」

「誰がまな板ですか!毆りますよ!」

む、アンリに怒られてしまった。なぜだ?

俺が首を傾げているとアンリはため息を吐いた後近づいてきてくれた。ありがたい。

「まったく、次からはもっとよく考えて戦ってくださいね!」

「考えた結果がアレなんだが?」

そう言って俺はNPC達に介抱されているシヴァを指差す。

「…」

「…」

無言の時間が流れる。すごく気まずい…

そんな気まずさを殘したまま試合は進んでいくのであった。          

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