《Creation World Online》第14話

「ちょっと待てゴラァ!」

屋に向かう途中の大通りで俺たちはそう呼び止められた。

めんどいな…誰だ?

俺が面倒そうに振り返ると、いかにも頭の悪そうな脳筋チックな裝備の男が2人とアンリに絡んできていたヤンキー達が立っていた。

「何の用だ?」

「とぼけてんじゃねーぞ!ぶっ殺すぞ!」

俺が何の用かと聞くと男が唾を飛ばしながらそう言う。

汚いな…つか、またあいつらかよ。懲りねえやつらだな。

後ろでニヤニヤ笑っている共を見て俺はそう思った。

「なあ、アンリ。あいつらってお前の知り合い?」

「えっと…はい、そうですね」

「仲良かった?」

「そんなわけないじゃないですか。やめてくださいよ」

そう言ってアンリは本気で嫌そうな顔をしていたので本當に仲良くなかったのだろう。

そして先程から放置されていたキョウジは不思議そうに俺に尋ねる。

「なあ、シュウ。あの頭の悪そうなやつお前らの友達?」

「そんなわけないだろ。バカか」

「だよなー」

そう言ってキョウジはハハハと笑う。てか、わかってるなら聞くなよ。

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「テメェら!いい加減に…しろ、よ…?」

俺たちがそんなやり取りをしていると脳筋はついに頭にきたようでそう怒鳴ったがキョウジの姿を見て急に青ざめる。

なんだ?なにかあったのか?

「なあ、キョウジ。あいつ知り合いか?」

「いや、覚えがねえな。おい、お前。俺のこと知ってんのか?」

「は、はい!知ってます!スイマセンでした!」

そう言って先頭にいた脳筋は頭をさげる。え、マジでなにがあったんだ?

「ちょっとシンヤ!なんであんな奴等に頭下げてんの!?」

「お前バカかよ。なんで頭下げてんだよ」

共ともう1人の脳筋は頭をさげる脳筋シンヤにそう言って嘲笑うが脳筋は聲を荒げて言う。

「バカはお前らだ!あいつを知らねえのか!青校の悪魔桜木さくらぎ恭二きょうじだぞ!?」

「おいコラなに人の個人報垂れ流してんだ。毆るぞ」

「スイマセンでした!」

キョウジが握りこぶしを作って脅すとシンヤは土下座して謝罪する。

てか、悪魔ってこいつなにやったんだよ…

「ちょ!おい!嬢ちゃん達!違うから!そんな目で見ないでくれ!」

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俺とアンリがちょっと引いた目でキョウジを見ると焦ったようにキョウジはそう言った。

さすがにし可哀想なのでキョウジの俺は肩を叩きながらこう言う。

「ドンマイ。悪魔さん」

「悪魔って呼ぶなあああああ!」

そう言うとキョウジの手から闇の球がシンヤ達に向けて放たれると、シンヤ達は吹き飛んでしまった。

近づいて確認してみるが完全にノビてしまっていて、どうしようもないので放置していくことにする。

まったく…どうして俺の知り合いは面倒ごとばかり起こすんだろうか。

そう考えながら俺は武屋を目指して歩くのであった。

シンヤ達に絡まれた以外はなんの問題もなく俺たちは【エーテル武店】と看板のでた店にたどり著いた。

古い木製の扉を開くと、カランカランと呼び鈴が鳴る。

すると奧からパタパタという足音が聞こえ、NPCが顔を覗かせる。

『いらっしゃいませ!あ、シュウさん!』

「よ、頼んでたものが完したって聞いたんで取りに來た」

『はい!完してますよ!こちらです!』

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そう言って彼はカウンターの下から1本の薄い紫のショートソードを取り出した。

俺はそれを手に取ると軽く素振りをしてみる。重すぎず軽すぎない程よい重量だった。

「うん、悪くないな」

『當たり前じゃないですか。なにせ私が作ったんですから!』

「あーはいはい。そうだなー」

『な、なんて雑な態度…!酷い!私はNPCでもの子なのに!』

屋のNPC_【エーテル】は噓泣きをしながらそう言った。

「で、この武の名前は?」

『あ、それは【カラトスブレイド】って名前です』

「やっぱり噓泣きだったんだな」

『はっ、嵌はめやがりましたね!?!?』

「いや、お前が馬鹿なだけだろ」

『酷い!』

そう言って再度噓泣きを始めたエーテルを放置して俺が店を出ようとするとエーテルが慌てて俺の服の袖を摑んでくる。

「何の用だ?」

『余った素材はどうするんですか?』

「ふむ…なにが殘ってる?」

『えーと、【カラトスの鱗】が3枚、【カラトスの斬牙】が1本、【カラトスの革】が8枚ってとこですかね』

「そうか…」

んー、微妙な數だな…あ、そうだ。

「なあ、それ使ってナイフって作れるか?」

『ええ、まあ可能ですが…どのくらい作るんですか?』

「1本でいい、すぐに作ってくれないか?」

『すぐにですか!?まあ、1本ならできますけど…』

そう言うとエーテルは奧の工房へと引っ込んで行った。これで俺の勝利は盤石ばんじゃくなものになるぜ…

俺はステータス畫面に映っている武の効果を見てほくそ笑んだ。

そんな俺をアンリとキョウジが軽く引いた目で見てこう言う。

「シュウ君なにをニヤニヤしてるんですか?気持ち悪いです」

「シュウ…その顔は引くわ」

「2人とも酷くないか!?」

俺達がそんな風にワーワー騒いで待っていると工房からエーテルが戻ってくる。

その手には1本のナイフが握られていた。

…なんだかエーテルが嬉しそうだ。

『できましたよシュウさん!』

「おお…って、なんか違わないか?染とかしたのか?」

俺が持っているショートソードのが薄い紫なのに対し、エーテルが持ってきたナイフはもっと濃い紫だったのだ。

『シュウさん。いいですか?これは極々稀に起こる【超功】ってやつですよ』

俺が疑問を口にするとエーテルはちっちっち、と人差し指を立てながらそう言った。…なんかイラッとするな。

俺が握り拳を作るとエーテルはビクッとを跳ねさせて頭を庇かばう。なにこの反応速度。

正直涙目のの子を毆るのはどうかと思うので俺は握り拳をとく。それにアンリとキョウジからの視線も痛かったし。

「はあ…いいから説明はよ」

『は、はい!えっとですね超功っていうのは武を作する際に稀に起こる現象で武が変質します』

「変質…?ああ、お前みたいになるんだな」

『違いますよ!誰が変質者ですか!』

お、今の変質って言葉だけでよくわかったな。なかなかに腕を上げたようじゃないか。

俺がエーテルの長に心で喜んでいると、何が不満なのかエーテルがジト目で俺のことを見てくる。

「なんだよ?」

『シュウさん…いえ、なんでもないです。早くこれ持って行ってください。余った素材は代金としていただいておきます』

「え、ちょ、おい!」

エーテルはそう言って俺にナイフを押し付けると、俺たちを店の外にグイグイと押しやって店のドアを閉めてしまった。

ろうとすると目の前に【侵不可能】のアイコンが浮かび上がるあたり、エーテルの本気がうかがえる。

まあ、ナイフも手にったわけだしこの店にはもう用は無い。

俺が次の行き先を決めて歩き出すと、アンリが慌てて俺についてきてこう尋ねた。

「シュウ君、次はどこに行くつもりなんですか?」

「んー、南の窟のモンスターで新武の実験でもしようと思ってな」

「ふーん、そうですか…あれ?キョウ…悪魔さん、どうしたんですか?」

ん?キョウジのやつがどうかしたのか?

アンリが何かに気づいたようにキョウジのことを呼んだので後ろを振り向いてみると、キョウジは先程の場所からかずに空中で指をかしていた。おそらくメニューを作しているのだろう。

キョウジは俺たちの視線に気づいたのかこちらを見てし苦笑いを浮かべながらこう言った。

「ん?ああ、いや。ちょっと用事が出來てな。これからは別行させてもらってもいいか?あと、悪魔って呼ぶな」

「ああ、別に構わないぞ」

「サンキュー、それじゃ!」

「え、おい…ってもう行ったのかよ…速えな」

「すごいですね〜、彼か何かですかね?」

凄いスピードで走り去っていったキョウジを眺めながら俺たちは勝手なことを言っていた。

それにしても彼か…

俺はチラリとアンリの方を見るとアンリと目があう。

そして何故か気恥ずかしくなって前を向いて慌ててこう言った。

「さ!早く行こうか!」

「あ!ちょっと待ってくださいよ!」

_『ミノー鉄鉱』_

薄暗い窟の中でピトンピトン、と一定のリズムで滴る水の音とコツンコツン、と響く2つの靴音が響く。

源は手に持ったランプのだけで、前後共にの先はまさに暗黒であった。

そんな中を俺たちは歩いていた。

「なあ、アンリさんや」

「なんですか?」

「離れてもらっていいですか?」

そう、先程からアンリが俺にくっついていて歩きにくいのだ。

俺がそんな風に言うとアンリはキリッとした聲でこう言う。

「嫌です」

「即答かよ!そしてキリッとするんじゃなあああい!」

「やめてください!引き剝がさないでください!1人にしないでください!」

俺がアンリの顔を押して引き剝がそうとするが、アンリはがっちりと俺の足と腰にしがみついて離れようとしない。

「この…っ!いい加減に…っ!?おい!アンリ!敵だ!」

アンリを引き剝がそうと風魔法をぶちかまそうとしていると俺のスキル【敵知】に2匹の敵が引っかかる。

前方に集中していると暗闇から唐突に巨大な蜘蛛くもが2匹飛びかかってきた。

俺は先に飛んできた蜘蛛に向かって手に持ったショートソードを振ると、明らかに刃先が屆いてる距離では無いにもかかわらず蜘蛛のが真っ二つになる。

これはカラトスソードの特徴で刃の延長というものだ。

スキルの風纏いと併用して使うことで本來の2倍のリーチとなるのである。ちなみに魔法のとして使用すれば、魔法の飛距離も2倍となる優れものである。

そして俺は開いた右手で炎の槍を生み出すと槍で蜘蛛を貫くと、蜘蛛はの粒子になって消えていった。

気がつくといつの間にかアンリが俺から離れていた。

「お、なんで急に離れたんだ?」

「い、いえ。なんでもありませんよ」

「ふーん…あ、足元に蜘蛛が…」

「【アースボム】!【アースボム】!【アースボム】!」

「ちょ!まて!噓!うぉああああ!」

俺があまりにも態度がワザとらしいアンリに噓をつくとアンリは必死に何度も土魔法の【アースボム】を使用し、周囲が発して俺も吹き飛ばされそうになってしまう。

「はぁ…!はぁ…!ムシ、コロス…!」

「まてまてまてまて!噓だから!てか、キャラ変わりすぎだろ!」

「う…そ…?ちょ!なんですかシュウ君驚かせないでくださいよ〜」

「驚かせるなはこっちのセリフだ!見ろ!HPが2割も減ってんじゃねえか!」

俺が怒鳴るとアンリは視線をそらして下手な口笛を吹いた。吹けてないけどな。

イラっとした俺は下手な口笛を吹いているアンリの頬を右手で摑むとそのまま壁に叩きつける。

ドォンという音と共にアンリが「グエッ」と、おおよそ子が出しそうにない聲で鳴く。

「な、なにするんですか!痛いじゃないですか!」

「喧しいわ!自分の非を認めやがれ…ってなんだこの?」

なんとアンリを叩きつけたフィールドの壁が崩れて、人1人なら余裕で通れそうなが出てきたのである。

俺は【地図作】のスキル持ちのプレイヤーが作した地図を開いてみるが、このようなのことは一切書かれていなかった。まさか隠しエリアか?となると、なんの報もなしに行くのは危険すぎるな。ここは一旦街に戻るとするか…

「なあ…アンリ一旦いったん街に戻…」

「シュウ君なにしてるんですか?早く行きますよ!」

「お前なにやってんの!?」

俺がアンリに聲をかけようとすると、アンリはもうすでにの中へと進んでおり、こちらに手を振っていた。

俺はダッシュでアンリに近づくと全力で頭を叩はたく。

「痛いったあ!なにしてくれてんですか!」

「なにしてくれてんだはこっちのセリフだアホ!もっと警戒心を持てよ!」

「なに言ってるんですか!隠しエリアですよ!?行くしかないじゃないですか!」

「バカか!なにが待ってるかもわからないのに行くやつがあるか!ほら來い、街に戻るぞ」

「いーやーでーすー!行きたい!いーきーたーいーでーすー!」

子供か!

駄々をこねるアンリを引きずりながらから出ようとすると背後から足音が聞こえてくる。

「アンリ、何か來るぞ」

「え、蟲ですか?ブチ殺してやりましょう…!」

「多分違うと思うからやめろ」

俺たちがそんなやり取りをしていると足音は徐々に近づいてきてその姿を現した。

この世界に似合わないような赤のパーカーに純白の白を羽織った、白い髪に黃金に輝く瞳の整った顔立ちの小學生くらいの年が立っていた。

年はニコリと笑うとこう言った。

「こんにちは、シュウさんとアンリさんだよね?おじさんが會いたがってるから一緒に來てくれない?」

「まあ、テンプレな返しだと思うが嫌だと言ったら?」

「それなら帰っていいって言ってたよ」

「帰っていいんかい!」

俺がそう聞くと年は當たり前じゃないと言いたげな表でそう言った。

年は溜息を吐きながら首を振るとこう言った。

「正直強制的に連れて行くのって面倒なんだよね。できれば嫌々じゃなく自主的に來てしい」

「変な奴だな…でも、俺らは帰らせてもらうぞ?一度街に帰って他のプレイヤーに相談しないといけないからな」

とりあえず決勝戦にいるプレイヤー達への説明はしないといけないだろ。

俺がそう言って帰ろうとすると年はうーん、と指を頬に當ててしの間考えていたが、何かを思い出したかのように口を開いた。

「んー、でももう一度ここに來るのは無理だと思うよ」

「なんだと?どういうことだ?」

「えっとねー、今回お兄さん達がここにれたのって運が良かったんだよね。的に言うとステージのデータが緩んでたんだ。多分あと5分もすればそのもふさがると思うよ。さらにご丁寧に強化までされてね」

「つまりここは…」

「そう、俗に言う【壁の中】狀態だね」

そうやって年が笑った時、ゴゴゴと地響きが鳴り出しがどんどんと埋まっていく。あと5分は時間があるんじゃなかったのかよ!!!

俺がそんなことを考えている間にもは塞がり始め、ついに完全に閉ざされてしまう。

「おい、どういうことだ!5分はあるはずじゃなかったのかよ!」

「シュウ君!手!」

手?何言ってんだ?

アンリに言われて手を見てみると指先から解ほどけるように消滅して行っていた。死亡エフェクトとは違い、まさに解けるというのが正しいような消滅の仕方だった。

アンリの方を見てみるとアンリも足元から消滅しているようだった。

俺は先程からこちらを見ていた年にこう詰め寄った。

「おい!どうなってんだ!」

「あ、そっか。まだお兄さん達フィールド外に対応はしてないのか…」

「どういうことだよ!」

確かに年のアバターは一切解けていない。

俺が疑問を口にすると年は笑いながらこう言った。

「大丈夫だよ、お兄さん。安心して」

「ああ?何言ってんだ?安心できるわけねえだろ!」

「口調変わってるよ。仕方ないなあ【未踏:認可】」

年がそう呟くと解けていたがビデオの逆再生の様に修復され元に戻る。そういえば今の小學生ってビデオの逆再生って通じるんだろうか?通じないんだろうな。

それにしても…この年は何者なんだ?さっきのスキル…【未踏:認可】は普通のスキルとは違う気がする。

「なあ、お前。さっきのスキルもしかして…」

「固有スキルではないよ」

あ、違うのか。

俺の考えは否定される。しかし、固有スキルではないのならなんなのだろう。

俺の考えを読んだのか年はニッと笑ってこう言った。

「答えが知りたかったらついてきてほしいな」

「…仕方ない。おい、行くぞアンリ」

「はーい、わかりました」

俺はアンリにそう聲をかけるとアンリは立ち上がってこちらについてくる。

それを見て年は歩き出したが、突然「あ」と言ってこちらを振り向いてこう言った。

「僕の名前はユウタだよ、よろしくね。お兄さん達」          

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