《Creation World Online》第44話

パリッと糊のりで固められたワイシャツ、折り目正しくアイロンをかけられたズボン。

最後に黒を基調とした上著を羽織っている。

多分これで大丈夫だろ。

「シュウ君…」

自分の服裝を軽くチェックしているとそう聲をかけられる。

そちらを振り向くとガチガチに張したアンリが濃紺のドレスを著ていた。

「ふっ、アンリは自信なさすぎ。どう、シュウ似合う?」

そう言って真っ赤なドレスを著たナクがこちらに歩いてくるとクルリと一回転する。

その満なを強調するかのように、ナクの著ているドレスは肩出しで、がっつりと背中が開いており中々に扇的だった。

「2人とも似合ってると思うぞ」

「本當ですか!いやー、シュウ君を発させちゃうなんて私も罪なですね!」

「シュウを発させたのは私、私こそ罪な。うっふん」

いや、発はしてないけどな。

なぜ俺たちが正裝をしているのかというと、第2界層攻略祝いと兼ねて、レイドパーティーを組むために何人ものプレイヤー達が集められていたのだ。

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まあ、プレイヤーなら誰でも參加可能なんだがな。

「ははっ、騒がしいな」

「ああ、キョウジか。そっちの子は?」

ヘラヘラと笑っているキョウジの橫に黒髪のちょっと目つきの鋭いの子が立っている。

「初めまして、ユノっていいます。いつも兄がお世話になってます」

そう言ってペコリと頭を下げるユノ。

そんなことよりキョウジの妹だと!俺はそこにびっくりだわ!

「キョウジ、お前妹いたんだな。しかし、お前に似てないな」

「まあ、は繋がってねえからな。似てないのは當然じゃね」

いや、笑いながらカミングアウトするなよ。

ユノも「えっ、言っちゃうの」って呟いてるし。

そんな風に話をしていると會場がガヤガヤと騒がしくなった。

見てみれば會場のステージの上に主催者である天議會のメンバー達が立っていた。

すると、ハーが一歩前に出てマイクのようなを懐から取り出した。

「プレイヤーの皆様、お忙しい中ご足労ありがとうございます。さて!本日はささやかながら2界層解放のお祝いとパーティー作を兼ねまして、このような會を開かせていただきました。どうぞ心ゆくまでお楽しみください」

ハーはそれだけ伝えると一歩下がる。

それと同時によくわからんがクラシックっぽい音楽が流れ出す。

「さてと、なに食べましょうか」

「ん、それじゃ行こ。ほら、ユノもこっち」

「えっと…私もいいんですか?」

そう言ってアンリ達は話しながら何処かへ行ってしまう。

俺は當然置いて行かれたわけだが。

仕方ないのでキョウジと回ることにする。

「仕方ないな。おい、キョウジ一緒に_」

「くっ…ユノについに友達が…!でも兄としては寂しい…!複雑な心境だっ!」

そこにはそう言いながら泣いている魔王キョウジがいた。

よし、置いていこう。

瞬時にそう判斷した俺はさっさと歩いていく。

周りのプレイヤーがキョウジを見ているが知ったことではない。知らないと言ったら知らないのだ。

「あの!シュウさん!僕達とパーティーを_」

「悪い、パス」

俺がそう返すと、聲をかけてきた年はしょんぼりとした顔になって人混みに戻っていく。

これで何度目だ?

俺がイライラしていると、前の方からワイワイと騒がしい集団がやってきた。

見てみれば中の下くらいのとそれを囲むようにび諂へつらっている男が4人、という典型的な姫と従者、といった様子のやつらが歩いてくる。

面倒くさそうだな。スルーするか。

「ねえ!そこのあなた!」

傍わきを通り過ぎようとすると、に聲をかけられる。

…正直面倒だな。

俺が聴こえなかったふりをして歩き去る_

しかしまわりこまれてしまった!

おい!ふざけんなよ!

「はぁ…はぁ…あなたよ。あ・な・た。ねえ、あなたシュウでしょ?」

「あ、ああ。そうだが何の用だよ」

「あの〜、みーの、パーティーにれてあげるねっ!」

『プレイヤー【みー(*^o^*)】さんからパーティー【☆みーのお城☆】に招待されました』

拒否っと。

「えっ!なんで拒否するの?」

「いや、あのな…_」

「お前!姫のいを斷るとはなんということだ!」

そう言って俺の前にガリガリのメガネが立ち塞がる。

なんということだって言ってもな…

「いや、そもそもいきなりパーティー招待とかバカじゃねえの。オンラインゲームのマナーとしてどうなんだよ」

「ふん!関係ないね!姫のいだぞ!嬉しくないわけないだろ!」

「もう!トキタ君たら!」

「ひ、姫…!」

トキタと呼ばれたメガネはに抱きつかれて顔を赤くし、鼻の下をばしていた。他のメンバーも顔を赤くしていた。

なにこの茶番。帰っていい?

「ひ、姫!拙者も許せぬでござる!」

そう言ってデブが前に出てくる。メガネに発されたんだろうけど、俺からしてみれば面倒くさいことが増えたってだけなんだけど。

「お、俺だって!」

「僕もだし!」

「みんなっ…!大好き!」

なんだよ、結局全員出てくんのかよ。

「あのさ、帰っていい?」

「ふん!そんな強気な態度も今のうちだ!【ウォータースラッシュ】」

おいおい、パーティー會場でスキルを使うなよ!

「はあ、面倒くさいな【エアカウンター】」

俺はデブが放った水の刃を風で跳ね返す。

すると、跳ね返った水の刃はデブの腕に見事に命中し、デブの右腕が宙を舞う。

「うぐぅ…!」

「な?もうやめにしようぜ」

俺がそう言うも、デブや他のメンバーの目から闘志は消えていなかった。

そう言えばさっきから靜かだな。

周囲を見渡してみればプレイヤー達は円を描くように俺たちを取り囲んでいた。あのも後ろに下がってやがる。

「行くぞぉおお!」

「うおっ!【法則介】」

周囲を見ていた俺にいきなり斬りかかってきたメガネの攻撃を防ぐために鉄剣を作り出す。

攻撃はけ止められたはずだった。

しかし、俺の予想と反し、メガネの長剣は俺のを切り裂いたのだった。

なにが起こったんだ…?

「ふふはっ、見たか!これが俺の固有武過剣】の能力だ!」

「今のうちだ!やっちまえ!」

倒れた今がチャンスだと思ったのか従者共が俺に殺到する。

くっ…!これはヤバイな…

「【キューブボマー】」

その時、會場にスキル名が響き渡った。

次の瞬間、俺の周囲で発が起こり、従者共が吹き飛ばされる。

聲の聞こえた方向を見れば、そこには怒りの表を浮かべたアンリが杖を持って立っていた。

「さあ、クズ共!ゴミ掃除の時間ですよ!」

そう言ってアンリが杖を一振りすると、アンリのドレスの裾から無數の5cm四方の半明な橙だいだいの箱が飛び出す。

箱が未だ転がってうめいている従者共の腕や足を囲むように円を作ると、発する。

「っ!?あぁあああああああ!」

が響き渡る。

煙が晴れると、そこには手足を失った従者達が転がっていた。

「その汚い聲を消してあげます」

アンリが更に杖を振れば、上空で待機していた箱がき出す。

「アンリ待て!」

「っ!そうでした!ナクさん!」

俺の制止で止まったアンリは慌てたようにナクの名を呼ぶ。

そう言えばナクとユノの姿が見當たらないな。

「ん、シュウここ」

「うおっ!びっくりした…」

なんで橫にいるんだよ…

いつの間にか俺の橫に立っていたナクはドヤ顔をしながらアイテムボックスからポーションを取り出し、俺にかける。

力が回復した俺は立ち上がると指を鳴らす。

「さて、好き勝手やってくれたな?覚悟は出來てるよな?」

俺はそう言うと同時にスキル【暴風撃】を放つ。

すると、俺の足元から風が発生し従者達はゴロゴロと無様に転がっていく。

姫と呼ばれていたは怯えたように、座り込み足元を濡らしていた。

「ねえ、ごめん。許して?」

「ちょっと無理かな」

「わかった、じゃあチューしてあげる!」

「汚い汚い」

おっと、自然と口から出てしまった。

俺がそう言うとアンリが突然キスをしてくる。

「私がいるのであなたのようなブスはノーサンキューです」

そして、を見て一言そう言った。

おい、言ってやるなよ。俺も思ったけどさ。

さらにナクも俺にキスをする。

「私もいる。の程を知るのは大事」

ナク、お前もか…

「雙方そこまで」

小さいのによく響く、そんな聲が會場に響き渡った。

聲の主は【皇帝】レノンだった。

結局、レノンの介で解散になったが、もっと早い段階で來ていればやつらは怪我することなかったんじゃないか?

その後、俺にしつこく勧をしてくるものもおらず、俺たちは楽しく食事をしたのであった。          

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