《Creation World Online》94話
薄暗い廊下を1人で駆ける。
時折襲撃してくる敵対者を、剣や魔法で吹き飛ばし進んでいく。
すると、突然何かが発するような轟音と共に城が揺れ、パラパラと細かい塵ちりが天井から降ってきた。
【解析】スキルを発すると、発生源はこの真下の地下30m程の所のようだった。
「エンリベル…ではないな。となるとアンリか…。あいつ、なにやってんだ…?」
下に繋がる通路もわからないので、床でもぶち抜こうかと考えていると、後ろに人の気配をじる。
振り返ってみると、そこには肋骨が數本欠損し、頭蓋骨にヒビがり、ボロボロの姿になったエンリベルが立っていた。
「申し訳ございません…。予想以上に、対象が強く逃げ帰ってしまいました…。この場所は危険です、早く逃げましょう」
「いや、アンリがこの下に…」
「シュウ様!今はそのような事を言ってる場合ではありません!」
し語気を強めてそう言ったエンリベルの言葉を聞いた瞬間、俺はエンリベル目掛けて風魔法【ラピッド・エア】を放つ。
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威力は然程高くないが、速度と展開速度が最も速い風魔法がエンリベルにぶつかる。
風によって吹き飛ばされたエンリベルが、床に叩きつけられる。
「なにをなさるのですか!今はこんな事をしている場合では─」
「2つ」
「は?」
間抜けな聲を出したエンリベルに向かって、俺は人差し指と中指を立ててそう呟く。
「お前は2つの間違いを犯した。1つ目、エンリベルは俺のことをシュウ様ではなく主様と呼ぶ。2つ目、俺にアンリを置いていくようなことを言うわけがないだろ。むしろエンリベルなら直ぐに床をぶち抜く。つまり…お前は偽だ」
「ククク…クックック…アハハハハハ!」
見事な高笑いの三段活用で、エンリベルが笑うと立ち上がる。
すると、その頭蓋骨にっていたヒビが広がり、パラパラと骨が崩れ落ち、中から胡散臭い顔の男─クレートがその姿を現した。
「いやはや…まさかバレるとは思っていなかったネ」
「ははっ、お前が変能力を持っているって知らなかったら信じていたさ」
「変能力だけが俺の能力じゃないヨ!【黒】」
短い詠唱で生み出された黒の剣、槍、メイスがまるで生きているかのように、俺目掛けて斬り、突き、叩き潰そうと迫る。
能力のコピーまで出來るのかよ!厄介だなちくしょう!
迫り來る武を剣や魔法で弾きつつ、舌打ちをする。
「アハハハハハ!どうしタ!」
「うるっ、せえ!黙ってろ!」
なんとか迫り來る武を弾き続けているのだが、徐々に押されておりには小さな過傷がいくつか出來ていた。
このままだと間違いなく負けるな。
そう判斷した俺は、固有技能【世界介】の権能である『領域エリア』を発。
一瞬で周囲の風景が緑の0と1に変化すると、その形を変えていく。
殺風景だった城の廊下は、赤熱する溶巖が噴き出す火山地帯へと変化した。
クレートは突然の景の変化に一瞬驚いていたが、直ぐに注意をこちらに戻す。
「ハハッ!なにをするかと思えば…エリアを変えたところでなにになると言うんだイ?」
「こうなるんだよ『セット:溶巖ラヴァ。全域オールエリア』『チェンジ:地形フィールド。形フォーム:円ドーム。対象ターゲット:俺』」
俺がそう呟くと【世界介】の力畫面に対応したコードが打ち込まれる、すると暗かった空が突然まるで燃えているかのように赤くりだす。
いや、燃えているようにではなく、燃えているのだ。
先程までチリによって日を遮られていた空、そこにあるのはチリを含んだ分厚い黒雲ではなく、赤々と燃え盛る溶巖だった。
そんな溶巖が空を覆い盡くす様は、まさに終末のような景だった。
次に俺の足元がりだすと、半明のドームによって完全に周囲を閉される。
その時だった、空を覆い盡くしているだけだった溶巖がまるで滝のように地面目掛けて降り始めたのだった。
全てを焼き盡くし、飲み込む赤の濁流は直ぐに収まった。
解けるように半明のドームが崩れると、熱気がチリチリと俺のを刺激する。
周囲にはし溫度が下がって、黒みを帯びた溶巖が散らばっており、どう考えても人が生存できるような狀態ではなさそうだった。
しかし、その場所に服が焼け焦げ、半が炭化しているにも関わらず、クレートはその場に立って生存していた。
「へぇ…しぶといな」
「ふん、この程度なんてことないネ。シャワーかと思ったヨ」
「そうか、それなら追加だな。『履歴』」
「ちょ、まっ─」
外から何か聞こえたが知ったことではない、俺は履歴から先程のコードを再利用すると、同じ景が繰り返される。
終了すると、そこには息も絶え絶えといった様子のクレートが倒れ伏していた。
「な、なんて鬼畜…!」
「いや、お前が余裕だって言ったから。俺悪くないだろ」
そう言うと、クレートは「マジかこいつ」という表を浮かべる、なんでそんな顔をされなきゃならないんだ。
「さて、そろそろ拘束させてもらうぞ。々とこれでも忙しいんでな」
「フン、そんな簡単に捕まるかヨ!」
クレートは殘っていた右腕に一切沢のない真っ黒なナイフを取り出すと、それを己の脇腹に突き刺した。
「うぉああああ!?なん、ダ…?頭が割れるッ!?っぁああああ!」
炭化した部位周辺の生きているから突然が噴き出すと、炭化した部分が剝がれ落ちる。
切斷面が蠢くと、ピンクの新しいが生み出され、そのを覆っていく。
額に捻れた二本のツノが生え、背中からは蝙蝠こうもりのような翼が現れる。
ピンクだった全が徐々に淺黒く変していく。
クレートは、掌を開いたり閉じたりすると無造作に腕を橫に薙ぐ。
それだけで大地が割れて、遠くの火山が切斷され、音を立てて崩れ落ちると、切斷面からマグマが噴出する。
「フハハ!素晴らしい!これ程とはネ!さあ…次はお前の番だヨ」
そう言ってクレートはこちらに掌を向ける。
いや待て、おい待て、すごく待て。なんで強化されてんの!?おかしくない!?
「ちょ、ま─」
「死ネェエエ!」
俺の制止も虛しく、クレートの掌から赤い線が放たれると…そのままクレートに跳ね返った。
一瞬理解が追いつかないというような表を浮かべたクレートは、線によって半を蒸発させて地面に倒れ伏す。
「な、なにをしタ…?」
「あーあ、だから待てって言ったのに…」
俺の固有技能【法則介】から【世界介】へと進化ことによって、今まで出來なかった運営レベルでの干渉を行えるようになっていた。
そして、俺が先程行った『領域』という権能はエリアを自在に変更するものだった。
正確にはエリアを変更するのではなく、新たなマップを生み出し、既存のマップと重ね、既存のマップを破壊することによってエリアを変更するというものだった。
そして、ここからが『領域』の真骨頂と呼べるもので、『領域』によって作されたエリアには、そのエリア限定のルールを設けることが出來るのだ。
つまり、このエリアにいる限り俺は最強ということだ。
とはいえ、同じようにエリアに干渉する能力や、エリア外からの攻撃には一切効力を発揮しないためその場合は自力で戦うしかないんだけどな。
「そんな能力ありかヨ…」
そう呟いたクレートは、そのまま眠るように気絶してしまった。
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