《Creation World Online》98話

「はぁあああ!?」

屋敷にアンリの絶が響き渡る。

「耳痛いからぶな!」

「な、ななな…なんでんでるんですか!?」

「まあ、仕方ないじゃありませんか」

キョウジを抱き抱えてでていたユノがそう言う。その頬は心なしかし緩んでいた。

「兄さんがこんなにかわい…小さくなってしまったのはクエストの効果によるものでしょう。そのチェーンクエストをクリアすれば元に戻ると思います」

今完全に心の聲れてたな。

すると、俺のがヒョイっと持ち上げられる。

首を曲げて上を見上げると、そこにはし頬を膨らませたアンリがいた。

「可いのはシュウくんです!」

「はあ?何言ってるんですか?兄さんが1番に決まっているでしょう」

「何言ってやがるんですか!この腹黒!」

「ああん!?何言ってんだはこっちのセリフですから!このど貧!」

「はあ!?」

「ああ!?」

バチバチと火花を散らして睨み合うアンリとユノ。

すると、突然2人の頭の上に雪が出現する。その主はナクである。

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「2人とも喧嘩やめて。子供の教育に悪い」

「おい待て、子供扱いするな」

「そうだぞ!ナクちゃん!俺は立派な大人だ!」

俺もキョウジも実年齢に換算するともう人を超えてるんだよな。

しかし、俺達の必死の抵抗も虛しくナクは俺とキョウジの頭をで続けている。

チェーンクエストの報収集のために俺達は、報屋ギルド『信用會』に行くことにした。

「すいませーん!」

「お、アンリちゃんにナクちゃん!鬼畜が居ないなんて珍し…ハァアアン!?」

付で作業を行なっていた1人の男プレイヤーが俺を見てそんなび聲をあげる。

そんな付のび聲を聞いて、奧から數人の職員達が現れては同じ反応をしていく。

「なんだあの目付きの悪い子供」

「もしかして…鬼畜の子供?」

「な、なんだって!だとしたら一大事だ!どっちの子供なんだ!?」

「抱っこしてるのはアンリちゃんだし、アンリちゃんじゃね?」

「いやいや、あの無気力な眼差しはナクちゃんだ!間違いない!」

アンリの子供だとか、ナクの子供だとか、カウンターの向こうで職員達が議論しているのを見て、他の付NPC達が眉間を抑えながら溜息をついていた。普段からかなり苦労しているんだろうな。

すると、議論をしていたはずの職員達が俺を見つめ、そのの1人がこう言った。

「ボクのお母さんは誰かな?お兄さんに教えてもらえるかな?あ、お父さんのお名前はシュウで間違いないかな?」

「シュウは俺なんだが?」

俺がそう言った瞬間、目の前の職員達の笑顔が固まった。

「おい!なんかとんでもねえこと言われたぞ!」

「あの子供が鬼畜?なんでまたそんな事に?」

「まさか…児プレイ?」

「…ああ!なるほど!これは、大スクープだ!」

「ん?何か言ったか?」

出現させた巨大な火球を両の手に出現させながらそう問いかけると、職員達は涙目で首を橫に振った。

ため息を吐いた俺は、火球を解除する。

すると、奧から眼鏡をかけた1人の青年が姿を現した。

「なんの騒ぎですか…おや、シュウさん中々愉快な格好をしてらっしゃいますね」

「あのなあ…俺だって好きでこんな格好してるわけじゃないんだよ」

「わかってますよ。それで、今日はどうされたんですか?」

そう言って眼鏡の青年、エンライは和な笑みを浮かべる。

「ああ、今回頼みたいのは今俺がけているクエストについての報だ」

「なるほど、わかりました。それでは手を貸してもらえますか?」

エンライが俺の差し出した手を握ると、勝手にエアディスプレイが展開され、緑のが俺の腕を介してエンライの中にっていく。

「…さて、それでは始めましょう【観測者】」

エンライがスキルを発した瞬間、エアディスプレイがいくつも展開され、様々な景やグラフなどが現れる。

これはエンライの固有技能【観測者】の力である。

CWOにおける、ほとんどの報を一瞬で収集できるという完全に報集めに特化したスキル。そのため、初期の段階では彼を巡ってプレイヤー同士の爭いが絶えなかったのだが、ある1人の男、信用會のギルドマスターである『コクゲン』によってその爭いは沈靜化され、以降エンライは信用會のサブマスターとしてギルドの運営を行っているのであった。

「ふむ…なるほどね。わかったよ。チェーンクエストの発生場所は…ここだ」

「86界層しかも、プレイヤー未踏のエリアだな」

86界層、それはつまり現狀最高難易度の敵が出現し、さらにプレイヤー未踏の地となれば何が待ちけているのかわからない。そして、現在の俺にはある問題があった。

時を奪う、あのが言っていた言葉の意味、それは俺のステータスにあった。

俺のレベルは483。しかし、児化した現在、俺のステータスは、レベル100相當しかないのだ。當然スキルも制限されており、ある程度ゲームに干渉できる【世界介】も使用制限されていた。

そのため、86界層の敵に対して火力が足りず、さらに耐久力も足りない。完全なお荷というやつだ。

ひとまず、キョウジ達と話し合いをするために一旦俺達は屋敷に帰ることにした。

「【ラピッド・フレア】」

アンリの放った火魔法が、カクカクと妙なきをする氷のゴーレムにヒットすると、ゴーレムのに巨大なが開く。

「…チッ、足りませんか。ナクさん!」

「用意できてる。【アンリミテッド・ハイネス・グラビティ】」

ナクの振るった杖の先から8つの黒い球が出現すると1つに合し、ゴーレム目掛けて進んでいく。

がゴーレムと接した瞬間、ゴーレムが渦を巻くように吸い込まれると、戦闘終了を宣言するリザルト畫面が表示され、経験値や素材などが俺達のアイテムボックスに収納されていく。

「流石、最新界層。アンリと私含めて中位魔法1発と超魔法を1発使わされた」

「でも、もうしで目的地ですからね。し休憩したら行きましょう」

アンリの掛け聲で俺達は近くの巖などに積もった雪を払い、その上に腰掛けた。

第86界層、そこは雪と氷に閉ざされた絶対零度の世界で、出てくるモブもほとんどが氷屬、特徴として打撃以外の理攻撃は完全に無効だという點だろう。

あの後、屋敷に帰った俺達はキョウジに報を話し、チェーンクエストは片方がクリアすれば攻略扱いになる、というシステムを考慮して話し合った結果、俺達のパーティーが行くことになったのだ。

「にしても、魔力の消費がバカになりませんねえ…」

「そのために俺とナクは徹夜でマジックポーションを量産したんだぞ?」

白い息を吐き出しながらアンリが飲んでいる淺蔥の正は、俺とナクが量産したマジックポーションなのだ。そのおかげか、ここ數ヶ月レベルが上がっていなかった【錬金】スキルが1レベル上がったんだよな。

「まあ、そうなんですけどね…。なんていうか、原材料を聞くと飲みたくないんですよね…」

「それは…うん、わからなくもない」

マジックポーションの原料ってゴブリンの…いや、やめておこう。これは深く考えちゃいけない。

「さて、それじゃ行きましょうか。寒冷耐のポーションの効果が切れる前にキチンと飲んでおいてくださいね」

瓶にった真っ赤なをアンリからけ取る。

しかし、1つだけ問題があるのだ。

「あれ?シュウくん飲まないんです?」

「飲まないと寒いよ?」

「ああ、いや。味覚が子供に戻ってるから、刺激が強すぎて、な…」

ぽかんとする2人。

恥ずかしい!死にたい!

「もう!それならそうと早く言ってくださいよ!」

「ん、水臭い。私達は仲間」

「2人とも…」

そう言った2人の表は、恥ずかしいのかし赤らんでいた。

そんな2人の言葉にしてしまった。まったく、最高の仲間を持ったものだ。

「だから…せめてその手をどうにかしろ!おい!どこってる!やめろ!服の下をまさぐるな!」

「…し大人しくしてて」

ナクの顔が近づくと、らかいものが口に押し付けられる。どうやらナクののようだ。

その瞬間、強い眠気に襲われる。

「な、何を…」

「最近作った睡眠薬。ボスモンスターもイチコロ」

「なんてもん使ってんだ!」

狀態異常の効きにくいボスモンスターもイチコロって、明らかにレアアイテム使ってるだろう!

「クソ…無駄遣いしやがって…」

「羊を數えてたら終わる。おやすみなさい」

ちろりと妖艶に真っ赤な舌を出すナクと、息遣いが荒く、今にも飛びかかって來そうなアンリを最後に俺の意識は暗闇へと落ちていく。

俺は、目覚めたら2人を毆るとその心に決意を固めるのであった。

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