《Creation World Online》102話

3界層『シラクサの森・郊外』シュウパーティー、パーティーホーム。

暗い地下通路の魔法陣が輝くと、黒のローブを著た人が現れる。

フードを目深に被っているため、その顔は見えないがつきから見てどうやらのようだった。

が魔法陣から一歩踏み出すと、突然警報が鳴り、壁が剝がれる。

剝がれた壁の様に見えたものはゴーレムであり、侵者捕縛用のトラップだった。

ゴーレムは、侵者を捉えるべくに突進する。

しかし、ゴーレム達がれようとした瞬間、の姿がぶれ、まるで瞬間移したかのようにゴーレムの背後に現れる。

再度ゴーレム達はを捕まえようと振り返り、そのまま崩壊した。

「ふふっ、まあこんなものかしら」

そう笑って靴を鳴らしながら歩き始めたの両の手には、ゴーレムの核である魔石が握られていた。

錆びた音を立てて牢屋の扉が開くと、その音に反応して鎖に繋がれた男─クレートが顔を上げる。

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「やあ、まさか君がここに來てくれるとはネ。さあ、早く出してくれヨ。ここは寢心地が悪いンダ」

「あら?あなた何か勘違いしてないかしら?」

「はっ?何…を…。ゴフッ…」

言葉を言い終わる前にクレートはを押さえ倒れる。

「ごめんなさいねえ?これが命令なのよ」

そう言って笑うの手には、ドクドクと脈打つ心臓が握られていた。

はそれに向かって指をれると、グリグリと穿る。

「ぐぅ…ぐぁ、ぐぅううう!」

「痛い?ごめんなさいねえ?うん、あった」

ズボッと赤い糸を引いて引き抜かれた指には、小指の爪程の大きさの黒い結晶がつままれていた。

はそれを大事そうにアイテムボックスに仕舞うと、倒れているクレートの前に屈む。

「最後にボスの言葉を伝えるわね。『お前は用済みだ。消えろ』だって、それじゃ、確かに伝えたわよ」

そう言ってはもう用はないと言わんばかりに、右手に握っていた心臓を握り潰す。

すると、クレートが死亡エフェクトであるの粒子に包まれ、消えていった。

は満足そうに頷くと、返りに濡れたまま牢屋を立ち去り、最後に殘されたのはに汚れた牢屋だけだった。

「やられたな」

に汚れた空っぽの牢屋を見て俺はそう呟く。

破壊された侵者捕縛用のゴーレムの殘骸、空になった牢屋、クレートはここで殺されたのだろう、それも恐らくだが【Slaughter Works】の手の者だな。

ただ、これだけ派手に痕跡を殘しているなら…。

俺は床に散していたゴーレムの核の欠片を拾い上げると、【世界介】の能力の1つである『過去像追跡』を発する。

ゴーレムの核がり輝き、ぼんやりとした人型が生み出されると、人型は地下から地上へ戻るための魔法陣に歩いて行く。

人型のマーカーがマップに表示されているのを確認して、牢屋に向き直る。

「…これは面倒だなぁ…。」

散らかり放題の地下を見て、姿すら知らない襲撃者に対する怒りを覚えるのであった。

「シュウく…うわっ、なんですかこれ」

「お、アンリ。丁度いい所に…おい、どこに行くんだ?」

回れ右をして出口に向かおうとするアンリに聲を掛けると、そのきがピタリと止まる。

こちらに振り向いてにこりと笑ってアンリはこう言った。

「アンリは逃げ出した!」

「しかし回り込まれてしまった!」

駆け出そうとしたアンリの目の前に転移し、立ち塞がる。

「そんなに焦ってどこに行くんだよ。俺と清掃おたのしみをしようぜ」

「嫌だ!絶対それ違う!ルピが多分間違ってます!」

ルピなんて言葉を覚えたのか…。あのアンリが…。

アンリの長にしていると、アンリの姿が視界から消える。裏マップにったなアイツ!

裏マップにられたらもう発見は困難…なわけねえだろ!

「うぎゃああああ!?」

び聲が聞こえると、空間に切れ目が走り、そこから軽く焦げたアンリが落下し、ビクンビクンと痙攣を始める。

あのアキラとかいうやつが気になることを言っていたからな、考えられる限りの対策をこの屋敷に施した。當然裏マップもその対象だ。

「さて、キリキリ働いて貰うぞー」

「ち…ちくしょう…です…」

アンリに【世界介】でエリア移制限の効果を付與し、掃除を開始することにしたのであった。

ま、取り敢えずアンリの回復から始めるかな。

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