《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》00.プロローグ

「これで良しっと……これで良いのかな? それにしても、僕もこれをプレイ出來る日が來るなんて、夢にも思わなかったな」

今僕が持っているもの、それはラストックというゲーム會社が作り、先週発売したばかりの大人気フルダイブ型ゲーム『Together  Partners Online』(通稱TPO)だ。

「うーん。何でこんな名前にしたんだろ……? これじゃ時と所と場合のTPOと被るだろうに」

実は僕、発売當初ではこのゲームを買う気は全くなかった。

何故かと言うと、両親は警察で父が警部で母が警部補でコンビだったのだが両方とも、とある犯人との拳銃戦で運悪く撃たれて亡くなってしまい、高校生の僕は今、住んでいた家の近所にある母の実家に住んでいる。

祖母や祖父はとても可がってくれるため、絶対に迷は掛けられないし恩返しがしたいと思っていた。

そんな時に発売されたのが、今手にしているTPOなのだが、そんな思いを持っている僕には有っても仕方のないであり、それをプレイしている暇が有るなら勉強して良い大學に進學出來るようにした方が恩返しが出來ると思って、友達やクラスの人達の話題がTPOばかりになっても買わないようにしていた。

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それが、ひょんなことからこのゲームを貰うことになってしまうとは、本當に夢にも思わなかった……。

◆◇◆◇◆

それは、二日前の事だった。

僕が放課後部活の剣道が終わり竹刀や防を持ち、帰宅するためにとある商店街の道を歩いていると、路地裏からわめき聲が聞こえてきた。

僕が直ぐにその聲が聞こえてきた広めの路地へると、そこには格の良い不良のような人が二人、中學生くらいの男の子を奧の行き止まりの壁に追いやって何かをしようとしていた。

「あの、何をしているんですか?」

僕がその不良二人に話し掛けると、二人はこちらを睨みながら振り向いた。

「あ? 誰だてめえ。俺らはこいつに金を貸してもらおうとしてるだけだ。な?」

「いや、どう見てもいやがってますから、止めてあげたらどうですか?」

「んだと!? 邪魔するな!」

そう啖呵を切りながら毆りかかってきた男を僕は荷を持ちながらサラッと避けた。

そして、もう一人の男も毆りかかってきたので、再びサラッと避けて壁に追いやられた男の子の前に行き、荷をその男の子に任せて僕のスマホを渡して

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「僕が時間を稼ぐから、その間に警察に連絡を」

と、男の子に不良に聞かれないように言うと、男の子はコクりと頷いたので僕は竹・刀・を・持・た・ず・に・、不良二人と向き合った。竹刀を持たないのは、警察が來るまでの時間を稼ぐだけなら素手で充分だからだ。だからと言って毆るわけではない、ただ避けるだけだ。

「二対一のこの狀況で、お前が勝てるわけ無いだろ」

「さあ? それはやってみないと分からないですよ?」

「くそっ、なめやがって!」

なるべく電話しているのがバレないように二人を挑発して僕に意識が向くようにしつつ二人の攻撃を避け続けた。

數分たった頃、警察が來て不良二人と僕と男の子は事聴取のために番へ行くことになった。

一人ずつ番の中で事聴取されていき、最後に僕の番になった。

「えーっと、君の名前と年齢、出來れば電話番號を教えてくれるかな? と言っても、知ってるから良いよね。猿渡 龍さわたり りゅう君」

「こんな形で來たのは初めてですね、幸田さん。何時もはお喋りで來るんですけどね」

「そうだね。ところで、見たところ、部活帰りだったのかな?」

「そうですよ」

「それにしても、流石剣道個人戦の県大會三連覇した龍君だね。格差のある相手に竹刀を使わず、警察が來るまで時間を稼いで居たなんて」

「またそれ言うんですか? 來る度に言うの止めてください。それと僕は、ただ避け続けてただけですよ?」

「それでも凄いよ」

「はぁ、どうも……」

「龍君の聴取はこれぐらいで良いかな。じゃあ龍君、気を付けて帰るんだよ」

「あ、はい、どうもありがとうございました」

そう言って僕が番を出ると、不良二人はもう帰ったのか居なかったが、助けた男の子は何故かまだ居た。

というか、よく見るとこの子が著ている制服は、金持ちが通う學校の制服だ。通りで金を取られそうになったわけだ。

「君はまだ帰らないの?」

「あ、あの、お禮を言いたくて待ってました。」

「いや、良いよお禮なんて。偶々通り掛かっただけだし。僕はこれで帰るから。ああ、それと、金持ちの學校に通ってるんなら今後は車で家に帰るようにした方が良いと思うよ? それじゃあ」

そう言って立ち去ろうとしたら、後ろから腕を摑まれ止められた。

「待ってください! 何かお禮をしないとこちらの気が済みません。ですから、何かお禮をさせてください」

「いや、だから良いって。お禮を貰うために助けたんじゃなくて、助けたくて助けたんだから」

「だからこそ、お禮をさせてほしいんです」

そう言って意地でもお禮をしたいと言うその男の子は、僕がどうしてもお禮をさせてくれないからか、家の電話番號と僕の電話番號を聞いてきた。

これ以上長引いても仕方ないので教えると、あっさりお禮の言葉だけ言って帰っていったので、僕も家に帰った。

家に著いた僕が、今日の出來事を祖父母に話すと、二人とも譽めてくれた。

ただ、何故か知らないが、二人共ソワソワしているじだった。

そして次の日の朝、朝ごはんを食べながらテレビを見ていると電話が鳴り、祖母が出てし経つと僕が呼ばれ祖母と代わった。

「もしもし?」

『あ、もしもし、昨日助けていただいた者ですが、龍さんでよろしいでしょうか?』

「何で僕の名前を? 僕は君の名前を知らないんだけど?」

『すみません。貴方の名前は番の警の方に聞いていたので、貴方も僕の名前を聞いてるかと思ってました。僕の名前は遠山速人です。よろしくお願いします』

「よろしくって言われても、今後會う可能は無いと思うけど?」

『いえ、それが有るんです。今日暇ですか?』

「うん、まあ、今日土曜日だから暇だけど、それが?」

『でしたら、これからそちらに伺っても構いませんか?』

「えっ? それは祖母と祖父に聞かないと……」

『それなら大丈夫です。それは昨日のに伝えて了承してもらったので、龍さんの都合次第でしたから』

な、なんと手回しの良い奴……。だからばあちゃんとじいちゃん、僕が昨日帰ってきてからずっとソワソワしてたのか。

「分かった。待ってるから來るなら來て良いよ」

『本當ですか!? では、父と共に伺いますので! それでは、また後ほど』

「えっ、ちょっ……!」

そこで電話が切れた。おいおい、お父さんと來るなんて聞いてないぞ!?

を下ろし、リビングへ戻るとばあちゃんとじいちゃんが満面の笑みを浮かべてこっちを見ている。

「二人共、知ってたなら教えてよ……」

「だってばあちゃん、龍ちゃんの驚く顔が見たかったんだもの」

「じいちゃんも同じだな」

「そんな理由なの!? というかあの子、お父さんと一緒に來るって言ってたけど大丈夫?」

「別に因縁つけに來るわけじゃないんだから心配ないでしょう?」

「いや、そういう事じゃなくて……」

張するならじいちゃん達が付いててやろうか?」

「……お願いします」

我ながらけないお願いをしたと思うが、この時の僕は本當に張していた。

何故なら、今まで友達ですら連れてきた事が無いのに、全く知らない子を招いてその上その子のお父さんまで來るなんて張しない訳がない。

しばらくしてインターホンが鳴り、僕が出ると何故かどちらもスーツでの訪問だった。

「あの、失禮ですが、お葬式か何か有るんですか?」

「いえ、お禮をするのに私服は失禮だと思い、この格好で來ました」

そう答えたのはお父さんと思われる人だ。

「えっと、僕的には私服で構わなかったんですけど……。僕は私服ですし」

「そうですか? では、次からはそうします」

そう答えたのは速人君の方だ。

「えっ、次? ……あ、それはそうと、立ち話もなんなので、中へどうぞ」

「失禮します」「失禮します」

家の中へ招きれ、ばあちゃんとじいちゃんが待機している応接間へ案した。

上座に僕とばあちゃんとじいちゃんが座り、下座に二人に座ってもらった。

「早速ですが、昨日は息子の速人を助けていただき、ありがとうございました。私わたくし、こういう者です」

そう言いながら名刺を取りだし、僕に渡してきたのでけ取り見てみると、“ラストック取締役遠山泰造”となっていた。

「「「えっ?」」」

その名刺を見て僕とばあちゃんとじいちゃんは同時に驚いた。

でも、何で二人まで驚いたんだ?

「何で二人が驚いてるの?」

「最近龍ちゃん勉強や部活ばかりで遊んでないでしょう? だから、今人気のゲームでも買ってあげて友達と遊んでもらおうかってじいちゃんと話してたのよ」

「いや、でも今は験控えてるし良い大學に進學して二人に恩返しを……」

そこまで言ったところで二人に呆れられた。

「龍ちゃん。人生は楽しむために有るんだから、大學は將來なりたい職業に就ける大學に進學してくれれば、ばあちゃん達はそれで良いの」

「そうだぞ、龍。じいちゃん達は龍が楽しく人生を歩んでいてくれればそれで良いんだ」

そんなじいちゃんの優しい言葉が終わったところへ、遠山さんがってきた。

「それでしたらちょうど良かった。実は速人が一緒にプレイしてくれる人を探してまして。よかったらうちの息子とプレイしてくれませんか?」

「龍さん、僕と一緒にプレイしてください。お願いします」

頼まれるも困った僕がばあちゃんとじいちゃんを見ると、二人が頷いた。

ばあちゃんとじいちゃんが許してくれるならやっても良いかな。

「でも僕、買う気が無かったので持ってませんよ?」

「はい。こういう事もあろうかと思って、持ってきました。もちろんこれは昨日のお禮なので、無償で差し上げます」

「いやいや、さすがにそんな高価なを無償で貰うのは……ねぇ?」

と、言いながらばあちゃんとじいちゃんを見ると、「せっかくくださるんだから、貰っておきなさい」と言われたので、差し出している速人君からけ取った。

「龍さん、明日も暇ですか?」

「暇だけど?」

「じゃあ、明日の朝9時からやりましょう。これ、説明書です。中にっているのより分かりやすく書いたつもりです」

「速人君が書いたってこと?」

「はい、そうです。それで、明日の朝9時からで大丈夫ですか?」

「大丈夫。課題はもう終わってるし一日やっても問題ないよ」

「そうですか。じゃあ、明日の朝9時ということで」

「わかった」

それから二人が帰っていくのを見送り、自分の部屋に戻って説明書を読んで一日を過ごした。

――そして現在に至る。

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