《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》02.何故か現実へ

「じゃあ、紹介しますね。右から、エルフでレンジャーのヒカリさん、フェアリーでプリーストのモモさん、ビーストマンでウォリアーのフウキ君で、僕はヒューマンでマジシャンにしました。三人とも、この人がリュウさん」

「リュウです。よろしくお願いします」

ハヤトがお互いを紹介し終わって僕が挨拶すると、ヒカリさんが僕に近づいてこう言った。

「ふん、庶民風が私達のギルドにるなんての程知らずね。でも、リーダーがれたいって言うかられてあげるのよ? 謝しなさい」

中々にプライドの高い人のようで……。まあ、お金持ちのお嬢様ってこんなもんだよね。というか、ハヤトってリーダーだったのか……。

それから、返しにくいヒカリさんの言葉にどう返したら良いか考えていると、ハヤトが謝ってきた。

「すみません、リュウさん。ヒカリさん、リュウさんは歳上だから、それは失禮だよ。謝って」

「良いよ気にしなくて、その子がなんと言おうと平気だから。庶民からしたらお金持ちのお嬢様って、プライドが高いイメージしかないからね」

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「そ、そうですか……。リュウさんって、意外とはっきり言うんですね」

「何よ! 庶民の癖に生意気ね! アンタなんか、ボコボコにしてやるわ! PVPけなさい!」

ビシッと指しながらし涙目でしかも大聲で言ってきた。するとそこで誰かがってきた。

「それは止めた方が良い」

「えっと、どちら様ですか?」

「さっき君のPVPを見ていたマクロという者だ」

「さっき!? リュウさん、初心者なのにPVPしたんですか!?」

「レベルは関係ないし、合が知りたかったから承けたんだよ」

「それで、結果は?」

「それはこれを見てもらった方が早い」

そう言って、マクロさんがウィンドウを開いて何かの畫を流し始めた。……僕がPVPで戦っているところ!? 何で録ってんの!?

僕が困していると、ハヤトがマクロさんに質問した。

「あの、もしかしてリュウさんの相手って……」

「ああ、初心者潰しの龍馬だ」

えっ!? 龍馬さんってそんな危ない人だったの!? 知らなかった……。いやまあ、知るわけないけど。ということは、見に集まってきた野次馬はPVPが見たかったんじゃなくて、僕が潰されるかどうかを見に來てたのか。

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四人が何故か畫に見っていると、マクロさんが自慢気に話し出した。

「いやぁ、本當に凄かったよ。初心者とは思えないきばかりしててさぁ。もう、義経の如きのこなし! 本當に凄かったよ、牛若丸!」

「牛若丸って、僕の事ですか?」

「お前のあだ名だよ。俺がネットに畫流したから、知ってる人は知ってるよ」

「えっ!? 何でそんなことを!?」

「お前なぁ。あんなに凄いことした奴を皆が知らないなんて不公平だろ? だから、知ってもらうためにネットに流したんだよ」

「ちょっと言ってる意味がよく分からないです」

「んだよ分かんねえのか? あんなきが出來るお前が、変な理由でPVP申し込まれないようにしてやったってのになぁ」

「ああ、そうでしたか。ありがとうございます」

「良いってことよ! その代わり、教えてほしい事が有る」

「何ですか?」

そう僕がマクロさんに聞くと、マクロさんが耳元でこう質問してきた。

「お前、猿渡龍か?」

「はい?」

「俺だよ、俺」

「新手のおれおれ詐欺ですか?」

「いや違ぇよ! 俺だよ、幸也ゆきやだよ」

「鉈切なたぎり幸也?」

「そうそう! やっぱり龍だったか。流石、剣道県大會個人戦で三連覇した男だな。というかお前、このゲーム買わないとか言ってたくせに結局買ったのかよ」

「買ったんじゃない、貰ったんだよ。そこのハヤトっていう子に」

「ふーん。何でだ?」

「それは明日、學校で話すよ」

「あっそう。じゃあ、絶対明日教えろよ?」

「わかった」

そこで幸也との話が終わった。まさかクラスメイトとこんな、デパートで偶然知り合いに會うのと同じような確率で會うとは思わなかった……。

話が終わった後、ゆき……マクロが思い出したかのようにこう言った。

「あっ、そうだ! フレンド登録しないか?」

「あ、うん、良いよ」

マクロとフレンド登録を済ませると、四人がちょうど畫を見終わったところだった。

四人は畫が終わると、何故か僕を羨の眼差しで見てきた。

そして、さっきまで僕を庶民風と言っていたヒカリさんが急に僕の名前を呼んだ。

「リュウさん」

「何ですか?」

「さっきはごめんなさい。私の事はヒカリって呼んでください」

「わ、私の事も、モモって呼んでください」

「えっ、何? 急にどうしたの?」

「俺を弟子にしてください! リュウ師匠!」

「はい??」

「僕も弟子にしてほしいです」

「ハヤトまで!?」

「良かったな、リュウ。仲良くやっていけそうじゃん。それじゃ、俺はこれで失禮するよ」

「あっ、ちょっと待って、マクロ!」

止めるも応じず、マクロは笑顔で去っていった。あいつ……明日教えてやらないぞ!?

「「お願いします。弟子にしてください」」

「何で弟子にしてほしいの?」

「中々ゲームでのかし方に慣れなくて……。俺は、リュウさんみたいなきが出來るようになりたいんです!」

「僕は、また不良に絡まれても自分で対処できるようになりたいです!」

「……わかった。土日家に來てくれれば教えるよ」

「「ありがとうございます!」」

その後、ヒカリが話し掛けてきた。

「あ、あの……」

「何?」

「私達も、家に行っても良いですか?」

「良いけど、ばあちゃんとじいちゃん困らせるようなら追い出すからね?」

「そんなことしません!」

「私もしません!」

二人がそう宣言してくれたので、信じることにした。するとそこへ、フウキ君がこんなことを聞いてきた。

「リュウさんって、両親居ないんですか?」

「フウキ君、それ聞いちゃダメなやつ!!」

「ああ、両親は拳銃で撃たれて死んだよ」

「リュウさん!? 何で言っちゃうんですか!?」

「このくらいは大丈夫だよ?」

「それが大丈夫なら何がダメなんですか!?」

「あ、確かに」

「確かにって……」

「えっ、拳銃で撃たれた? どういう事ですか?」

「リュウさんの両親は二人とも警察だったんだよ。あとは察して」

「わかった」

いや、何でハヤトが知ってるんだよ! まさか、ばあちゃんが教えたのか? まあ良いか。

そんなやり取りが終わった後、四人は僕をギルドに加し、それから僕をギルドホームへと案してくれた。

著いたところは、【始まりの広場】から數十メートル離れた街中の一角だった。そこに建っている大きな屋敷のような家がハヤトのギルドホームらしい。

中へると……うん、まんまお屋敷だ。まごうことなきお屋敷だよこれ。開いた口が塞がらない狀態の僕が、やけに広いリビングのり口で立ち盡くしていると、ハヤトが話し掛けてきた。

「リュウさん、どうしたんですか?」

「庶民はこんな大きな家に住めないから、驚いてたんだよ」

「何言ってるんですか? 今リュウさんが住んでる現実の家だって和風で大きいし土地広いじゃないですか」

「それは、じいちゃんの祖先が大地主だったからであって、今はお金持ちではないし家だって大きくないよ」

「僕の現実の家なんてリュウさんの家の庭の面積くらいしかないんですよ? 家に伺った時お父さん、敷地の広さに驚いてましたから」

「何だろうな、このじ……」

「どっちも謙遜しながらお互いを褒め合ってますね……」

「リュウさんって、私達よりお金持ちなのかしら……?」

「それは無いよ! 僕の家は絶対的な民家だから!」

「いいえ、リュウさんの家は絶対凄いです! 行けば分かります!」

「だったら今日の午後リュウさんの家にお晝飯を兼ねて遊びに行くというのはどうですか?」

「ナイスですモモさん!! ではログアウトしてお父さんに伝えに行きます!」

ハヤトがそう言って僕の意見も聞かずにログアウトしてしまった。そして、あとの三人もログアウトしていってしまった。

仕方ない、ばあちゃんとじいちゃんに伝えに行くか……。

そして、僕もログアウトした。

◆◇◆◇◆

ログアウトした僕は急いでばあちゃん達の所へ行って事を説明すると、二人は快く承諾してくれた。

「四人も來るなら作り概が有るわ。ばあちゃん張り切らなきゃね」

「なんか、ごめんなさい……」

「何で謝るんだ? じいちゃん達は龍が友達を招いてくれて嬉しいぞ?」

「そうよ? ばあちゃん達、何時もより賑やかになるから楽しみでしかたないのよ?」

「確かにそうだけど……」

するとそこで、インターホンが鳴った。僕が玄関へ行って開けると、速人を含めた四人が居た。

「改めて紹介しますね。ヒカリさんが三枝輝さえぐさてるみさん、モモさんが丹紫桃香にしももかさん、フウキ君が幸本楓季こうもとふうき君です」

「じゃあこっちも改めて、名前は猿渡龍。一応剣道やってて……」

「ああ!! もしかして、県大會で三連覇した猿渡龍さんですか!?」

「まあ、一応……。というか、桃香は何で知ってるんだ?」

「新聞に載ってたじゃないですか! どこかで見たお顔だと思ってたんですけど、まさか龍さんが猿渡龍さんだったとは思いませんでした……」

「そう言えば寫真撮られたような、撮られてないような? まあ、それは置いといて、実際見てみてうちの大きさどう思う?」

「これは、大きいとしか言えないです」

「そうね。だって家と庭に畑が有るのにまだスペース余ってるんですもの。大きいとしか言えないわ」

「俺も大きいとしか言えないです」

「ほらね?」

「皆に言われるならそうなのか……。じゃあもう、この話は終わりにして中に行って晝飯を食べよう。ばあちゃんが張り切ってるから」

そう言って中へ招きれ、リビングへ案した。

「いらっしゃい。お金持ちの坊っちゃんやお嬢ちゃん達には合わないかもしれないけど、張り切って作ったからたんとお食べ」

「凄い、食べたことない料理ばかりですね。味しそう」

「そうね。ここならマナーはある程度で大丈夫だから、何時もより賑やかに食べられそうね」

「早く食べましょうよ」

「そうだよ! 早く食べよう!」

そう言って四人が座る前に、自分の定位置を確保して他の場所に四人に座ってもらった。

それから、本當に賑やかに晝飯を食べる四人を、自分も食べながら眺めていると、四人が次々にこう言ってきた。

「良いですね、龍さんは。こんな味しい料理を毎日食べられるなんて」

「そうよねぇ、どこの味しいお店よりもお袋の味ってじで味しいもの。龍さんが羨ましいわ」

「私達の親は仕事で忙しくて料理する暇が無いので、家政婦さんに作ってもらっていますからね。本當に羨ましいです」

「俺、今の家よりこの家に住みたい」

「だって、ばあちゃん。喜んでもらえて良かったね」

「ええ、本當に嬉しいわ。また何時でも食べにいらっしゃい」

まあ、ばあちゃんはじいちゃんのお母さん、つまり僕のひいばあちゃんが料理上手だったらしく、その人から料理を叩き込まれたそうだから、味しいのは當然だ。

それから食べ終わると、四人とも僕の部屋を見たいと言うので、案して見せてあげた。

僕の部屋を見て一番テンションが上がったのは桃香だった。

「はわわわっ……! ここが龍さんのお部屋……! ちゃんと、県大會のトロフィーが3つ並んでます!」

「桃香のテンションがおかしいけど大丈夫? 何でこんなにテンション上がってるの?」

「龍さんが県大會の決勝で三年連続戦った相手、覚えてる?」

「覚えてるに決まってるよ。丹紫直幸っていう人だったよ……ん? もしかして、桃香のお兄さん?」

「そうよ。桃香はお兄さんの応援に行ってたんだけど、1回目の決勝の時、龍さんが華麗に一本お兄さんから取ったときにカッコいいと思ったらしくて、それからはお兄さんの応援じゃなくて龍さんの応援が目的で大會に行ったそうよ」

「あああああ!! 輝ちゃん、何でそれ本人の前で言っちゃうの!? 恥ずかしいじゃん!!」

ああ、だから桃香って見たこと有る顔だと思ったのか。最初玄関で顔を見たときなんかどこかで見たような顔だなと思ってたんだけど、そういうことか。

「桃香って見たこと有るなと思ってたんだけど、今思い出した。知り合いでもないのに僕の試合の時必ず一本取った時にすぐ拍手してくれたの子だよね?」

「あっ、はい! そうです! 覚えててくれたんですね!?」

「だって、試合が終わった後勵ましの聲まで掛けてきてくれたし、その時誰の応援で來たの? って聞いたら『本當は兄の応援で來たんですけど、前回優勝した猿渡さんの剣道がカッコ良くて応援しに來ました』って言ってくれたから、覚えてない訳ないよ。ただ、一緒にゲームやることになるとは思わなかったけど」

「そ、そそそ、そうですね! これからも不束者ですが、よろしくお願いします!」

「ちょっ、桃香!? それお嫁に行く人の挨拶よ!?」

「ふえ!?」

の指摘で桃香が恥ずかしさからか、顔がリンゴのように赤くなってしまった。そして赤くなった桃香が挙不審になってしまい目も當てられないので、今日はここで解散となった。

四人が帰っていくのを見送った後、家の中に戻るとばあちゃん達がニヤニヤしながら僕を見てきた。

「どうしたの?」

「あんな可い子に好かれるなんて、やるじゃない龍ちゃん」

「じいちゃん達の何時でもれる準備は出來てるぞ?」

「聞いてたの!? でも、あの子にはどこかの曹司から縁談が來るでしょ、可いから。それに、僕には二人にお世話になってるのに彼をつくる事は出來ないよ」

「もし告白されたら?」

「……OKしちゃうかもしれない……」

「その時は大歓迎するから安心してね、龍ちゃん」

「じいちゃんも歓迎するぞ」

そんなやり取りをした後、僕は話を逸らすように「またゲームしてくるから夕飯の時間に來るね」と言って自分の部屋に戻って再びログインした。

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