《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》04.初めてのクエスト

ドラゴンの卵を輸送する業者の所へ行くと、大量のドラゴンの卵と思われる卵が車の付いた荷臺に並べられていた。

卵の大きさはダチョウの卵と同じくらいの大きさで、様々な模様が付いた卵だった。するとそこへ、運び擔當らしき青年が車の付いた荷臺の近くの建から出てきて、こちらに気づいて近づいてきた。そしてその青年が、僕達に話し掛けてきた。

「おお! アンタらが依頼けてくれた人達か?」

「はい、そうです」

「じゃあ、これから東の街にこの卵を運ぶから護衛頼むよ!」

「はい、任せてください」

やり取りが終わると、青年が車の付いた荷臺を引き始めたので僕達は車の付いた荷臺を護るように車の付いた荷臺の橫を歩いた。

歩き始めて30分、分かったことが有る……。これ、凄く暇!! 全然モンスター出てこなくてすることないし、ソーキさん達と話せる話題が無いからつまらないし……。あ~あ、モンスター出てこないかなぁ……。

そう思った途端にモンスターが現れた。何この迅速なフラグ回収!? まあ、暇じゃなくなったから良いけどね。

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現れたモンスターは『ホールドベア』という、いわゆる熊が現れた。この熊の攻撃方法は名前から想像できると思うが、抱きついて締め上げる攻撃だ。ゲームでは痛みは無いが現実で熊に締め上げられたら確実に死ぬ。

そんな熊が今僕達の目の前に現れた訳なんだけど、他の三人が何故か震えている。どうしたんだろう?

「三人ともどうしたんですか?」

「どうしたって、リュウ! 『ホールドベア』だよ!? 『ホールドベア』! あんな巨にホールドされるのは嫌だ! されるなら可の子にされたい!」

「俺もの子にされたい!」

「あたいはイケメンにされたい!」

「……何の話ですか……?」

「という訳で、リュウ、頼んだ!」

「お前だけが頼りだ!」

「終わったらお禮するからさ!」

「……良いですけど」

了承した僕が剣を構えて熊の前に行くと、すぐ熊が襲い掛かってきた。それを僕は避けながら『ホールドベア』のを斬り、後ろががら空きだったので背中を斬りつけた。

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僕が斬りつけると『ホールドベア』は凄い雄びをあげ、僕に向かって走ってきた。そして、『ホールドベア』が腕を広げて覆い被さってきて危うく抱きつかれそうになったので、橫に跳んで逃げて『ホールドベア』が空振って地面に倒れたところへ僕が上に乗って剣を刺した。

すると、『ホールドベア』のHPがみるみるうちに減っていき、十數秒でHPが0になった。ああ、レベルが32になって攻撃力が上がったからこんなに早く仕留められるようになったのか。『コバルトスパイダー』を倒してレベル上げした甲斐があったな。

そこへソーキさん達が駆け寄ってきて賞賛してくれた。

「やっぱリュウは凄いよな!」

「俺達のギルドに來てくれたら良かったのになあ……」

「仕方ないよ、このゲームで一番金持ちのギルドにってるんだから」

えっ? ハヤト達のギルドって、そんなギルドだったの!? まあ確かに、あんなデカイお屋敷のギルドホームを持ってるんだから一番金持ちでもおかしくないよね。

それから再び歩き出した僕達の前に、今度は盜賊と思われる人達が5人出てきた。

「今度は盜賊かよ!!」

「ソーキ、今度は俺達がやる番だ!」

「そうだよ! あたい、何もせずに終わるのは嫌だからね!」

「そうだな。よしっ、やるぞ!」

「「おう!」」

「あの! もう終わりましたけど!!」

「「「えっ?」」」

実は、三人がお喋りしている間に僕が盜賊達を無力化し、縄を荷臺を引いている青年に貰って縛る、までを終わらせていた。

「おいおい、俺達にも出番をくれよ!」

「そうだぞ、牛若丸! 俺達何もしてないじゃないか!」

「あたい達、居る意味無いよ……」

なんか、僕のせいで三人が気を落としている!? どうにか元気を出してもらわないと! そう思った僕は必死に三人に勵ましの言葉を言った。

「えっと……あっ、そうだ! 次モンスターとかが出てきたら三人にお任せする、というのはどうですか?」

「ありがとう、リュウ。でも、よく考えたら、これはリュウが選んだクエストだから、別に俺達が出張る必要ないよな」

「そうだな。俺達は荷臺を護って、牛若丸が襲ってきた奴を倒す。それで充分だよな」

「そうだね。あたい達はそれで充分ね」

あ、あれ? 勵ましたつもりが益々暗くなっている気がするのは、僕の気のせい?

結局、三人の言葉に何も返せなくなった僕は、黙って荷臺に付いて歩き出した。何か來てくれないかなと思っているのに、中々モンスターも盜賊の類いも出てきてくれない……。

そしてとうとう、何も起こらずに東の街に著いてしまい、無事に輸送が完了してしまった。クエストが完了したという音聲が流れ、報酬としてドラゴンの卵をゲットした。

クエストが無事(?)終わったのでドラゴンの卵を孵化させる事にした。アイテム欄からドラゴンの卵を出して地面に置くと、卵に『卵を孵化させますか?』という表示が出てきたので、【YES】を選択した。

すると、卵が割れて中から青のドラゴンが出てきた。

「キュ?」

ドラゴンが僕を見て鳴き聲を出しながら首を傾げた。な、なんだ、この生……メチャメチャ可い!! しかも、まだ【テイム】使ってないのによちよちと立っている僕のところへ歩いて來て、僕の足に顔をり寄せてきた。

ヤバイ……! キモいと言われるかもしれないけど、このドラゴン控えめに言って超可い!! 抱き締めたい!

そんなことを思っていると、ソーキさんが疑問が有るような顔をしていた。

「おかしいな……。何でテイムもしてないのになついてるんだ? リュウ、お前なんかしたか?」

「何って、何を?」

「まあ、そりゃそうだよな……。初心者のリュウが、そんなこと出來るわけ無いよな」

「牛若丸君に惹かれるものが有るのかな?」

「それが一番可能高いんじゃないか?」

「じゃあ一応、俺達もやってみるか……」

そうソーキさんが言うと、二人とも頷いて答え、ゲットした卵を孵化させた。

すると、孵化したドラゴン達が、僕を見るなり孵化させた人がそれぞれ違うにもかかわらず、何故か僕のところへよちよちと歩いてきて僕が孵化させた青いドラゴンと同じように、僕の足に顔をり寄せてきた。

「えっ? 何で? 君達を孵化させたのはあの人達だよ?」

「キュキュ!」

「キュ!」

「キュ!」

鳴き聲を出しながら一匹のドラゴンが首を橫に振ると、二匹のドラゴンが首を縦に振った。話し通じるんだ……というか、もしかして、一匹があの人達は嫌だと言っていて、それを二匹が肯定してる? いや、まさか……。

「そ、それは、あの人達が嫌だってこと?」

「「「キュ!」」」

僕が質問すると、三匹が同時に鳴き聲を出しながら首を縦に振った。當たってた!? というか、三人が絶した顔になってるんだけど!?

「いや、でも君達を孵化してくれたのはあの人達なんだから仲良くしてあげてよ」

「キュぅぅぅ……」

あの……そんな泣きそうな聲で鳴きながら目を潤わせて見つめられても困るんだけど……。というか、何でドラゴンがこんな演技力高いんだよ! 死ぬわ! 可さで悶え死ぬわ!

「なあ、リュウ。良かったらこいつら貰ってくれよ」

「えっ、でも……」

「そんなにリュウになついてるのに、無理やり引き離す方が俺達の心がえぐられるから。な?」

「……でも、やっぱり貰えません。たとえソーキさん達が持っていても、このゲームでは現実と違ってすぐ會えるじゃないですか。その時に可がってやれれば僕は充分です」

「キュ! キュキュ!」

「「「キュ!」」」

僕の言葉の後、青いドラゴンが他の三匹のドラゴンに何かを言うと、三匹が首を縦に振った。と思ったら、三匹がそれぞれの孵化させた人の下へよちよちと歩いていった。

三匹がそれぞれの人の下に著くと、顔をジーッと見て何かを確認したのか、「キュ!」と一鳴きして僕にしたように顔をり寄せていた。

「これで良いですよね?」

「いやまあ、良いんだけど、本當にリュウは凄いよな」

「今日で、マクロと違ったチートを知ったよな」

「あ、牛若丸君の事をチート呼ばわりする訳じゃないんだよ? ただ、【テイム】無しでドラゴンをなつかせる事が出來る牛若丸君の人柄がチートっていうだけだからね」

「それは、フォローになってるんですか?」

「要するに、リュウの人柄が良いってことだよ」

「そうそう、そう言いたかったんだよ!」

「あ、そうですか。良かった、僕自信は何もしてないのにチート呼ばわりされるのは嫌ですから」

「まあ確かに、リュウは何もしてないというか出來ないな。初心者だし」

「でも、牛若丸って呼ばれる程のこなしが軽いのは、出來ない奴がほとんどだからそういう奴らからしたらチートって呼ばれる可能は有ると思うぞ?」

「ええ!? 僕は現実でちょっとスポーツやってるだけなんですけど!?」

「そう言えば、何やってるんだ? 気になるから教えてくれよ!」

「誰にも言わないと約束出來るなら」

そう僕が言うと、三人とも頷いて答えたので取り敢えずは信用して話すことにして包み隠さず、剣道をやっていることと県大會の個人戦で三連覇したことを話した。

「なるほどね。それならその能力でも納得がいくよ」

「でもリュウって名前、どこかで聞いたこと有る気がするんだよな」

「あたいも有るよ!」

「それなら俺も有るよ」

「「「……」」」

あ、あの、思い出そうとしなくても良いんじゃ? ソーキさん達が知りたいことは教えたからそれで良いのでは?

そんな思いも虛しく、三人が思い出した顔になってんだ。

「「「猿渡龍!!」」」

そうびながら三人同時に指を指してきた。顔を変えなかったのがいけなかったかな? まあソーキさん達なら言いふらしたりしないよね? ね?

「よく分かりましたね」

「新聞で顔を見たこと有ったし、それにニュースにもなってたからな」

「そうなんですか!? 全く知らなかったです」

「あたい達、牛若丸君が全く顔を変えてないから分かったんだけどね」

「そうだな。それにプレイヤー名がそのままってのもヒントになってたな」

「いやあ、それはその、考えるのが面倒になった結果と言うか、なんと言うか……。言わなきゃバレないと思って、結構そのままでキャラメイクしちゃって」

「まあ俺達もそんなじだからリュウの事をとやかく言えないけどね。そうか、リュウがあの猿渡龍だったのか」

「はい、そうです。誰にも言わないでくださいよ?」

「いやむしろ言った方が皆納得するんじゃないかな?」

「俺もそんな気がする」

「あたいもそうした方が良いと思うな」

「嫌ですよ! 全く知らない人に家に押し掛けられるのは、お世話になってる二人の迷になるんですから!」

「ご、ごめん。分かったから、落ち著いて」

「もうこの話は終わりにして帰ろうぜ」

「そうしようよ。ね? 牛若丸君」

「あ、すみません、急に大きい聲だして」

「それはもう良いから、【始まりの広場】に帰ろう」

「はい、わかりました」

いけない、いけない。何でこうばあちゃん達の事になると沸點が低くなるんだろう……。迷を掛けたくないからなのは分かってるけど、それでも、大きい聲を出さなくても普通に説明は出來たはずなのに……。

心の中でド反省しながら帰り道を歩いていると、肩に乗せた青いドラゴンが僕の顔を舐めてきた。ドラゴンの目を見ると、僕の事を心配してくれている目だった。

猿渡龍、ただいま復活しました。僕だけだったらあれだけど、これは元気が出ない訳が無いだろ! もうバリバリテンション上がった!

「リュウのやつ、急に元気になったな。なんか急にガッツポーズし始めたし」

「たぶんドラゴンのおじゃないか? 牛若丸、ドラゴンを見るときニヤニヤしてるから」

「まあとにかく、元気になって良かった、良かった」

「「それな」」

「何の話をしてるんですか?」

「あ、えっと、もうすぐ著くなって話をしてたんだよ」

「そうそう」

「そうそう!」

「そうですね! あ、【始まりの広場】に著いたらログアウトしますね。夕飯の時間なので」

「じゃあ先に行って良いよ」

「今日は楽しかったぞ! また一緒にクエスト行こうぜ!」

「あたいも楽しかったよ!」

「僕も楽しかったです! また今度!」

三人と挨拶を済ませて、【始まりの広場】へ向かった。

【始まりの広場】に著いた僕は、あることに気づいた。それは、ドラゴンをどうしたら良いのか、ということだ。ソーキさんに聞いておけば良かった……。

そこで、僕はヘルプを見つけて見てみると、普通にアイテム欄に戻す事が出來るらしい。なっ、ドラゴンをアイテム扱い!? 解せぬ!

仕方ない、時間が無いからお願いするか……。

「ごめんな、悪いけどアイテム欄にってくれるか?」

「キュ!」

僕が聞くとドラゴンは元気よく鳴いて頷いてくれたので、アイテム欄にいれた後僕はログアウトした。

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