《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》10.再び『コバルトスパイダー』と対戦
再び【英雄の臺地】に來た僕達は、『コバルトスパイダー』を探しながら歩みを進めていた。
しかし、出てくるモンスターは『コバルトスパイダー』じゃないモンスターばかり……。僕はそれを倒さず逃げるのは気が引けたので、シアンに倒してもらった。
ただ、誤算だったのは、シアンが倒したのは良かったけど、その経験値の半分くらいが僕にってきたということだ。
モモに聞くと、テイムしたモンスターが敵モンスターを倒すと経験値の約半分はテイム主にる、ということらしい。
何その親切設計……。モンスターテイムしたらレベル上げ楽勝になるってことじゃん……。と呟くと、モモに「たぶん、シアンだから出來るんだと思います」と言われた。
確かに、シアンだからというのは間違ってない。シアンだから【英雄の臺地】で楽にレベル上げが出來てるというのは、もう実証済みだから。でも、そうなるとやっぱりチートって言われそうだから嫌だな……。
そんなことを考え、一人ブルーな気分になり、下を見ながら歩いていると、モモに呼び止められた。
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「リュウさん!」
「ん、何?」
「前、前見てください!」
「前?」
モモに言われて前を見ると、散々探し回っていた標的の『コバルトスパイダー』が居て、初撃を僕目掛けて撃とうとしていた。
えっ、ちょっと待って!? そんな、まだ心の準備が……! そんな僕の心のびは當然屆くことなく、『コバルトスパイダー』は僕に攻撃してきた。それを僕は、紙一重でHPを減らすことなく避けることに功し、その間に剣を抜いて次の攻撃に備えた。
マジで危なかったぁ!! 今のは當たったかと思った……! モモが言ってくれなかったら、今のは絶対當たってたよ……。
「ありがとう、モモ! しボーッとしてた!」
「いえ、気にしないでください! それにしても、あれを避けられるなんて、やっぱりリュウさんは凄いです!」
「あ、うん、ありがとう」
目線は『コバルトスパイダー』に向いてるから顔は見れないけど、絶対今モモの目は、あの言い方からして羨の眼差しになっていると思う。いや、それはさすがに自惚れが過ぎるかな……。
まあとにかく、今は『コバルトスパイダー』を倒すことに集中しないと。そう思い、僕は『コバルトスパイダー』との距離を詰める。
その間、次々と繰り出される攻撃を、以前の時のように避けた。そして、『コバルトスパイダー』間近に迫ると『コバルトスパイダー』は僕の両サイドから攻撃を仕掛けてきた。
それを僕は、跳び上がる事で避け、『コバルトスパイダー』の両目を斬りつけた。すると、『コバルトスパイダー』が暴れだし連続で明後日の方向やら、デタラメに攻撃をしてきた。
自分に當たりそうになったら避け、それ以外は無視して『コバルトスパイダー』を攻撃し続けた。
そして、やっと『コバルトスパイダー』のHPが0になり、クエストクリアとなった。
これ、は疲れないけど神的に疲れるな……。その疲れのせいか、僕は倒し終えると共に、その場にストンと腰が抜けたように座ってしまった。
「リュウさん、大丈夫ですか!?」
「あ、ごめん、なんでもないよ。ちょっと疲れただけ」
「そうですか、良かった……」
なんともないのがわかったからか、モモが安堵の表をした。
さて、またコバルトが大量に手にってしまったけど、これ、どうしよう……? またコラソさんのところへ持っていく? いや、コラソさんのお金が無くなってしまうからそれは良くないよね……。取り敢えず、クエストクリアしたので【英雄の臺地】を出た。
そして、街へと戻った僕達は一応コラソさんの鍛冶屋に行った。すると、コラソさんはまだ作業中のようだった。
「コラソさん!」
「あれ、リュウ? どうしたんだ? まだ刀は出來てねえぞ?」
「いや、それが……」
僕が事の次第を説明すると、コラソさんは目を輝かせて「是非売ってくれ!」と言った。
「えっ、でも、お金大丈夫なんですか?」
「ああ、それなら他の客からたんまり貰ってるから大丈夫だ」
それは大丈夫と言うんだろうか? 他のお客さんが大丈夫じゃない気がする……。
「そ、そうですか……。じゃあ、売ることにします」
「やったぜ! これでまた、大儲け出來る!! リュウのおだ、ありがとう!」
「あ、いえ、僕はコラソさんしか鍛冶師を知らないだけなので、他の鍛冶師を知っていたらそっちに売りに行ってたかもしれないですし」
「それでも、リュウのおなことに変わりはないんだ。ありがとう」
「は、はぁ……どういたしまして?」
「あ、これ、代金な」
そう言って渡されたのは120萬Uだった。
「あの、コラソさん? 前の時と同じ量なのに代金が倍になってるんですけど?」
「ああ、それは俺からの気持ちだ! け取ってくれ!」
「気持ちで60萬Uも出すんですか? 明らかに多いと思いますけど……」
「良いから貰ってくれ。な?」
「は、はい……」
真剣な目で言われてしまい僕は返す言葉が出てこなくなり、渋々、本當に渋々だったけど了承してしまった。
まあそんなことをズルズルと引きずっても仕方ないので、気持ちを切り替えてコラソさんに質問をした。
「ところで、刀はどのくらい出來ましたか?」
「ああ、刀は今試作品は出來てるけど凄い不格好だから、とても見せられるレベルじゃねえな」
「材料は足りますか?」
「ああ、大丈夫だ。ただ、もし無くなったらまた採りに行ってもらうことになるかもしれねえから、その時はよろしく」
「わかりました」
そんなやり取りをして、僕達はコラソさんの鍛冶屋を出た。
「さて、これからどうする? まだ夕飯の時間まで結構時間有るけど」
「じゃあ、もう一つクエスト行きましょう! 今度はテイム関係が良いです。リュウさんとシアンを見てたらしくなりました」
「そっか。じゃあ、そうしようか」
「キュキュ!」
そして僕達は、またクエスト注場所へ向かった。
◆◇◆◇◆
クエスト注場所に著き、テイム関係のクエストを探しているとモモが駆け寄ってきた。
「リュウさん、リュウさん、これが良いです!」
しデジャヴ? ……というのはおいといて、モモが持ってきたクエストを見てみると、『キングベアをテイムせよ』という、それってテイムしてもいいやつ? と自然と頭に浮かんで來るほど不安になるクエストだった。
「これってテイムして大丈夫なの? キングってついてるけど」
「ベア種の中で一番強い種というだけで、群れを統べているからキングという訳ではないんですよ?」
「あ、そうなんだ。じゃあ、それを……って、それで良いの?」
「何がですか?」
「熊が良いの?」
「はい。私、熊が好きなんです! 特にリ○ックマが好きで、家の私の部屋にはリ○ックマのグッズが54個有ります!」
「あ、そうなんだ……」
モモの知らない一面を知った気がする……。いや、別に引いてる訳じゃない。僕もリ○ックマは可いと思うから。ただ、『54個有る=コレクター』という事を知って驚愕しているだけ……。
「リュウさん?」
「えっ、何!?」
「その……意外、でしたか?」
「いやいや、そんなことは思ってないよ。ただ、そんなに集めてるんだ~凄いな~って、思ってただけだよ」
「そうですか! そうですよね! 今度見せてあげますね!」
「あ、うん、楽しみにしとくよ」
「はい!」
危なかった……。落ち込み気味に聞かれたから焦ったけど、なんとか持ちこたえた。
そんなやり取りの後、僕達は『キングベア』が生息している森、【ベア種の森】へ向かうことになった。名前がそのままなのはどうかと思ったけど、ベア種の數は12種類あるので、仕方ないと言えば仕方ない。
【ベア種の森】に向かおうと、クエスト注場所を出て【ベア種の森】がある西へ向かって街中を歩いていると、待ちけていたように路地から見たことある10人と、知らない人(見た目はビーストマンの人)が1人出てきた。
「こいつです! 俺達を瞬殺しやがったのは!」
「おいおい、誰に手ぇ出してんだ! この、馬鹿タレが!」
そう言ってビーストマンの人は告げ口した人に拳骨をかました。えっ、何、どうなってるの? 僕にお禮參り的な事をしに來たんじゃないの? その知らない人が強くて僕に勝負を仕掛ける流れじゃないの? まあ、やらなくて良いならそれに越したことはないけど。
拳骨をかまされた人はなんでされたのか理解できずにいる様子だった。
「な、なんで毆るんですか!?」
「どんな奴かと思えば、あの畫の牛若丸じゃねえかよ! お前らは馬鹿か? いや、元から馬鹿だったか」
そう言ったビーストマンの人は、僕の前まで來て頭を下げて謝った。
「仲間が失禮をしたようで、謝罪する。申し訳ない」
「えっ、あの、どういうことなのかさっぱりなんですけど……」
「あいつら、君が牛若丸だということに気づかなかったようだ。そんな君のお連れさんにちょっかいを出したんだ、後でキツく言っておくから許してほしい」
「許すもなにも、僕が牛若丸だってだけでなんで謝られることになるんですか?」
「おいおい、俺が誰か分からないのか?」
「キャラメイクのせいで分かる訳ないでしょう」
「まあ確かに。でもなあ、分かんないかあ。マクロに聞いた通り鈍だな」
「えっ? なんでマクロが出てくるんですか?」
「ああもう、なんで分かんないかなあ! 俺だよ、良樹よしきだよ!」
「へっ? 真坂部まさかべ良樹?」
「そうだよ、やっと分かったか」
「不良の君がこのゲームやってるとは思わなかった……。はっ!? まさか、またあんなことしてるんじゃ!?」
「俺はしてないよ。仲間は俺の知らない間にやってるみたいだけどな。今回がその良い例だ」
「なるほど、また裏から手を引いての子泣かせてるのかと思ったけど、思い過ごしか」
「そんなのは、お前にコテンパンにやられてからやる気無くなったよ」
「なら良いけどね」
「あの、リュウさん、お知り合いですか?」
「あ、うん、現実での知り合いだよ。本名はさっき僕が言ったんだけど聞こえてた?」
「あ、はい。真坂部さん、ですよね」
「プレイヤー名はカタカナのヨシキだ。よろしくな、えっと、名前は?」
「あ、申し遅れました。私、本名丹紫桃香でプレイヤー名はモモです。よろしくお願いします」
「おう、よろしくな。ん? 丹紫ってもしかして、丹紫総理大臣の?」
「あ、はい、そうです。父は総理大臣やってます」
「えっ!? モモって、総理大臣の娘だったの!?」
「はい。あの、まだ言ってませんでしたね、すみません」
「あ、いや、別にそれは良いんだけど……」
さすがに驚きが隠せないです……。マジか、総理大臣の娘か……お金持ちなのはハヤトと居るから分かってたんだけど、まさか総理大臣の娘だとは思わなかった。
衝撃の事実!! モモは総理大臣の娘だった!?
反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇女様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼女を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】
【書籍化&コミカライズ決定!】 引き続きよろしくお願い致します! 発売時期、出版社様、レーベル、イラストレーター様に関しては情報解禁されるまで暫くお待ちください。 「アルディア=グレーツ、反逆罪を認める……ということで良いのだな?」 選択肢なんてものは最初からなかった……。 王國に盡くしてきた騎士の一人、アルディア=グレーツは敵國と通じていたという罪をかけられ、処刑されてしまう。 彼が最後に頭に思い浮かべたのは敵國の優しき皇女の姿であった。 『──私は貴方のことが欲しい』 かつて投げかけられた、あの言葉。 それは敵同士という相容れぬ関係性が邪魔をして、成就することのなかった彼女の願いだった。 ヴァルカン帝國の皇女、 ヴァルトルーネ=フォン=フェルシュドルフ。 生まれ変わったら、また皇女様に會いたい。 そして、もしまた出會えることが出來たら……今度はきっと──あの人の味方であり続けたい。王國のために盡くした一人の騎士はそう力強く願いながら、斷頭臺の上で空を見上げた。 死の間際に唱えた淡く、非現実的な願い。 葉うはずもない願いを唱えた彼は、苦しみながらその生涯に幕を下ろす。 ……はずだった。 しかし、その強い願いはアルディアの消えかけた未來を再び照らす──。 彼の波亂に満ちた人生が再び動き出した。 【2022.4.22-24】 ハイファンタジー日間ランキング1位を獲得致しました。 (日間総合も4日にランクイン!) 総合50000pt達成。 ブックマーク10000達成。 本當にありがとうございます! このまま頑張って參りますので、今後ともよろしくお願い致します。 【ハイファンタジー】 日間1位 週間2位 月間4位 四半期10位 年間64位 【総合】 日間4位 週間6位 月間15位 四半期38位 【4,500,000pv達成!】 【500,000ua達成!】 ※短時間で読みやすいように1話ごとは短め(1000字〜2000字程度)で作っております。ご了承願います。
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