《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》25.モモの友達

叔母さんのお店から帰ってきた翌日、僕は朝食の後にゲームにログインをした。

「さてと……ログインしたは良いけど、何するか全く考えてないから、何しよう……」

シアンとブランをでながらそう呟いた。

そう言えば、誰にも連絡せずにログインしちゃったけど、同伴者どうしよう?

そう思っていると、シアンがすることを提案してくれた。

「キュ、キュキュ?」

「えっ? あぁ、そう言えば、そのつもりだった!」

シアンが提案してくれたのは、“商店街を見て回ること”だった。

そうだった。行ったは良いけど、マクロ達と立ち話をしていたら見て回る時間が無くなって、全く見れなかったんだった。

シアンにお禮を言いつつ、先日決まった同伴者をどうしうかと悩み、悩んだ末に出した答えは、“別に、僕が同伴者をんだ訳じゃないから、一回くらい居なくても良いでしょ!”だった。

思い立ったが吉日。早速シアンを肩に乗せ、ブランを抱き抱えてギルドホームを出ようと玄関まで行った。

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そして、ドアを勢い良く開けると何かに當たったと「ぎゃんっ!?」と、知らない人の聲が聞こえた。

「えっ?」

ドアの向こう側をそろっと見てみると、余程赤が好きなのか、赤に出來るところが全て赤で染まった、背の低めなエルフのの子が、両手で鼻を押さえ「ビックリしたですの~!」と聞き慣れない口調で言いながら仰向けに倒れていた。

「どちら様?」

僕がそう聞くと、ハッとした表をしたの子は立ち上がって答えた。

「よくぞ聞いてくれましたの。わたくし、モモに頼まれて今日一日同伴することになったマリーですの。以後お見知りおきをですの」

あふれでるお嬢様……。というか、モモに頼まれた? どういうこと?

「実は、モモさんは今日用事があるとかでログイン出來ませんの」

「なんでヒカリじゃないの?」

「最初はヒカリさんに頼んだそうなのですが、ヒカリさんも用事があるとかでログイン出來ないそうですの。ですので、わたくしが代わりに來ましたの」

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「それなら仕方ないか。じゃあ、マリーさん今日はよろしく」

そう言いながら僕が手を差し出して握手しようとするも、マリーさんは何故か手を出さない。

「マリーさん?」

「マリー」

「えっ?」

「マリーと呼んでくださいですの!」

「じ、じゃあ、よろしく、マリー」

「はいですの!」

元気な返事と満面の笑顔で握手をするマリー。

「ところで、今からどこへ行くところでしたの?」

「TPO商店街に行こうかと思って」

「あそこは良いですわよ。アクセサリー、髪飾り、マニキュア、の子がしがるものが大抵揃っていますもの。……ハッ!? もしかして、モモさんにプレゼントを!?」

「なんでそうなるの!?」

「モモさんがわたくしと喋る時は、いつもリュウさんのことばかりですの。“私のリュウさんは、優しくてカッコ良くてとても強い人だ”と何回も何回も話すんですの。リュウさんされてますの」

なにそれ恥ずかしいんですけど!? 僕のこと“私のリュウさん”って言っちゃってるし、というかそれ以前に、友達に自慢話として話しちゃってる!?

拷問ですか? モモが友達に話したくなるほど嬉しかったっていうのは伝わってくる。それは良いとしても、恥ずかしい発言はしないでほしかった。

「言っておきますけど、モモさんは學校では一番人でモテモテなんですの。しかも、殿方からのラブレターや告白は日常茶飯事でしたの。ですので、リュウさんは學校の殿方からで散々ないわれをけていますの。モモさんから告白されたというのはそういうことですの」

……重いわ! ど、どどど、どうしよう、家を特定されて悪戯とかされて、僕のせいでばあちゃん達に迷掛けちゃったりしないかな? というか、やっぱりモモってモテたんだ……。

「それと、學校にいる殿方は皆、モモさんの家柄目的に申し込んでますの」

「まるで天皇家と強いパイプを作った藤原道長みたいだね」

「リュウさんはどうですの?」

「えっ?」

「あ、勘違いしないでほしいですの。わたくしは、モモさんとリュウさんには幸せになってほしいですので、応援しますの」

「あ、うん、ありがとう」

僕が不安に思ってるのは、そこじゃないんだけど……。

「それで、リュウさんはどうですの?」

「僕は先ず、モモがああいう家柄だっていうのをモモが告白してきた後に知った上に、お金持ちなのは知ってたから僕みたいな一般人には釣り合わないくらい可い子がなんで僕を? って思ったぐらいだったから、そんな目的はないよ」

「なるほど……。だそうですの、モモさん」

はっ? えっ? モモは來れないんじゃなかったの?

でも、マリーが僕の後ろを見ながらそう言っているので、振り返って見てみると、玄関にモモが恥ずかしそうにしながら立っていた。

「えっ? モモ? なんで?」

「す、すみません、リュウさん! マリーちゃんがどうしてもリュウさんと話がしたいと言うのでこんなじに……」

「用事は?」

「無いに決まってます! リュウさんと一緒に居るためなら用事なんてすっぽかしてでも來ます!」

「そ、そっか……そう言えば昨日も、電話の時に同じようなこと言ってたね……。因みに、どこから聞いてた?」

「それはもう、最初からです」

マジ? じゃあ、さっきの僕の言葉も聞いてたってこと?

「それとさっきの話ですけど、私は、リュウさんだから告白したんです。他の有象無象になんて告白しませんし、好きにもなりません。なので、釣り合わないとか言わないでください!」

「ご、ごめん……」

珍しくモモが怒ったので、僕は速攻で素直に謝った。

「わたくしだけ、蚊帳の外なんですの……」

「あっ、ま、マリーちゃん、ごめんね! 商店街でしたよね、行きましょう!」

マリーが落ち込みながら言うと、モモは慌てて謝り、モモが先導して商店街へ向かうことになった。

商店街に著き、々と見て回っているとマリーが言っていたアクセサリーや髪飾りを売っている店を発見した。

なので、僕はその店に寄って僕の“紙センス”で選んだ桜の花の髪飾りを、モモにプレゼントした。

「髪飾りありがとうございます。大切にします」

「あ、うん」

そして一応、マリーの分も買って本人に渡した。

「なんでわたくしの分まで?」

「マリーちゃん、リュウさんは優しいから、マリーちゃんが羨ましがらないように買ってくれたんだよ? ごちゃごちゃ言わずに素直にお禮を言って?」

笑ってない。いや笑ってるけど笑ってるように見えない。凄く、圧をじる……。しかも、珍しく“ごちゃごちゃ言わずに”なんて暴な言葉を使っちゃってる……。

「なんか、モモさんって、リュウさんのことになると、し怖いですの……。リュウさん、髪飾りありがとうですの」

「どういたしまして」

そんなやり取りを終えた後、僕達は再び商店街を見て回った。

見て回っていて気になるのが、最初からではあったけど、周りからの視線が気になる。

全員が完全に僕のことを見ているのがわかるぐらい見られてる。その視線は、現在の子を二人連れて歩いてるから、良くないものなのは確かだと思う。絡まれないかが心配。

そう思っていた矢先、後ろから「おい」と聲を掛けられたので、ヤバいかな? と思いながら後ろへ振り向くと、ヨシキだった。ヨシキの後ろには、前に戦のPVPをした人達も居た。

「なんだヨシキか」

「なんだってなんだよ! つか、こんなところでなにやってんだ? もしかしてデートか?」

「いや、商店街を見て回ってるだけだよ。それに今日はもう一人居るし」

「誰だよ?」

「モモの友達のマリーっていう子だよ」

「ふ~ん」

「そっちはなにしてるの?」

「俺らは、これからクエストだから、そのために必要なを買いに來たんだよ」

「そうなんだ。因みに、どんなクエスト?」

僕が聞くと、ヨシキは目をキラキラさせしよだれをたらしながら答えた。

「『鰻を釣って料理屋に納める』っていうクエストだよ。クエスト報酬がひつまぶしだから楽しみなんだ!」

「へぇ、そう言えば、ヨシキ名古屋行ってみたいって言ってたもんね」

そう、ヨシキは何故か名古屋推しをしていて、一度でいいから名古屋に行って名古屋発祥の食べを食べるんだ! と意気込んではいるけど、まだ一度も行ったことがない。というか行けないのだ。

なぜ行けないのかと言うと、ヨシキが言うには親が許してくれないからだそうだ。

「あぁ、そうなんだよ! 一つ願いが葉った!」

「よかったね」

「でもやっぱ、名古屋で食いたかった……」

それは、気持ちはわかるけど、僕にはどうしようも出來ないので、言われても困る……。

「まぁ、親の説得を頑張るしかないんじゃない?」

「それしかないんだよなぁ。でも、全く行くこと許してくれねぇんだからどうしようもねぇよ……」

「夏休みなら行っても良いんじゃない? もうしで夏休みだし」

「許さない理由が遠いからだから難しいな」

「新幹線ならすぐだけど」

「それなら俺も言ったけど、何かあったときにすぐ助けに行けないとか言い出したんだぞ?」

ヨシキの両親って過保護なのかな? 高校3年生なんだから、ヨシキ一人で行っても大丈夫だと思うけど……。

「まぁ、こんなところで愚癡っても行けないことに変わりはないから、俺は今から鰻を釣りに行く」

「あ、うん、頑張って」

「じゃあな」

そう言ってヨシキは後ろの人達を連れて去っていった。

「リュウさん、今の人と知り合いですの?」

「えっ? あ、うん、そうだよ?」

「ヨシキさんって、名古屋好きなんですね」

「うん。なんでかは聞いたことないけどね」

「あっ、見てくださいですの。あそこに可いお菓子が売ってますの。行きましょうですの」

マリーがそう提案したのを僕とモモは採用して、そのお菓子を売ってる店に行くことにした。

そのお店でマリーが見た可いお菓子を僕の奢りで買って食べた後、マリーは現実の用事があるらしく抜けることになったので、そこで別れることになった。

「今日は楽しかったですの。また一緒に回りましょうですの」

「うん、またね」

「またね、マリーちゃん」

別れたマリーは、自分のギルドホームへと戻っていった。

「中々個かな子だったね」

「マリーちゃん、ああ見えて波戸山コンツェルンの社長令嬢です」

「どこがああ見えてなのか分からないけど、そんな凄いところの令嬢だったんだ……」

波戸山コンツェルンとは、現在多方面に勢力をばしており、一番有名なのが波戸山溫泉で、肩こりや腰痛に効くと評判の溫泉を経営している大企業だ。

まさか、マリーがその企業の社長令嬢だったとは思わなかったので驚いた。

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