《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》7 東の隠し干支
真っ白なに、金こんじきの瞳。
歳は15才ぐらいに見える。
服裝は黒を基調とした著に、白の帯。
髪型は前髪を真っ直ぐ切り揃えたおかっぱでし笑える髪型をしている。
  歩く日本人形かこいつ。
「おい、転生者。今失禮なこと考えたじゃろ」
ぎく。
何故バレたし。読心か。
俺はまだ赤ん坊だから表など読み取れるはずも無いのだか。しかも何故転生者だということも解ってるんだこいつ。
「ふふん、驚いたか。わしはある程度相手のを読み取れるのじゃ。故に、お主が転生者だということもわかっとる。赤子がそれだけ複雑なを持つはずが無いからのう」
はそういうと、無いを反らしてを張る。
「……誰のが無いだと。貴様きさん、ええ加減にせいよ。これは、鬼裝束おにそうぞくのせいでそう見えるだけで、無いわけではないわい!」
うわっ?! 本當にだけ読み取っているのか?あまりにも正確に読みとっている。
……本人にも思うところがあるんじゃないだろうか?
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しかしその和服みたいな服は『鬼裝束』っていうのか。隨分騒な名前だな。
「さて、時間も無いことだ。端的に話そう。お主が生き殘ったのはワシのおかげじゃ。そこで、ワシに謝し、ワシを讃え、ワシの願いを有り難く聞き屆けよ」
端的すぎるわ。そして余計な言葉が多すぎる。
「……理解しておらんようじゃの? では逆に聞きたいのだが、生まれたばかりの赤子が使ったこともない魔法を、しかも改編まで加えて発出來ると思うのか?」
……確かにそりゃそうだ。あの時はせっぱ詰まってたから深く考えて無かったが。
「あればワシが特別に貸してやった、『創造』という能力じゃ。……本來は裝備品を製する能力で、魔法を改編する力など無いはず何だがのう。≪魔法こんぱいら≫とは、ずいぶん奇態な能力じゃ。……お主、よっぽど面白いタマシイを持っておるようじゃの」
頂きました。管理者に続いて二人目の『タマシイが面白い』。
俺のタマシイはそんなに笑もの何だろうか。ちょっとへこむ。
「何を隠そう、ワシはこの森に古くから住む『鬼』じゃ。ワシは強いのじゃぞ。例えば、ワシの2つ名である『東あずまの隠かくし干支えと』と言えば、誰もが恐れおののくはずじゃ。お主が必死こいて倒していた犬畜生等とは、格が違うぞ。ーーそれでじゃ、何か面白そうな事は無いかといつものように森をぶらついておったら、何やら騒がしい気配がする。気配を消して覗いてみると、狼の群れに人間の男が襲われておった。しかもは籠って今にも生みそうじゃし、遠くない場所でグレーターウルフの気配もしとる。人間なんぞに何の義理も無いが、見てしまった手前助けんのは寢覚めが悪い。そこで、に『創造』の力を一時的に貸してやろうとしたのだか・・・何故か実際に力が渡ったのはお主の方じゃった。お主、がよっぽどがめついんじゃな」
人聞きの悪い事を言うな!
母親に與えられるはずだった能力を無理やり奪ったとは知らなかったが、不可抗力だ。
俺だって必死だったんだから仕方ないだろ。
「さて、これでわかったじゃろ? お主はワシに対して返しても返しきれぬ恩がある」
ぐぬぬ。一方的に恩を押し付けられているはいなめないが、こいつが言っている事が本當なら、こいつが助けてくれなければ俺は百発百中で死んでたって訳だ。何も言い返せねえ。
「ふふん。どうやら自分の立場を認めたようじゃの」
 は得意気にそう言うと、尾をぴーんとばす。
ーーって尾ぉ?!
「? お主何を驚いて……あっ?! しもた! 嬉しかったからつい! お主、今のは見なかったことにせい!」
は慌てた様子でおをパンパンと叩くと、尾が消えて無くなった。
……今度は頭から貓耳が飛び出してるんですけど。
……見なかったことにしよう。
「んん? 何だか引っ掛かるだが。……まあよい。続きじゃ。お主、無茶な魔法を行使したせいで死にかけておるじゃろ。自業自得といえばそれまでだが、ワシと『本契約』をすれば助かる。ワシのタマシイがお主のタマシイを補てんするからの」
うお! マジか! それは有り難い!
……だか、1つ引っ掛かる。
こいつは「ワシの願いを有り難く聞き屆けよ」とか言ってたぞ。
これだけの恩を著せといて、一何をむ気だ。
……まさか、俺のが目當てか?
「……何やら気持ちの悪い想像をしてそうだが、全然違うぞ。ワシがむのは、『お主の人生』じゃ。――いや、そう構えるな。特に何をしてもらうということはない。契約をわすと、お主はワシの主あるじとして生涯を共に過ごすことになる。その過程の中で、ワシにお主の人生を見せてくれればよい。お主の生涯は波に満ちていそうで、退屈しないだろうからな」
おい。勝手に俺の人生ハードモードに確定させないでくれます?
「……どうじゃ? 悪い條件ではなかろう?」
はどこかおすおずとした様子で聞いてくる。
俺はその様子に苦笑する。
條件など、無いに等しい。要するにこいつはどうしようもないお人好しで、俺の事を助けてやるって話だ。
ならば答えは1つだ。
は俺のを読み取り、満足げに頷く。
「よし、では契約の儀式を始めるぞ。ーー思ったより時間を食ってしまったようだ。お主が死ぬまで殘り15秒を切ってもうた」
(へえ、こっちの世界も秒単位なのね。……って!! 15秒?!!
せっかく助かりそうなのに『死因:長話しし過ぎ』なんて間抜けな理由で死んじゃうよ俺?!
ハリアップ! 貓娘様!!)
はその鈴が響くような聲で、朗々と契約の言葉を詠いあげる。
「――我われが司るは第13支との貓、用いる異能いのうは『創造』、名は鈴音すずね。古いにしえの盟約に基づき、代償を糧としてそなたと契約を結ぼう。契約の代償はそなたの『人生』。契約の是非は如何いかん?」
(是だ! イエス!)
「契約は立した。今この時よりそなたの僕しもべとして仕えよう」
そう言うと、は赤ん坊である俺に向かって膝をつき、深々と頭を下げた。
ーー俺はこの時はまだわからなかった。
『波の人生』となる大部分は、この……鈴音と契約をわしたせいで巻き起こるのだということを。
その時は、生き殘ったという喜びを唯々噛み締めるのであった。
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