《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》10 東郷家(千春視點)

東家の敷地にると、ちょうど離れにある小さな草庵の扉が空き、中から出てきた黒い髭を蓄えた人と目が合う。

「おや、可いお客さんだ」

「あ、こんにちわです村長」

東郷とうごう 龍一郎りゅういちろう氏は

東郷家の元當主。ご長男である晃一氏が家に戻られてからは、家督を晃一氏に譲られて、自分は離れに小さな小屋をたて、奧さんと一緒に慎ましい生活をおくっている。家督を譲ったあと、周囲から請われて村長となった。

「はっはっは。村長なんて肩書きだけですよ。このようなぼろ家にわざわざ東の魔様にお越し頂くとは。本日は何用ですかな?」

「ええ、実は……」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「晃一、いるかな?」

「親父どうした? って、お客さんか。お嬢ちゃん、どうしたのかな?」

「あたしの名前は草薙くさなぎ千春ちはるです。宜しくです。師匠の命令で北の森の監視を行っておりましたが、今から約半年前に森の主が消滅してしまうという異常事態が起きました。その為、今森は生態系のバランスが崩れ、ゴブリンが大繁してしまっておりますです。半年ほど前森に異変について、何か知っておられませんでしょうか?」

「ああ、森の魔のお弟子さんか。しかしまいったな。あれ森の主だったのか? 半年前に殺しちまったぞ」

「…………え? いやいやいや、そんなはずはないです。 森の主はグレーターウルフです。 Aランクの冒険者が何人かでパーティーを組んでようやく倒せるレベルですよ? 単獨であれは、それこそSランクの冒険者でなければ……失禮ですが、晃一氏にそこまでの実力があるとはとても」

そういうと、晃一氏は気まずそうにポリポリと頭をかく。良かった、どうやら冗談か何かだったみたいだ。

「……んー、倒したのは、たぶん俺の息子だ」

「む、息子さんが森の主をですか? 晃一氏はまだお若いようですが、息子さんはおいくつですか?」

晃一の頭をかく手が加速する。

「えーと、こう言っても信じちゃくれねえと思うんだが。いや、俺も半信半疑何だが、菫は間違い無いって言うし……。息子は今月で6ヶ月だ。ゼロ歳6ヶ月になる」

「…………ご冗談をです」

「ま、まあそういう反応になるよねえ。ハハハハー」

晃一氏の乾いた笑いと共に、頭をかく速さは速に迫らん勢いへと加速されていった。

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