《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》22 子供若ダンナ
朝、鳥の鳴き聲に促されて目が覚める。
グッとびをすると、部屋に設置してある大袈裟な程大きな鏡で全をチェックする。
ゴブリン襲來から早4年。
顔立ちも児から子供へと変化しつつあった。青いクリクリとした目に短く切り揃えた金髪の髪。我ながらのある顔立ちだ。髪のや目のはどちらも母さん譲りである。父親からけ継いだのは別ぐらいだろう。ほぼ、母さんのクローンと言って良い。
因みに、村民達によると村1番の人だとの呼び聲が高いそうだが、いまいちピンと來ない。母さんは母さんであってそれ以外の何者でもないのだ。……我ながら何の説明にもなっていないが、男であれば今の説明で大解ってくれるはずだ。
2階へ降りて行くと既に鈴音がダイニングテーブルに座っていた。
「遅いぞ主。寢小便でもたれておったか?」
「してねえよ! ったく、年寄りは朝が早いな」
鈴音は去年の冬頃に布団へ相をしたことを未だに言ってくる。
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「こらこら、黒ちゃん。巧魔ちゃんが気にしてるんだから。あんまり酷いことばかりで言ってるようなら、黒ちゃんの朝飯は抜きですよ」
母さんが臺所から話しかける。手元からは湯気が立ち上っている。既に朝飯は出來ているようだ。食をう香りが漂ってきた。
「……むう、それは困るのう。菫、今のは冗談じゃ。堪忍せい。ホレ、主も頭を下げんか」
「何で俺が下げるんだよ! 朝から理不盡過ぎるだろ!」
「今日も朝から元気だな、お前らは」
父さんが呆れたように呟く。
そうこうしているに、母さんの料理が食卓に並んだ。卵焼きにオークのソーセージ、最後に龍一郎じいさんお手製の食パンだ。
「うむ。今日もワシの好だらけじゃ。龍一郎のパンも今日は一段と良い出來じゃの」
「はっはっは。鈴音殿に譽められると益々やる気が出ますな」
龍一郎がニコニコと喜んでいる。口調は敬語だが、その態度は孫おれに対するものとなんら変わらない。本當に子供好きなじいさんだ。……鈴音が子供にカテゴライズされているのは甚だ疑問ではあるが。
龍一郎は普段し離れた所にある小さな離れに暮らしているが、食事時だけは皆で揃って食べることにしている。
「……逆にお前が苦手な食べを見た事が無いんだが。いったい何が苦手なんだ?」
「たくさんあるぞ。まずはオークの○丸に、シャクトリ蟲のソテー、それから……」
「ゲテモノばっかりじゃねえか! 食事中に○丸とか言わないでくれます?!」
「ほんと朝から元気だなあ、お前ら……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
母さんの朝飯を食べ終わると、俺は早速外に出た。今は春前の時期であるため、まだ寒い。
因みに、この世界にも四季が存在している。暦の數え方は前の世界と殆ど変わらない。月は1月~12月。年間は360日前後とややな目。1日の時間は24時間。1時間は60分。1分は60秒。1秒辺りの時間はあまり変わらないように思われる。
そんな偶然あり得るか? と考えた事もあるが、それは間違いである。
かの有名なアイザック・ニュートンは晩年、『自分は真理の海の波打ち際で戯れながら、時折普通よりしい貝殻を見つけて喜ぶ子供のようだ』と語っていた。
俺の持っている常識など、この新しい世界ではウンコ以下の価値しかない。目の前で起きている現象こそ、真実なのだ。
「あ、若ダンナおはようございます! 朝から難しい顔してどうしたんです?」
「若ダンナちゃん、おはよう! 今日もかわいいねえ」
「若ダンナざーす!!」
俺のとりとめもない思考は、森谷村の村民達からのげんなりする呼びかけによって現実世界に呼び戻された。
「あ、はい。どうもおはようございます。あのー、何度もいってますが、その若ダンナという呼び方はちょっと……」
「何を遠慮してるんだい! 村1番の稼ぎ頭のくせして! それに、事実巧魔ちゃんは東商店の若ダンナ・じゃないか」
そう、俺は今森谷村1番の稼ぎ頭、『東商店』の若ダンナとなってしまっていた。
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