《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》46 トンネルの先に待つ者

開通地點に近づくと、僅かにの香りが漂ってきた。突き當たった壁には、小さなが空いており、そこから海風が吹き込んでいるようだ。

「微かにの香りがするのう」

「海までは徒歩2日かかるが、この時期は海風が強いからが香る時があるのだ。――巧魔、そこに空いている小さいに向けて一発頼むぜ」

「本當に、いいんですか?」

以前から豚助に頼まれていたのだが、トンネルの開通は俺にやってもらいたいのだそうだ。

俺は、このトンネル工事で一番苦労したのは豚助さんなのだから、當然豚助さんが開通させるべき、と主張したのだが、豚助さん曰いわく「俺様は巧魔の為に頑張った。だから巧魔が開通させるんだ」だ、そうだ。

「さあ、やってくれ巧魔」

「分かりました。では……」

俺は皆を下がらせると、詠唱を開始する。

『私は魔法を行使する――

イクス・プロ―ジョン』

耳を劈つんざく発音と振がトンネルに駆け巡る。ちなみに、俺は昨年手にれた補助能力『詠唱破棄』によって魔法の行使宣言『私は魔法を行使する』を省略する事ができる。戦闘中など迫した場面にはたいへん役に立つ能力だろう。

「相変わらず、すごい威力じゃのう。お、向こう側が見えるぞ!」

「やったな、巧魔! 開通だ!」

行き止まりだったトンネルは大きく開かれ、冷たい海風が吹き込んで來ていた。

目の前には広大なオーク平原が広がっている。

「今は丘に隠れて見えないが、此処から一時間も歩けば、俺様の生まれ故郷、豚狩とんがり村だ!」

「……あれ? そういえば、他の豚狩村の方たちの姿が見えませんね」

いつも豚狩村から出稼ぎに來ている人達の姿が見えない。

「実は、皆祭りの準備のため豚狩村に朝から向かっているんだ。巧魔の為、オークをたっぷり用意してある。ぜひ、豚狩村に招待させてくれ!」「大オヤビンだいかんげい!」

「おお、じゃじゃ! もちろん行くじゃろ?」

「そりゃあ、朝から準備してもらってるのに斷るわけにもいかないだろ」

「にゃはー! 久々のじゃのうーーっと、しまった」

鈴音は慌てておをパタパタと叩く。どうやら、興しすぎて尾が飛び出したようだ。にゃはーってなんだよ。にゃはーって。興しすぎだろ。

「おう、お前が巧魔っちか!」

「へ?」

いつの間にそこにいたのだろうか。

開通したトンネルの出口には、長のイケメンが腕を組んで立っていた。

――誰だこいつ?

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