《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》47 強引な案

長は豚助よりも高いだろう。佇まいは威風堂々としており、俺は思わず気遅れしてしまう。

「正義せいぎさん!」

豚助は驚いたようにそう言うと、イケメンの元に駆け寄った。どうやら知り合いのようだ。

「一何時からこっちに來てたんですか?」

「ああ、豚助っちは森谷村に籠りっきりだったからなあ。先週から豚狩村にいるよん」

「そうでしたか。あ、巧魔。こちらは正義さんだ。龍都から豚狩村に來ている行商人で、こっちでは手にりにくい類や食等を龍都から仕れては安く卸してくれる変わった人だ」

「変わった人は酷いぜー豚助っちー。俺っちの善意の値下げなんだぜー。さて、初めましてー、だな巧魔っち。噂はかねがね聞いてるぜ。何でも千の改編魔法の使い手だとか。その若さで大したもんだな」

なんだその噂は。千個も改編魔法をクラス化した覚えはないぞ。

「いえいえ、自分はそんな大それた事は出來ませんよ」

「んー? 謙遜かなー? 若いうちは調子に乗ってるくらいがちょうどいいぞー」

いや、前世と合わせれば実質そんなに若くは無いんだが。

「……おい、正義。お主こんなところで何をしとるんじゃ」

鈴音がどこか呆れたように正義さんへ話しかけた。

「え? 鈴音の知り合いなの?」

「さあさあ、話は終わりだ! 豚狩村はこっちだ! さあ皆ついてこい! 今夜は派手にいくぞー!!」

「聞いとるのかせい――」

「ほら、巧魔っちも早く!」

正義さんは何故か慌てるように鈴音の言葉を遮ると、俺の手を引いてズンズンと豚狩村へ向かって歩み始めるのであった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

二時間ほど歩いただろうか。小さな丘の上に、柵に囲まれた小さな村が見えてきた。

「おお、見えてきたのう」

豚狩村の口にはわらわらと大勢の人たちが集まっていた。

「ようこそ巧魔様!」「あれが巧魔様か!」「あら、やっぱり本當に子どもなのね!」

豚狩村の人たちが口々に聲をかけてくる。

「これ、一斉にしゃべるでない。 巧魔様。ようこそおいで下さいました」

杖をついた老人が一歩前に進み出てきた。

「わざわざお出迎え頂きありがとうございます。村長さんでしょうか?」

「はい、村長の風丸、と申します。 この度は豚狩村の危機を救っていただき、謝の言葉もみつかりません。ささ、宴の準備は整っております。どうぞこちらへ」

俺たちは村長に促され、宴が準備された広場へと案された。

一段高く組み上げられたステージに俺と鈴音が座る。俺たちの前にはとりどりの食材が並び、広場の中心には高い位置に串刺しにされた豚がくるくると回されながら火にあぶれている。

「こんな歓迎をけるなんて思ってもみませんでした。父さんたちも呼んでくるんでした」

「既に使いの者を走らせております。もう30分もすれば到著するでしょう」

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