《転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~》95 乙の真実②(???視點)

それからの折笠先輩は、さすがの一言だった。

児の時から転生者であることを公言。生まれ持った土魔法の才能を惜しげもなく駆使し、次々と村を発展させていった。

森谷商店の設立、巨大な宿屋であるうっかり魔邸の建築、豚狩村へのトンネル開通など、あげれば切りが無い。

ちなみに私は転生者であることをカミングアウトする勇気を持てずにいた。

ただでさえ蒼の魔導師として生まれ奇異な目で見られているし、たまに誰かに監視されているような、妙な視線をじることもある。そんな狀況で転生者ということになれば、どうなってしまうか。両親も私に嫌気がさし、村を追い出してしまうかもしれない。

もちろん両親はいい人たちだ。そんな事はしないに決まっている。だが、いざ言おうとすると勇気が出なくなってしまい、気がつけば5年もたってしまっていた。

だがら、折笠先輩と話すときは、年齢相応の話し方で接していた。

敵もいた。『わしは~』とおばあちゃんみたいな話し方をする黒貓のの子だ。

あいつがいるときは、わざと折笠先輩を連れ出してみせた。

あの悔しそうな顔を思い出すだけで、ごはん3杯はいける。

そんな折笠先輩との幸せな日々。だが、それはある日突然終わりを告げた。

無駄にデカイで折笠先輩をするエマニエルというおばさんが突然現れたのだ。

私は獨學で習得した風魔法『盜み聞き』を駆使して、エマニエルと折笠先輩との會話を盜み聞きをした。

(昔から魔法は得意だったが、風魔法はその中でも得意だ)

エマニエルは召集令狀を盾に、折笠先輩を無理矢理連れ出して龍都に連れて行くという。

私の危機センサーがびんびんと鳴った。これは前世と同じパターンだ。折笠先輩はどんな面倒ごとも斷ることはない。このまま前世と同じ道を辿れば、また折笠先輩が……折笠先輩!

私はいてもたってもいられなくなり、家を飛び出した。

その後の記憶は鮮明ではないが、魔力が暴発して折笠先輩の家を吹き飛ばしてしまったことはよく覚えている。

最近魔力のコントロールが効かなくなり始めていたのはじていたが、まさか折笠先輩の前で暴発してしまうなんて。

手に魔力を集中させてみる。暴発したときほどではないが、やはり安定していない。

……私は折笠先輩に近づいてはいけないのかもしれない。

近づけば、またいつか暴発してしまう。折笠先輩に迷をかけてしまう。

でも。

それでも。

私は折笠先輩に會いたい!

そうだ、自分の気持ちに噓はつけない。龍都の方角なら大分かる。

風魔法を上手くコントロールすれば、を浮かせて飛んで行けるはずだ。

折笠先輩に、すべてを打ち明けよう。折笠先輩なら分かってくれるはず。もう、私を捨てたりしないはずだ。

私は意を決すると、そっと玄関の戸を開け風魔法を展開。

――さあ、飛んで!

私は大きな発音と同時にを浮かす。よし、飛べる!

「なんの音だ!」

「きゃあ! 乙葉!」

ごめん、ママ、パパ。でも、私どうしても行かなきゃ!

私は風の出力を上げ、龍街であろう方向へ向かって飛び立っていった。

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