《LIBERTY WORLD ONLINE》予選ブロック2

控室を出た私は、レイ達の試合を応援するために観客席の一番後ろの列の席が空いていたのでそこに座った。

「うぅ~負けちゃった~」

「リンさん惜しかったですね」

「あ~、めっちゃ悔しい!」

Bブロックの予選が終了し、予選を終え戻ってきたリンさんが観客席に座っている私を見つけると、こっちに來て隣の席に座った。Bブロックに出場していたリンさんは、試合が始まってすぐは善戦していた。だが、終盤に近付き人數が減ってくると必然的にここまで生き殘ってきた強いプレイヤー達が殘る。健闘していたが途中でMPが盡きてしまい場外に落とされてしまった。その後、Bブロックを勝ち進んだのは [神速剣]ジーク選手 と [雙牙]ファング選手 で二人とも二つ名を持っていた。

「あ、そろそろヒロキとシュンのいるCブロックの予選が始まるみたいよ。二人とも頑張んなさいよ~!」

視線を闘技場の方へ戻すと、丁度開始のゴングが鳴らされて試合が開始された。

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ヒロキとシュンは開始と同時に他のプレイヤーを無視してお互いのいる場所へと駆け出した。そしてお互いを見つけると同時に何かをんだあとぶつかり合った。

「あぁ、もうバカ!いきなり二人で潰し合ってどうするのよ!」

「あはは、二人らしいけどね」

シュンがけに回っておりヒロキが一方的に攻めているのかと思えば、シュンはヒロキから繰り出される剣撃を上手く盾で逸らしながら、もう片方の手に持っている片手直剣を使い、カウンターを繰り出していく。つばぜり合いの狀態となり、両手で剣を扱うヒロキに対して、片手で剣を持つ自分では不利を悟ったシュンは、構えている盾でシールドバッシュを決めて強引にヒロキを引き離した。強引に引き離されて、距離を離されたヒロキはこのままでは埒が明かないと思ったのかここで初めてスキルを発させた。

「あれは煉獄斬りね」

「煉獄斬り?」

「ええ、煉獄の炎を剣に纏い相手を攻撃するスキルよ」

ヒロキが構えている剣を見ると煉獄の炎を纏っていた。普段一緒に行しているせいもあり、そのスキルがどんな効果も持っているのか知っているシュンは慌ててその場から飛び退いた。だが、ヒロキはシュンとの距離を一気にめ、シュンに向かってスキルを叩き込んだ。咄嗟にガードをするシュンだったが、剣の方はけ止めたが、纏っている煉獄の炎がシュンのへと燃え移り、そのを煉獄の炎で覆いつくした。

「なに、あれ!?」

「煉獄斬りは切りつけた対象に燃え移り、継続ダメージを與えるの。防ぐには水屬のスキルで相殺するか、あのスキルを躱さないとダメね。でも剣速は早くないから、よく見て行すれば躱せるはずよ。シュンは焦って選択を間違えたわね」

「一気に距離をめたあれは?」

「あぁ、あれはヒロキが持っているスキルの格闘スキル【地】よ。上手く隙をついた攻撃、流石ね」

ヒロキは煉獄の炎で覆われ、きの鈍くなったシュンへとどめの一撃にもう一度煉獄斬りを叩き込みHPを全損させた。勝利の雄たけびを上げるのと同時に終了のゴングが鳴り響いた。ヒロキとシュンのあまりにも白熱した戦いに熱中していて気づかなかったが、既に二人となっていたようだ。殘りの一人は誰だろうと思い、ヒロキの他に立っている人に視線を向けた。そして目についた人は予想外の人だった。

「えっ、ガルドさん!?」

「え、マチさんあの[自在]のガルドをしってるの!?」

「知り合いです。ってかなんですかその二つ名」

「変幻自在にの長さを変えて攻撃してくるからそう呼ばれているのよ。それにしてもマチさん意外な人と知り合いだったのね」

(……なんでそんな二つ名がつくほどのすごい人が焼き鳥屋なんかやってるのよ…)

心で呆れながら、再びガルドさんの方へ視線を向けると、いつもはハードボイルドな笑みを浮かべている顔を好戦的で大膽不敵な笑みに変え、今だ喜んでいるヒロキの背中を見つめていた。そして、Cブロックの勝者を告げるアナウンスが終わり、二人は控室へと転送されていった。

「へへっ、今回は俺の勝ちだな」

「だ~っ、畜生!次はぜって~負けねえからな!」

しばらくして、ヒロキとシュンが私たちのいるところまで戻ってきた。

「二人ともお疲れ様」

「おう、サンキュー」

「お疲れー」

「それにしてもあんた達途中でじゃまされなかったからよかったものの、何、いきなり開幕から衝突してるのよ」

「そりゃ、全力で戦いたいからに決まってんだろう」

「おう」

「決勝トーナメントで當たった時に戦えばよかったじゃない」

「勝ち進めるかわからない狀況でそんな選択肢はない!俺はこいつと戦いたかった!それだけだ!」

「おう!」

「だめだ、こいつら筋金りの脳筋だった…」

「あはは…」

バカ二人に振り回されて疲れた様子のリンさんを見て私も苦笑いを浮かべ、このパーティを纏めるのがリンさんなんだなと思い、心でリンさんに「がんばって!」とエールを送った。

「最後はレイがいるDブロックの試合だな」

「レイ~!頑張って~!」

私がそうぶと、聲が聞こえたのかチラッとこちらを見たレイがニコリと笑い、口元は「大丈夫よ」と言っているように見えた。

 試合開始のゴングとともに、レイは矢・がない狀態で弦を引き絞った。すると、今までそこには何もなかった空間に、輝く矢が出現した。限界まで引き絞られた輝く矢は、真っ直ぐに発されず、上の方向に向かって発された。放たれたの矢は限界の高さまで昇り、頂上まで昇ったの矢は何十ものの矢に増し、の尾を引きながら地上へと落下していった。

「レイのやつ、いきなりあんな大技つかってMP大丈夫か?」

「何で?」

の尾を引きながら落下していく景に見とれていると、シュンが心配そうな顔をして試合を眺めていたので気になって理由を聞いてみた。

「あれはレイが持っているユニークスキルの【《増》】だ」

「増?」

「【《増》】は自分のMPを消費しながら対象を増やすユニークスキルだ。強力なスキルだが消費するMPの量がでかすぎるスキルだ」

「MP自回復のスキルとMP上昇のスキルとMPに多く振っているレイだから使えるスキルね。矢がなかったのはあれが魔弓だからよ。魔弓もMPを消費して矢を生み出すの」

 隣で話を聞いていたヒロキとリンが補足の説明をしてくれた。

「今ので大分プレイヤーが減ったみたいだな」

「でも、強そうなのがちらほら殘ってるわよ」

視線を再び闘技場の方へ向けてみると、無傷のものもいるが、レイの攻撃を避けたり防いだりして生き殘ったプレイヤーが數名立っていた。レイのことを脅威だと判斷して向かってきたプレイヤーに対してレイは焦ることなく弓を構えて生み出したの矢を引き絞って発した。向かってきたプレイヤー達をあざ笑うかのように再び増したの矢の群れが飲み込んだ。なんとか耐えきったプレイヤーが居たため、レイとそのプレイヤーが決勝ブロックへと駒を進めた。

『それでは、すべての予選が終了したため、ここからは決勝トーナメントブロックの試合を始めたいと思います!』

『うふふ、どんな戦いを繰り広げてくれるのか楽しみねぇ』

『決勝トーナメントブロックで戦う組み合わせはこうなりました! 第一試合 マチ選手vsファング選手 第二試合 ジーク選手vsヒロキ選手 第三試合 ガルド選手vsレイ選手 第四試合 アイリス選手vsフーガ選手 といった結果になりました!第一試合は今から20分後となりますので出場する選手は控室にてお待ちください』

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