《LIBERTY WORLD ONLINE》獣人化
「じゃあ、いってくるね」
「頑張れよ!」
「マチさん頑張って」
「勝ってこい!」
「相手は二つ名持ちだけど大丈夫?」
「大丈夫、とっておきがあるから!」
心配してくれるレイに「まかせて」と言い殘し、その場を後にした。
「決勝トーナメントブロックに出場する選手の控室はこちらになります」
どこの控室にればいいのか迷っていると、案係の人に控室へ導された。第一試合はあと15分後に始まるのでそれまで待機して過ごした。そして、15分が経過し、私は闘技場へと転送された。闘技場には既に対戦相手のファングさんが待っていた。
『さぁ、決勝トーナメントブロック第一回戦はマチ選手対ファング選手の試合ですね』
『そうねぇ、ファング選手は二つ名の異名の通り、二つの槍をって攻撃する選手よね』
『えぇ、大二つ名がつく選手にはユニークスキルを持っているみたいですので、どんな攻撃が繰り出されるのか見ものですね』
『対するマチ選手は全く報がなくて未知の存在よね。こちらもどんな技を使ってくるのか楽しみだわ~』
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『予選で見せてくれた刀に纏わせたあれがなんなのか気になりますねぇ』
「君がマチさんだね、予選での戦い見せてもらったよ。あのスキルはどんなスキルなのか教えてもらってもいいかな?」
「です」
「まぁ、そうだよね」
『これより決勝トーナメントブロックでのルールを説明いたします。制限時間はなく相手側が降參か戦闘不能になるまで戦う完全決著方式といたします。予選と同じで使用不可なスキルなどは存在しません。時間無制限なので思いっきり戦ってください!』
「それでは第一試合開始!」のアナウンスの聲とともにゴングが鳴らされ、私の第一試合が始まった。
「最初の攻撃は君に譲ってあげるよ」
「後悔しても知らないですよ!」
そういって、余裕の表で構えてファングさんに向かって地面を勢いよく蹴って全力で駆け出した。その勢いのまま【ストロークファスト】を発させて、さらに勢いを加速させた。
ファングさんは、初手を譲ってもらったことで十分に力をためて突撃した私の予想以上の速さに、驚きながらも二槍ある槍を差させて防の姿勢を取った。刀と槍がぶつかり合い、金屬同士がこすれる甲高い音を響かせた。
『あれは刀スキルの【ストロークファスト】ですね』
『でも、それってあんなに威力があったかしら』
『スキルのきを自分でも・・・・再現して威力に補正をかけているのでしょう』
『なるほどねぇ、それであんな威力があったのね』
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「くぅ!予想以上に重い!」
ファングさんは十分に力の乗った私の攻撃を押し返すことが出來ずに逆に押し込まれ、余裕を浮かべていた顔に汗を滲ませながらも必死に押し返そうとしていた。このままいけば押し勝てると思ったのだが、二つ名がついていることだけあって流石にそう上手くはいかなかった。ファングさんはこのまま押し返すのは無理だと判斷したのか、槍の側面で刀の軌道を逸らした。急に拮抗していた力がなくなったことで支えを失った私はつまずいて転んでしまった。
「まだまだ甘いな!」
「うぐぅ」
転んだ隙を逃すファングさんではなく私に向かって槍を突き出した。即座に立て直し、回避行をとったが、一回目のあとに突き出されたもう片方の槍を躱すことが出來ずに肩に一撃を食らってしまった
「これでもう、両手で刀を握ることはできまい」
肩を貫かれたことでだらりと下がった腕を見た。確かにこれでじゃあもう、刀は握れないかな。そう判斷した私は刀をファングさんに向かって投擲した。あっけなくはじき返された刀は闘技場に転がった。
「刀を捨ててどうするつもりだ?降參するつもりか?」
「まさか」
「なら、どうするつもりなんだ?」
突然、武を捨てた私の行を疑問に思ったファングさんが質問してきた。
「こうする」
私は予選で隠していた切り札である【神獣降臨フェンリル】を発させた。すると、私のをが包み込んだ。
「…なんだその姿は」
が収まり、姿を現した私を見たファングさんは油斷なく構えていたが、その聲には驚きと困がりざっていた。
『なんと!が収まった後にそこから現れたのは獣耳と尾を生やしたマチさんが現れました-!ケモミミだああああ!』
『あなた、ケモナーだったのね…』
運営実況者の聲が興しており、観客席からは「うおー!」とか「ケモミミサイコー!」「ケモミミはぁはぁ」とかよくわからない聲が聞こえてきたが無視した。
この獣人化の能力を手にれたのは、このイベントが始まる前日のことだった。ワイバーンの尾の毒により死に戻りしてけたデスペナは次の日、つまり昨日ログインしたときには消えていた。私は自分の取得スキルを見てまともに使えるのが二、三個しかないことに今更気づいて慌てた。スキルを取得しようにも、現在の取得方法はクエストの報酬、店による購、戦闘によるスキル発現しかなかった。店で購しようにもスキル結晶はとても高くお金を稼いでいなかったため買うことが出來なかった。戦闘によるスキルの取得とは言ったものの何をすればしいスキルが手にるのかわからない。ワイバーン戦のときは偶々【回避】スキルが手にったけど、何が條件だったのかはわからない。かわし続けるだけでいいなら、既に多數のプレイヤーが持っているはずだ。因みに【回避】スキルの効果は常時発のスキルで、回避速度が速くなるというものだった。ギルドのクエストで何か良いのはないかなと探していると、ふとあるクエストが目に留まった。
・ウユラン塩湖にいるギガントソルトタートルの討伐:ウユラン塩湖に生息しているソルトタートルの突然変異種。普通のソルトタートルとは違いは數倍の格を持ち、その巨の重量をいかして人を襲う。
    報酬:スキルup玉
 「スキルup玉?」     
今しいものではないが、珍しさともしかしたらと言う期待を寄せてこのクエストを注してみた。
ウユラン塩湖はフェンハイルの街の東側にあり、ウルバ鉱山の反対側に位置している。ウユラン塩湖に向かう途中にある森の中には昆蟲型魔が存在している。蛾や芋蟲などの狀態異常攻撃を主とする魔が存在し、その中にはナメクジ型の魔もいた。塩湖が近いこの場所にいては溶けてしまわないんだろうかと思い、後で街の人に聞いてみたところ、この世界のナメクジは砂糖に弱いらしい。
        …謎だ。
「ここがウユラン塩湖か」
道中で何度か襲われ狀態異常にかかってしまったが、今回はワイバーンとの戦闘を生かし、ちゃんと何があっても大丈夫なように各種狀態異常解毒ポーションを買っておいた。このポーションが中々に高く所持金のほとんどが消えてしまった。
ウユラン塩湖は一面塩の平原であるが雨が降ると表面が薄く水で覆われ、巨大な鏡のような狀態になる。そのため、今は晝だが夜になると夜空に輝く星々を湖面が反響し、壯大な景を作り出すという。今度みんなと一緒に見てみたいなと思った。
「あれかな?」
ウユラン塩湖を囲うように生息しているソルトタートルの群れの中をしばらく進んでいると、巖塩の上にひときわ大きい巨あった。その巨大な甲羅は巖塩みたいなじになってごつごつしており、亀ではあるがドラゴンのような顔をして、ぎょろりと覗く大きな瞳は爬蟲類特有の目をしていた。ギガントタートルは敵私を視認すると、その重い巨をゆっくりと持ち上げ始めた。
1分の時があれば
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