《LIBERTY WORLD ONLINE》決勝トーナメントブロック決勝戦 [獣姫]マチvs[氷の魔]アイリス

「おいおい、まじかよ」

「じょ、冗談でしょ?」

「噓だろ…」

「彼とんでもないわね」

私たちは目の前に広がる景に驚愕に目を見開いていた。

「あのガルドさんでも手も足もでなかったのかよ…」

闘技場には氷漬けとなりピクリともかないガルドさんと、無表のままその場を去るアイリスさんがいた。

ガルドさんは試合が始まるとすぐにアイリスさんとの距離を詰めて攻撃を仕掛けた。

攻撃が決まったかに思えたが、ガルドさんはアイリスさんの目の前できを止めていた。

違和を覚えたガルドさんが足元を見てみると、自信の足が氷漬けとなっていた。

氷が地面を這うように侵食していていたのだ。

異変に気づいた時にはすでに遅く、アイリスさんが前回フーガさんに使った同じスキルを再び発させてガルドさんを瞬く間に巨大な氷像へと姿を変えてしまった。

『さぁ、今イベントも殘すところあと一つとなりました!』

『いよいよ決勝戦ね』

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『そうですね、決勝まで勝ち殘った選手は今大會のダークホースのマチ選手と數々の強豪たちを一瞬にして退けてきたアイリス選手です!』

『これまでのアイリス選手は——』

私たちを紹介する実況者の聲が闘技場に響き渡る中、私は目の前に立っているアイリスさんと相対する。

(たぶん、【《神獣降臨・フェンリル》】の獣人化の狀態ではアイリスさんには敵わないと思う。獣化したとしても勝てるかはわからないと思う…。でも…決勝まできたんだから勝ちたいよね!)

予選の時にプレイヤーを一瞬で氷漬けにしてしまえばよかったのにそれをしなかったのは、あれは相當燃費が悪いからだと思う。なんとかあれを防ぐことができれば、消耗したアイリスさんに勝てるかもしれない。

「決勝まで來たんだ」

私の視線に気がづいたアイリスさんが口を開いた。

「ひとつ聞いてもいいですか?」

私は試合が始まる前にアイリスさんに聞いておきたいことが一つあった。

「…なに?」

「どうしてそんなに悲しい表をしてるんですか」

予選では戦いに集中していたため気づかなかったが、フーガさんとの試合を行っている最中にアイリスさんの方を見てみるとそんな表をしていることに気づいた。

「………そんな顔をしているつもりはない」

「そうですか」

今もそんな表をしているし見間違いではないと思うけど、言う気がないのなら何度聞いても無駄だろうと思った。

『それでは參りましょう!決勝トーナメントブロック決勝戦、マチ選手vsアイリス選手による戦いです!』

「手加減はしない」

「私も全力でいきます!」

開始のゴングとともに私は【《神獣降臨・フェンリル》】を発させた。

いきなり獣化は使わないで殘しておいた。

まだアイリスさんのスキルを把握できていないし、何が起きるかわからないからその時に使おう。

アイリスさんはその場からかないで私の出方を窺っている。

「【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】!」

ガルドさんはアイリスさんと接近して足元を凍らされて行を封じられたため、私はアイリスさんとの距離を詰めずに遠距離からスキルを発させて攻撃した。

「【《氷壁アイスウォール》】」

アイリスさんがそう呟くと、地面から2mはある巨大な氷壁が出現した。

私が放った【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】はアイリスさんまでは屆かず、その巨大な氷壁に阻まれた後、氷の壁を深く抉って霧散した。

深く抉られた氷壁は【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】が霧散してすぐ崩壊した。

 「【《氷竜巻アイストルネード》】」

 「【《暴風テンペスト》】!」

氷の壁が崩れて姿を現したアイリスさんは予選の時に見せた氷の竜巻を発生させた。

私もそれに合わせて【《暴風テンペスト》】を放つ。

二つの違う屬の竜巻がぶつかるとお互いがお互いを打ち消し合い消滅した。

「【《氷柱雨飛アイシクルフォール》】」

お互いのスキルによる攻撃が晴れると私の頭上に氷柱が大量に出現した。

私は急いでその場から飛び出して攻撃を回避する。

「【《吹雪》】」

私が反撃する隙も無くアイリスさんによる次の攻撃が飛んでくる。

新たにスキルが発し、闘技場に雪が吹き荒れる。

雪に紛れて細かい氷の粒が混ざっているためじわじわとダメージをけている。しかも、吹き荒れる雪により視界が悪く気溫低下でだんだんきが鈍くなってきている。

このままではまずいと思い私は覚悟を決めてアイリスさんとの距離を詰めて、【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】に【《赤熊の爪レッドウルステアー》】を纏わせて攻撃した。

(あれ?手ごたえが無かったような……)

私の心配をよそに相手の抵抗もなくあっさりと攻撃が決まったが、その手ごたえがあまりにもなさ過ぎておかしいと思い見てみると、それは人型の氷の塊だった。

(アイリスさんはどこに!?)

「後ろよ」

背後から聲が聞こえ、咄嗟に【《暴風拡張テンペストオーグメント》】を発させて相手を吹き飛ばそうとしたが

「…無駄よ」

アイリスさんは自分の足を氷で固め、後ろに壁を作り風で吹き飛ばされないようにしていた。

「足が!」

すぐさま攻撃を仕掛けようと後ろを振り向こうとしたが足が氷で覆われていてきが取れない。

「捕まえた」

(……このままじゃ!)

この狀態に既視を覚え、なんとか逃げ出そうとするがアイリスさんの追撃が飛んで來た。

「【《氷地獄アイスヘル》】」

私のを徐々に氷が侵食していき、抜け出そうとする抵抗空しく頭まで氷で覆われていった。

『なんとマチ選手までも氷に覆われてしまったぁぁ!』

(……嫌だ、まだ負けたくない!でもここから抜け出さないと…)

『このままマチ選手にきがないと試合続行不可能となり、アイリス選手の勝利となります!』

(ここまで來て負けたくない!私はまだやれる!)

(その意気だ、マチよ)

(シグファルド!?)

(我がちょっと手助けをしてやろう)

え!?どこから!?という疑問をよそに私の耳にアナウンスが響いた。

・ユニークスキル【《神獣降臨》】形態:ファフニールの封印狀態が解除されました。

(ではな、マチよ)

(え、ちょっと…!)

何度か呼び掛けてみたがシグファルドの聲は聞こえなくなっていた。

何だったんだろうと思いつつも、【《神獣降臨》】形態:ファフニール の能力を確認した。

・【《神獣降臨》】形態:ファフニール 炎を司る神獣。

使用可能スキル:【《炎の鎧フレイムアーマー》】——etc。

私は効果を確認すると【《神獣降臨》】形態:ファフニール を発させた。獣化の狀態で。

私は目の前の景を見て、やっぱりだめだったかと思う。

予選の時に彼の顔を見てただの直だが、しだけ期待を寄せはしたが結局は何も得ることが出來なかった。

『マチ選手にきがないため、この試合アイリス選手のしょ——ん?な、なんと氷の中からが溢れ、氷が徐々に解け始めております!』

既に闘技場から去ろうとしていた私は解説者の聲を聴いてそんな馬鹿な!と思い後ろを振り返る。

すると、さっきまで何の変化もなかったはずなのに氷の中からが溢れ、氷が解け始めていた。

さらに、溶け始めたことで氷が薄くなり罅がり始めた。

そして、その罅が徐々に大きくなり氷の中から何かが飛び出すと同時に崩壊した。

(……ドラゴン?)

『な、なんと氷像が輝き崩れたかと思えば、その中から白いドラゴンが出現しました!こ、これは氷の中にいたマチ選手なのか!?』

「さぁ、第二ラウンドの開始だよ」

私の目の前にその白いドラゴンが降り立つと、そう言い放った。

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