それから夜にはまたあいつが來たが、中にれることなく、洗濯だけ渡して追い返した。売れっ子作家は売れっ子聲優並みに忙しいのだ。実際どっちが大変かは知らないが、忙しいのは本當だ。次回作の構想に、既存の作品のメディアミックスの監修とかやる事は山ほどある。未だにネット小説も投稿してるのだ。義務なんてないが、最初がそれだったから今だに続けてる。

「ふう……」

俺は飲みを置いてびをする。今書いてる原稿は仕事とは関係ない。だがネットに投稿してる奴でもない。けど、実は一番力をれてたりする。けどこれをどうにか世に出したいとは思うけど、ためらいもあるのだ。一度自分がこれを世に出そうとすればそれは案外あっさり出來るだろう。けどその瞬間に俺の手から離れてしまう。んな事がき出してしまうだろう。それはちょっと……贅沢な悩みなのはわかってるが、この作品のキャラは特にがある。

だから自分の手から離したくはない。けど……

「世に出したい気持ちはあるんだよな～」

映像化したのを見てみたくはあるんだ。実寫とかはこの作品の場合、言語道斷だが、アニメは歓迎だ。だがそれにも問題はある。それは時代だ。今の時代、アニメになると沢山の人が関わる。そうなると俺の思だけでことは運べない。制作側はアニメの制作費を回収して更に設ける為にんなことをやるだ。それは悪くない。普通だ。當たり前の事。けどそうなるとキャラは汚されるのだ。無駄にを曬したり、サービスシーンがったり、人気の聲優にごり押しされたり。

作者だからってなんでも希が通るわけじゃない。俺は基本、今まではそこまでメディアミックスに干渉しない作者として通ってる。勿論最低限、作品の質という部分は無視できないから、ある程度は意見を言うが、それは制作が大きくき出す前までだ。き出したら、後はその道のプロに任せた方がいいと思ってる。そんなこれまでのスタンスをいきなり替えると周囲が戸うだろう。沢山の人が関わるからこそ、落としどころを見つけて進めていくのが仕事というなんだ。

「どうしたものかな……」

とりあえず俺は此花さんに頼まれた今日打ち合わせの作品に取り掛かった。そして數日後、新たなアニメの為の聲優オーディションがあるとかで參加を打診された。こういうのには行くようにしてる。だって聲優は大事だ。キャラに命を吹き込んでくれるからな。誰よりも作者である俺がキャラをしてるのだから、その聲に妥協なんて出來ない。なので勿論『行きます』と返しておいた。