《聲の神に顔はいらない。》26 夢心地
「はあ……」
私はコンビニ弁當を買った袋をちゃぶ臺に置いてそしてのそのそと布団の所に行くと、ペタンと座り込んでそのまま頭から埋もれた。そして中で「うーあー」と意味不明な言葉を発してそのまま五分くらいはそうしてたと思う。
何故にこんな意味不明な事をやってるかというと……それは今日の収録にある。別に失敗したわけじゃない。私は最大の危機を完璧に乗り越えた筈だ。結局今日の収録、私はダメだしらしいダメ出しをける事はなかった。けどそれが……ね。
「本當にあれでよかったの~~~!?」
私がもだえるのはそれだ。私がちゃんと作品に參加したのはこれで二度目だ。殘りはガヤとかで本當にモブともいえない役ばかりだったから、それらは経歴にかけるものでもない。ようやくつかみ取った二度目の役。私は出來る限りの事をやってんだと自負してる。
そして普通に考えれば、私のその努力が実ったって事だろう。けど……本當にそうだろうか?
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「もしかしてもう諦められたくらいに悪かったから、誰も何も言わなかったんじゃ? だってなんか変だったし!」
私は布団の中でジタバタする。思い返しても今日の収録は居心地が悪かった。なんか最初の私と靜川秋華の掛け合いが終わって一息つくと、なんか周りが止まってた。しかも私を見て――だ。皆が一斉に私を見てた。そして靜川秋華はちゃんとやっててくれたんだけど、その後のシーンに続く人たちがけずになんか一回収録が止まった。
まあおかげで臺本取りに行けたんだけど……なんかそれからずっと視線がいたかった。いや、自意識過剰なのかな? けどあれは絶対に見られてたと思う。
私はこんなブサイクだから視線には敏なんだ。けどなんか今までに験したことのないじで収録時以外では妙にこまってしまった。結局喋ったのは靜川秋華とだけだったし。なんかやたら話しかけてきた。なんかめっちゃ褒められたし。けどその割には目が怖かった。なんなのあれ?
それに共演者だけじゃなく、スタッフ側もサクサクと私の所飛ばしていった。これまでに類を見ない速さだった。本當に、何も言われなかった。そんな事ってあるだろうか? どんなに上手い聲優、ベテランだってキャラのり合わせが完璧に出來てる訳ない。だって聲優はそれぞれの思ったキャラを演じてて、スタッフ側にも描いてるキャラがあるんだ。
それを収録の現場ではすり合わせて行く筈で……その過程はどうしても発生するだ。なのに……
「なーんで全部OK出すかな~」
そのせいで逆に不安になる。いや自分至上最高の聲が出たと実は思ってる。なんだかとてもの回りが良かったのはじてた。けどそれでも……だよ。それでもこんな事ってあり得るのだろうか? 誰かに相談したくても、私の連絡先には同期の聲優はいないし、先輩だってない。あるのは後輩と呼べる子だけだ。
流石に……ね。一応靜川秋華が強引にラインに登録してきたが、あれに聞くことは出來ない。いや、最悪ありだけど、実際あれは社辭令でメッセージを送ったら「空気読んでください」とかかえって來そうで怖いんだ。そんなの帰ってきたら普通に凹むし。
そもそも私は前の現場で人一倍ダメだしされた聲優だ。あの時、私の自信はぽっきりと折れてしまってる。そんな私が今回収録完璧だったウエエエエエエイ! とかなるわけない。
「本當にちゃんと出來たのかな?」
私はそう呟いてリモコンに手をばす。そしてテレビをつけて、録畫してたアニメを流すんだ。それは私が初めてクレジットされたアニメだ。先週ついに私のキャラが活躍する場面が流れた放送だった。まあそれも本當にちょっとだけ……なんだけど……あの演技はもうこれでもかって駄目だしされて、それでも最後まで魂込めて終えたシーンだった。
放送でそのシーンを見た時、私は知らずに泣いてた。完されたアニメがここまで凄い事を私は先週認識したんだ。その話はネットでもちょっとだけ話題になってた。作畫も凄かったから、実際私の演技よりも寧ろ作畫の綺麗さが取りだたされてるじだったけど……でもちゃんと伝わった人たちがいる事もわかったんだ。
こんな私でも心を揺さぶるを殘せるんだって……私はその時、聲優という仕事の醍醐味を味わった気がした。だから何度も見てる。めっちゃ見てる。だって見ると勇気と元気とやる気をもらえるのだ。そこらのエナジードリンクなんて目じゃない。
だから私は明日の為に、狹い部屋でアニメを見る。
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