《聲の神に顔はいらない。》39 酒は全てを忘れさせてくれる?

「かぁはぁー!」

俺は行きつけの居酒屋で酒を煽る。まだ晝間だが、そんな事は関係ない。酒はいつ飲んだっていいんだ。隣には顔が悪い男が一人……いやそんな言い方では悪いか。なにせこんな俺についてきてくれてる奴だ。會社を作るとなった時も滅茶苦茶手伝ってくれた。

いやぶっちゃけこいつが八割の事をやってくれたと思う。俺は社長という椅子を用意されて座っただけだ。

「おい、もっと飲め飲め! 今日は驕るぞ!」

「會社に既に金はないですよ」

「わーてるよ! どうにかなるさ」

俺はがぶがぶと注文したビールを飲んでいく。つまみは適當に何品か頼んだが、そんなのはどうでもいい。とにかくアルコールをにいれたい。だから飲む。飲めば幸せになれるんだから飲まない理由はない。

「この仕事が取れなかったら、會社は終わりです……」

が悪い……いや『野村 恵』がそう呟いてつまみを食ってる。俺は飲んで野村は食ってる。こいつはいつもぼそぼそと喋る。もっとハキハキとしてしいものだ。こいつには謝してるが、人間として好きと言えばそんな事はない。

寧ろむかつく。だが、こいつがいないとやっていけない。俺は自分の格が破綻してるのをしってる。だから誰もついてこない。だが、それでも心を揺さぶるを作れると自負してる。そして野村はそれを信じてくれてる奴でもある。

だがな……

「でーじょうぶだよ。任せとけ!」

「ま……ま……」

何やら野村の腕がプルプルと震えてる。そしてついには箸が折れて機を叩いて立ち上がった。響くと音に比較的騒がしい筈の居酒屋が靜まり返る。

「アンタに任せたからこの様だ! 潰れるっ言ってるんだよ! いやもう潰れたって言ったっていい! 俺たちはもうお仕舞なんだ! 何もかも……もう……お仕舞なんですよ。確かに全て足りなかった。金も時間も……けど……なんであんな……いや貴方はそういう人だ。

ああする事しか知らない人だ。だから俺が……俺が……」

ヤバイ……なんか急にテンションぶち上がったと思ったら急激に萎んて自己嫌悪に陥りやがった。キレるならとことん責めてくれればこっちも酔いに任せて暴れられるんたが、野村は違う。こうやって自分を責めだす。テンションの下がりと共に自然と椅子に座るから、注目はされたが直ぐに居酒屋は元の喧騒に戻った。

厄介な事にならなくて店員とかは良かったと思ってるだろうな。だがこうなった野村はウザい。だが一応俺は社長である。部下のケアも社長の務め。しょうがない奴だ。

「お前はよくやってくれるよ! それは俺が一番よく知ってる! なにせ俺は何もしてないからな! がっはっは!!」

そんな風に豪快に笑って見せて更に飲む。空になったら追加で注文。

「みて……くれるでしょうか?」

「見るさぁーあああ! なんせぇあいつうううはあ! どうるいだあああああ!」

なんか酔いが回ってきたな。気持ちよくなってきたぞ。

「一緒には見えませんでしたが? けど貴方がそういうなら……計畫を勧めましょう。やはり今回提供されなかった作品でいきますか?」

「おう! もちろんだりゃああああああ!!」

俺はそんな返事をしたなんて次の日には忘れるが……そんなのはどうでもいいのだ。なにせ酒が旨いから。

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