《聲の神に顔はいらない。》42 運命という言葉はきっとロマンチストが作ったに違いない

こんな所で匙川ととのと出會うなんて一どんな確率だろうか? この広い世界、広い東京とういう都市、そしてその人口度は世界でも有數の部類にる大都市だ。そんな中で知り合いにたまたま會うなんて……本當に奇跡の様な瞬間。

(だが、これって聲を掛けるべきなのだろうか?)

ふと自分はそんな事を考える。だって別に自分と彼は友達関係とかじゃない。どっちかというと仕事相手であって、そしてそれも過去の話だ。自分と匙川ととのに既に接點はない。連絡先を換したとかもない。自分もそんな事を聞きまわる正確じゃないし、匙川ととのもそうだ。

どうみてもキャだからなあいつ。まあ彼を見てると、自分はまともだなって思える程には彼の周囲は暗い。もっと明るい服とか著てもいいと思うが、ただの知り合いが服にまで口だすとかウザいと思われるだけだろう。

いやそれだけならまだいい。仕事以外の事を口にした途端に『セクハラ』と思われるかもしれない。まあ自分程の大人気作家になると、そんな事そうそうないんだが、思われる事が嫌じゃん。そして匙川ととのはなんかそういう事思いそうというか……

(なんか落ち込んでる?)

そう見える。いや、大いつも貓背で、髪で顔を隠してる様な奴だ。ハッキリ言って不気味だし、表とかもわかりづらい。聞いてた話だと、ちょっと前向きになって々と改善できる所はちょっとずつしてるとか聞いてたが、前よりもなんか酷くなってる様に見えるぞ。

それにちょっと間だったとはいえ、自分は真剣に彼に向き合ったつもりだ。自分の生み出したキャラに命を吹き込んでもらうにあたり、みと希を出來る限り匙川ととのには演じてもらった。ハッキリ言ってあんな事は異例だった。

あんなわがままはアレが初めてだったんだ。彼は自は濃いがそれが引っ張られてることはない。彼が演じれば、それはまさに自分が理想描いたキャラになるのである。それは興する事だろう。だからあんなに長く現場に行ったんだ。

アニメが終わって……最後に會ったのは打ち上げの時だったと思う。その時に「お疲れ様。とても良かったです」と聲を掛けたのが最後だった思う。本當なら次の作品にもぜひ……とかいいたかったが、図々しいかな? と思ってやめた。どうせ彼はそんな言葉も社辭令だと思うだろうしな。

だから後は運を天に任せて……なんてことはする気はなかった。それとなく、聲優事務所に聲を掛けるとか、自分がこんな事を言ってたとか、遠回しに伝えたりすれば、再び彼は自分の作品に出てくれるだろうとおもってたからだ。

焦る事はないと思ってた。そしてそれは今回も同じだ。休日に偶然出會う? それが運命だと、そんな事を思う程に彼の頭はお花畑ではないだろう。けど、気になるから彼が何を見るかを観察……とかしてると、彼は何もない床で躓いて転んだ。

恥ずかし気に座ったままの匙川ととの。まさかどこか怪我でも? そう思うと、自然と足がいてた。

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