《聲の神に顔はいらない。》335 運が良いのか悪いのか

「そ、そうね。この二人はとりあえず認めてあげる。なにせ私達に面と向かって言えるんだから。でも……そうじゃない人達にまでチャンスをあげる必要あるしら?」

「た、確かにそうです。淺野さんもととのも私達に直接言える位の膽力があるから認めましょう。ですが、それ以外の人達はここにいる私達の代わりにオーディションに行ったとしても、かるとは思えません。ここに居る私達以上に可能ありますか?」

なんと北大路さんも登園さんもこれ以上ライバルが増えるのは嫌なんだろう、淺野芽依の言葉に乗ってきた。なるほど……なら私も乗ろうかな。このビックウェーブに!! 私だってライバルがいっぱいなんて嫌だし。事務所の聲優全員がそれなんて嫌だ。まあ実際オーディションではもっと多くのライバルと戦ってる訳だけど、そのふるいがここからはじまるって嫌だし。ならなくともこの四になら、四分の二の確率だよ? 倍率が絶対的に違うじゃん。そのくらいわかる。

「わ、私も勇気を出したから……これ以上は……その嫌――」

「あのー、レッスン室の鍵を返しに來たんですけど~」

「――緑山……ちゃん?」

なんか私の言葉に重なってこの部屋に現れたのはちょっと前のオーディションで一緒だった緑山朝日ちゃんだった。彼の何気に言ってた言葉に自分の言葉は消されてしまった。うう……普段の私の聲って弱々しいんだよね。ぼそぼそ喋ってるからだげど……

「おー! 丁度良いところに! ねえねえ緑山ちゃん! オーディションでたくない? 良い奴有るよ」

おい! 緑山朝日ちゃんってお前の擔當か。それは新人っぽく熱意ある若いマネージャーだ。さっき余計な発言した奴ね。そしてオーディションと聞いて目を輝かせる緑山朝日ちゃん。

「出たいです!」

「そうこなくっちゃ!」

ちょっと、彼なんの事かわかってないでしょ。今、自分がどんな立場なのか、全然わかってないよ。言質だけ取ってるんじゃない!

「それじゃあそのお二人の前でも同じ言葉をどうぞ!」

「え?」

ぽかんとする緑山朝日ちゃん。まあそうだよね。なにせ行きり意味不明な事を言われたんだから。まあでも、登園さんと北大路さんは自分たちに真っ向から言ったから――って言ってたもんね。それを緑山朝日ちゃんにもさせようって事だろう。

「お二人は……北大路先輩と、登園先輩ですよね? お二人に……え?」

してる緑山朝日ちゃんはどうしていいかわかってない。一どうするの? そう思ってると、北大路さんがいた。

「私が鍵は預かってあげる。ほら、もう遅いし、若い子は帰らないと危ないわ」

この人自然と帰宅を進めてるーーーー!! 恐ろしい、の恐ろしさを私は見た。

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