《聲の神に顔はいらない。》339 皆が平等な審査方法なんてない

そんなクソッタレな提案をしたのはもちろん……緑山朝日ちゃんのマネージャーだ。てかあの人、新人だよね? なのにめっちゃ出てくる。普通そこら変は遠慮ってやつがあるんじゃない? なのに、グイグイと……しかもクジを真っ先に提案するって明らかに緑山朝日ちゃんが実力では私達の足元にも及んでないってわかってる。そもそも実力を比べちゃあ……それは不公平というものなのはわかってる。ただ上手い、下手では単純に何年もこの業界にいる私や北大路さん、それに登園さんに及ぶべくもないのは明らかだ。

でも……上手いからオーディションに通るかと言われるとそうでもない。なにせ業界は常に新しい聲優を求めてるからだ。人気を確立させてる聲優ならば別だけど、そんなのは大勢いる聲優の中の本の數%でしかない。それに業界はそういう聲優だって、回っていくとしってる。だから常に新しい聲優は求めてるから、実際本當のオーディションでは上手い、下手だけでは決まらない。

でもそれは本の現場でのことであって、ここはその一歩手前、事務所からどの聲優をオーディションに出すかって話し合いだ。なら単純に上手い下手ってのはあり得る。だって単純に考えて、上手いほうが確率的には高い。まああとはもちろん最近なら容姿……もだけど。

「クジですか? 先輩たちはそれで――」

「いいわけ無いでしょ!」

「そうでーす、そんなの公平じゃないでーす」

「流石にクジは……斷固拒否します」

良かった、私以外の淺野芽依も北大路さんも登園さんもクジは反対らしい。まあそれはそうだよね。だって本當にクジなんて運しかない。それって當たらないと不満しかないし。

「それじゃあ、どうするんですか? 技なんてそれこそお二人には緑山ちゃんは勝てるわけないじゃないですか。新人を潰すんですか?」

「それはそうだね……うんうん」

「なら、今の業界は若さと容姿を求めてるのも事実。容姿の良し悪しも審査基準にしましょう!」

「それは、ちょっと先輩には不利すぎますよ? 勝ち目ないじゃないですか」

さっきから新人マネの言葉にいちいち添えてる淺野芽依の言葉がイライラする。いや、最後はある意味、私のことかばってくれてるんだと思うけど……本當にあんたは私に対して遠慮なさすぎだから。いやまあ、たしかに容姿とか加味されたら、私はマイナスだよ。そもそもイベントNGだし……そんな聲優を今の業界は求めてない。

「そのとおりで、平等な評価なんて無理なんですよ。なら、やっぱりクジとか……それかジャンケンしかなくないですか? それとも、皆さんは元々どうやって決める気で?」

「「「…………」」」

私達全員目を反らす! いやだってそんな方法ないじゃん。いや、北大路さんと登園さんとなら、もう実力でいいと思う。聲優としての実力だ。それならセリフのいい合わせてとかで行けたはず。でも、若者たちがってくるとそれでは決めれない。だって私達が絶対に有利だからだ。なら……なら……

「なにも……ないです」

私はそういうしかない。それに北大路さん登園さんも頷くしかない。真正面から叩き潰すとか意気込んでたけど、聲優として……いや今の求められる聲優としての勝負なんて平等になんてできないんだ。

「ならクジやジャンケンで何も問題ないですね。事務所の聲優を全部纏めて平等に行きましょう!」

「ちょっと何よそれ!」

「そうですそうです、他のいない奴らを巻き込む必要なんてないでしょ!?」

北大路さんと淺野芽依がめっちゃ反論してる。けど、私と登園さんはもう諦めてるよ。だっていくら確率が下がっても、クジかジャンケンかそれはかえられない。運要素は変えられないのだ。だって私達には他に決める手段がない。新人とベテランが同列で爭うなんてそもそも無理だし……

「運気……上昇……」

私はかにスマホでその検索ワードを力してた。

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