《聲の神に顔はいらない。》345 事務所と聲優

私はオーディションに行く権利を手にれた。思いがけない賄賂でね。いや賄賂っ言い方は悪い。そもそも私はそんな気持ちはなかったわけだしむしろなんか知らない間に取られてたわけだ。下手すれば犯罪……とかいうか私が疑問に思って警察にでも行ったらかなりやばかったよね? だってなんせ一千萬だ。私だって流石にそれは惜しい――と思う。今は々と心配事が多くて、頭の隅に追いやってたけど、絶対に忘れる事はないじゃん。

(そういえばあのお金は……)

ってそのうちなって給與明細を確認しても、別に増えてなかったら「騙された!」ってなったかもしれない。そうなると警察だよ。こんな事がなかったら、どうするつもりだったんだろう。せっかく社長がいるんだし、聞きたいことは々とある。なんで私のような聲優を取ったのか……とかさ。だって私がったときにはアイドル聲優の波は來てた。だって登園さんとか、そんなじで売れた聲優だ。走りと言っていい。

真っ先にアイドル聲優とジャンル作ったんだから、普通なら、そのままその會社はアイドル聲優に傾倒していくんじゃないだろうか? 経営のこととか全くわからないけど、世間ではそうじゃん。流行ったら、似たようなものが一杯出てくる。それは皆が二匹目のドジョウを狙ってるからだ。それに走りを生み出したっていうアドバンテージもあるし、このウイングイメージがそれに傾倒していくのは當然というか? その翌年に私を取ったのはよく考えたら、おかしい。だからそれの謎を解決する絶好の機會……まあマネージャーが押したってのは前にちょろっと聞いたような気もするけど……でもマネージャー程度でね。確かに私のマネージャーと社長は仲がいい。でも……ね。それだけとは思えない。

「えっと……言ってくだされば……お金……」

ううー言いたいのはそんな事じゃないのに……なんかやっぱり直前の出來事の事が口をついて出てくる。私はもう子供ではない。知らない事がいいほうが世間にはあるって事くらいしってる。會社が傾くなんて、この時代はよくあることだ。今もきっと自分が全く知らない會社がどこかで潰れてる。ただ今回はそれが私の所屬してるこの事務所に襲いかかってきた……というだけだ。それを所屬聲優にわざわざいうか……と言われたら、言わないと思う。そう言わないと思う。結論は出てるから、聞く意味なんてない。ても口から出た言葉は取り消せない。あわよくば、聞こえてない可能も……

「そういうのは伝えるものではないだろう? 君たちは目標だけ見てるべきだ。私達はその手伝いをしてるんだからな。余計な事で足を引っ張るなんて出來ない」

「でも……私もここの事務所の人間……です。それに謝してます……こんな私を拾ってずっとおいててくれた事」

奇跡が起きた。なんと私が聞きたいことに導出來たぞ。導というか、流れ的にその言葉が出てきただけだけど。てか社長なかなかイケメンですね。こんな社長の事務所で聲優やっててよかったと思う。やっぱりクアンテッドなんかには行く気にはれないね。そんな事を思ってると、社長はバックミラーで私を見て、ちょっと笑う。

(え? なんですかその笑い!?)

なんかめっちゃ恥ずかしい。

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