《聲の神に顔はいらない。》351 聲で全てを覆したい

「ふう」

私は事務所のレッスン室で數時間練習してた。まあレッスン室って言っても何か特別な場所ってわけじゃない。狹い個室にマイクスタンドだけおいてそれっぽい雰囲気を出してるだけの部屋だ。これがクアンテッドならマイクだってちゃんとあって聞き返すように録音設備さえ整ってる。それにちゃんとしたボイストレーナーの方も複數人居て、隨時アドバイスをもらえたりいたれりつくせりだ。私も実は使った事あった。

なにせ今は自由にクアンテッドに出りできる。資金力の差……それを十分に痛した。あそこはなんでもスケールが違う。でも私的にはここの方が安心する。この何もない、そしてアナログがいいよね。

「とりあえずこれとこれがいいかな。うん……やりがいありそう」

一通り私はまず臺本を読み込む。そして全部の役をやる。別に男の聲も出せないわけじゃないからね。でもやっぱり男の聲をがやるってのはない。いや、男の子――程度なら、逆に多いくらいではある。だって男聲優って大聲変わりが終わってる人ばかりだ。の聲優なら、それこそ子高生とかいるけど、男になると……ね。中學生には既に聲変わりしてるはずだ。そうなると、若いってされる男聲優でもい男の子の聲を出すのはきつい。だからそこらへんは聲優がやることがおおい。

まああくまでそこの部分だけだけど。大人な男がやるなんてまずない。使う意味もないしね。あるとしたら実はの子が男裝してます……って設定が必要だ。でもそれって結局だしね。なのでやっらり男役は早々に候補から外れる。この作品には主要なが三人いる。一人はだ。金髪ふわふわな見た目の可らしい。そしてもう一人は引きこもりしてる中學生の子で、最後に主人公の同僚のバリバリのキャリアウーマンの上司的な位置の人。

まあ細々としたなら他にも出る。商店街のオバちゃんとかね。でもそれはレギュラーではない。狙うものじゃないだろう。この作品、きっと先生の作品って事で、かなりの大規模になるんじゃないだろうか? そうなると……倍率がヤバいことになる。聲優はいっぱいいるし……その人達がこの役を取り合うんだ。しかも今回はマスコット的なキャラがいない。いや、いるにはいる。多分この金髪がそうだと思う。

でもこの作品ではとてもない。いや、もっとメインからサブドメイン的なのを考えれば……それなりにはいるけど。でも臺本的にはこの三人を絶対にやる前提だ。実はこの子を狙ってます……なんてのは口に出していうようなものじゃない。多分オーディションで制作側が他の配役は判斷するんだろう。だから今回やって取り合うのはこのメイン達だけ。私的にはすごく不利になりやすい。

なにせ、メインともれば絶対に顔出しイベントとか前提だし……私は顔出しNGだ。そうなると……聞く前からバツをつけられたり……いや、先生の作品だし……それはないと思いたい。

「とりあえず、私は全力を盡くすしかないよね……」

今度のオーディションは本當に聲だけでやる。どんな逆境だって、聲で振り払う。その気概を私は持たなきゃいけない。

「よし、原作を読み直そう!」

とりあえずレッスン室を後にして、原作からキャラの理解を更に深める方向に私は舵を切る。

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