《聲の神に顔はいらない。》358 會社員は辛いよ

  野村さんからいろいろな問題を聞いた自分は早速此ノ花さんに連絡だ。自分でけ? 作家の自分にそんな対応力は無い。いやこれはある意味で一番効率的なやり方なんだ。

俺はあくまで作家で、その立場を崩しては行けないって事だ。それが此ノ花さんの持論だった。どうやら偉い人たちも立場には弱いらしい。まあそれは今回でじる事は出來たかもしれない。

こちらは義理を欠く事をした訳だし、々と言われるのを覚悟してたわけだど、そういうのは案外なかった。皆さん――

「いやーいいですよ」

「先生のなさることですからー」

「そういう事をありますが、次はこちらでお願いします」

――とかいうのだった。まあちゃんとした謝罪をしてるってのもあると思ってたが、自分は別に転げ落ちたわけじゃない。今もなお、自分でいうのもなんだが大人気作家な訳で、一回の暴走くらいで、関係を斷つなんて判斷は出來なかったって事だ。

けど、會社には々とたくさんの人がいるし、結局の所、自分に見せてる顔は社會人として、そして會社の人間としての顔であって、それは本心ではない。いくらその場では気にしてないとは言っても、こうやって実際に妨害まがい的な事は行われてる。

  それをどうやってやめさせるか……その知恵は自分んにはない。だって自分は就職なんて一度もしたことなく、會社員経験なんてないんだ。會社の事を知ってるようで全然知らない。

それこそ自分の社會常識って奴は狹い範囲のものだと思う。立場やなんかが々とあるのはわかる。人がたくさん集まってんだから、それなりに人間関係だって大切だろう。

上司に理不盡な事を言われてもノーなんていえないかもしれない。自分がそれとなく脅してみるとしても、やんわりと知らぬ存ぜぬを貫かれるだけだとは思う。

なにせ証拠はない。ただ、そういう事が起こってるってだけだ。それにアニメはいきなり制作を決めるわけじゃない。長い期間、企畫としては立ち上がってるはずだ。それを考えると、自分たちの方がイレギュラーで、急ピッチな制作狀況を押し付けてるだけなのかも……みたいな。

そうではないにしても、でもそう言われたら何も言いかせない。それに自分と會う人達はどれも上の方の立場の人たちが多い。指示は出來ても、現場の狀況を詳しく知ってるとは正直思えない。

だから実は今の狀況は上司の無理難題を下の人たちがなんとかやってる……なんて狀況かも……そんな事を考えると自分はけなくなる。

だから此ノ花さんだ。返信は翌日には來てた。

『了解しました。先生の次の會食予定は確か……ふむ、そうですね。その方に直接言ってみてください。「とても大変なんですよ〰」ってじで」

「でもそれじゃ、はぐらかされるだけじゃないか? 証拠なんてないし、その一社がやってるとも……てかまだどこかやってるかなんてわかってない」

「そんなの調べてる時間はありません。早急に作畫はインをしない間に合わないんです。犯人探しなんての無駄な労力です」

確かに今年後半の放送を目指してる訳で……自分の覚ではまだ一年くらいある……とか思ってしまうが、アニメ制作的には既にギリギリだったりする。でもたからこそ、この問題をきっちり処理してたほうが、後々の為になるかもしれない。

だって妨害はこれだけ……なんて事は実際おもえない。

『不安なんですね先生。大丈夫です。この言葉を付け加えてください』

そう言って此ノ花さんはある言葉を自分にくれた。

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