《聲の神に顔はいらない。》375 運命の日 10

「今日のオーディションは自分も審査させて貰えるということで、參加させてもらいます。どうか皆さんの全力を示してください。

どんな権力にも屈せずに、自分たちは最も自分たちはそのキャラに合うと思える聲優を選ぶつもりです。ですから全力でぶつかってきてください」

そう言って頭を下げる先生。これは……もしかしたら自惚れなのかもしれないが……今の後半の言葉は私に向けて言ったのだろうか? そうだとしたら……今のは先生のメッセージかもしれない。

「先生がわざわざオーディション程度で挨拶に出てくるなんて……危険」

危険なのはお前だよって言いたい。靜川秋華はさっきまでは余裕を見せてまさに聲優ナンバーワンの風格を漂わせてた。けど今は、先生に悪い蟲がつかないかとその目をギラつかせてる。そんな反応してたら、すぐにバレるよ。

なるべく先生との関係を公にしないようにって大室社長にあんた言われてるでしょ。

どうどう、どうどう――だよ。

先生は頭を上げて、再び出てきた扉へと向かう。その時、私や靜川秋華、淺野芽依に宮ちゃんが固まってる方へと視線を向けてくれた気がした。ウインクしたりとか、そんなのはないが、でもその視線とぶつかった時、頷いてくれたような気がする。

「今のは、嫁に來いって合図ね」

「え? なにそれ怖い」

「ただの応援なんじゃ?」

靜川秋華の危険な発言に、淺野芽依と宮ちゃんが引きながらそう言ってた。うん……気の所為だったかもしれない。私も先生となまじ知り合いだからって自分に反応してくれた――とか思ったけど、靜川秋華が危険な事を言ってるから、自惚れはやめようって思えるね。多分先生も忙しいだろうし、眠たかったんだろう。そうだと思って、気を引き締めよう。先生は優しいそうだけど、実は案外厳しい。

自分の作品に妥協なんてしない人だから、知り合いだからって甘くなるなんてことはないだろうしね。

「それでは順次お名前を呼びますので、それまでここでおくつろぎください。心ばかりの飲みと食べは用意してますので、ご自由にお手にとって頂いてけっこうですので」

確かに長機にポットとお菓子が見える。かなりいるし、それにもしかしたらまだまだやってくるかもしれないから、いつぐらいになるかわからない。ずっと立たせとくのも呼んだ側としても悪いと思ってくれてるみたい。くたびれたその人も一度先生が消えた部屋へと消えていく。すると、のこった聲優達がザワザワと仕出しす。

でもなかなかお茶菓子の所へはいかない。々と遠慮がね。新人はベテランよりも早く行くなんて出來ないし、ガツガツした奴とかとも思われたくないっていう気持ちもだってあるだろう。

「仕方ないわね」

そう言って靜川秋華がき出す。まあそうなる。だって今、一番の聲優は彼だ。だから彼が真っ先にく事で、他の聲優たちもそれに続く許可がでるのだ。私達靜川秋華の後にすぐに続けるから、ある意味いい立場にいるね。

それからちょっとして、最初の人が呼ばれて言った。

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