《聲の神に顔はいらない。》381 運命の日 16

(泣いていいかな?)

私の心は既に折れている。だって……だって全然反応帰って來ないんだもん。私はすごすごと靜川秋華のところまで帰っていった。

「もうだめだ……今日のオーディションも私なんて……」

「よしよし、ととのちゃんは頑張ったよ。でも諦めるには早いかな? ちゃんと彼見てみて」

敗北者となって戻ってきた私に靜川秋華はそんな事を言ってきた。てかナデナデするのはやめてくれない? 流石にこの年で、しかも年下のにナデナデされるとか恥ずかしい……てかなんか目覚めそう。にナデナデされるのってなんか気持ち……いや、これ以上は深く考えないほうがいいような気がする。

ってなんか癒やし効果ある何かでも発してるのだろうか? あるかもしれない。だって私は逆だと思うから……それなら対象的なは別のなにかを出しててもおかしくない思う。

私は靜川秋華に言われたから、再び聲をかけた彼を見る。本當なら見たくもないよ。さっきの記憶なんて彼方へと放り投げたいくらいだ。でもとりあえずもう一度見た。

別に何か変わったという事はない。ただ壁によりかかり、スマホを彼は見てる。今の時代、あんな人はたくさんいる。

「別にさっきと変わりない……」

「そうですね。さっきまでと同じく、彼イヤホンしてるよ」

「え?」

私は言われてよく見る。けど、ゴメンだけどそもそもが彼からは耳が見えてない。だってだとイヤホンとかしてるかどうかなんて分かりづらいんだ。だって高確率で耳なんて隠れてるし……

「なんで……そう思うの?」

「リズムに乗ってるじゃないですか」

「確かにちょっとだけ揺れる時有るけど……」

あれでリズムに乗ってるって判斷するのは無理があると思う。だって本當に時々頭をちょっと揺らす程度だよ。規則的に揺れてるのなら、まだわかるけど……別にそうじゃない。

まあこんな人がいる所で、あからさまに揺らしてたりするやつなんて舌端に近づきたくないかけどね。

「大丈夫、あれは絶対音楽きいてまずよ」

「なんかい今笑ってるけど」

「お笑いラジオかもね」

「適當な……」

まあけど、たしかにスマホを手放さなしい、何かのど畫を見てるって事はありえる。普通に縦持ちだから、畫見るにはちょっと適してない……と思うが……

「もう一度やってきたらどうですか?」

「わかった」

私は靜川秋華に背中を押されて再び彼の元へといった。そして目の前で聲をかける。

「あの……」

反応はない。スマホに夢中のようだ。既に帰りたいが、ここはグッと我慢して、さっきよりも聲量を上げる。でもこれでノイズキャンセリングイヤホンなら意味なんてないかも? けど、とりあえず私はもう一度「あの」っていった。すると私の思いが通じたのか、ようやく彼が顔を上げる。そして私と目が合うと、耳に手を持っていってイヤホンを外してくれた。

(やっぱりイヤホンしてたんだ)

靜川秋華よくわかったな。でもようやく、私と彼は向き合う事が出來た。

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