《聲の神に顔はいらない。》384 運命の日 19
「しかし今回は匙川さんの力を借りるわけには行きませんね」
「オーディションは本來、個々人の戦いですから……」
「そうですね。私はこれまでも一杯やってたつもりでした。何回かアニメにはでてましたし、これからこんなじで続けていけれは……そんな風に思ってたんです」
それは……別に他人の考えを否定できるほどに私は偉くもなんとも無いし、言わない。ただ今の田中さんは目の前だけを見てるような目はしてなかった。なんとなく前に會ったときよりも、遠くを見てる気がする。
「でも、先が見えたから、私も目指しますよ。聲優の高みって奴を」
そう言って彼はまっすぐにみて、更に握手した手にちょっとだけ力を込めてグッとしてきた。あまり力をれると私が居たがるだろうという配慮が見える。事実だからありがたい。
田中さんは本當真っ直ぐに私を見てる。それはある意味……挑戦的な目のようにも思える。そんな時だった。
ガチャリ――
と音が聞こえて同時に「ありがとうございました」という宮ちゃんの聲が聞こえた。そっちに視線を向けると、次はバチッと彼と目があった。すると嬉しそうに笑顔になってこっちに駆け寄ってきた。
でも私と田中さんが手を握ってるのを見て、急停止。
「ととのさん、えっとその方は?」
「えっとこの前オーデションで知り合った田中さん」
「よろしく。君の事は知ってるよ。現役子高生なんだよね? いいね若いって、すごく眩しいよ」
流石は田中さん。爽やかだ。でもなんか宮ちゃんはポケーとしてる。ああ、なのに格好いい田中さんに見惚れてるんだな。わかるわかる。どう考えても、田中さんにモテるタイプだもんね。宮ちゃんは完全に男にモテるタイプのの子だから二人が並ぶとある意味お似合いだよね。
田中さんが王子様で、宮ちゃんがお姫様に見える。わたしは……さしずめモブである。通行人Aとかだよ。いやほんとう……
「そうなんですか、オーデションで……私は篠塚宮です。よろしくおねがいします」
「かしこまらなくてもいいよ。気さくに友人として接してくれてほしいな」
「はい」
宮ちゃんが手を差し出したから、それに答える様に、田中さんは私から手を離して宮ちゃんの手をにぎる。
(ヤバい……比べられないかな?)
なんかそんな不安が……だって宮ちゃんの手……めっちゃキレイだし、スベスベしてるし……なんかちょっと暖かいのだ。しかも収まりいい。指先まで綺麗な手をしてる。
それに比べて私の手はかさかさだし、骨ばってるし……なんか指長いんだよね。キレイに長いならいいよ。でも骨ばってるから、キレイじゃない。握っても気持ちよくなんてない。
まあ當然、田中さんはそんな事を口になんてしないけど……キャ特有の自己嫌悪がね。
「ととのさん、私頑張りました」
「うん。うまく出來たのなら、よかったね」
「トトのさん、私、頑張りました」
「うん?」
なんで同じこと二回言ったの? それにさっさと田中さんと握った手は離したみたいだ。まあ握手なんてそんな長くするものでもないし、こんなものだと思うけど。なんか宮ちゃんは私に期待してる様な……えーと頑張ったんだから……褒めてほしいとか?
宮ちゃんは近づいてちょっと頭を寄せてきてる。これを加味して、私は彼の頭に手を置いた。
「よしよし、偉い……ね」
「はい」
なんか満足してくれたようだ。よかった。
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