《聲の神に顔はいらない。》388 運命の日 23

「ポッキーゲームとはそれはまあ……」

なんですか先生、その私と靜川秋華を見比べれる視線は。確かにある意味でそれはと野獣……いや自分でも野獣はどうかと思う。だからここはブスに……いや、余計に傷つくな。

確かに端から見たら私と靜川秋華じゃと野獣だよ。もうそれでいいですよ。

「先生もどうですか? ポッキーゲーム」

そう言って靜川秋華の奴がからかう様にそう言って取り出したお菓子の端を咥えて先生の方へと差し出した。    「ん? ん?」とやってる。その姿を配信でもしたら、多分発狂する男どもが大量発生しそうだ。視點はもちろん一人稱でね。

そしたらあたかもこの靜川秋華が自分自にポッキーを口に咥えて差し出してくれてるみたいに見えるはず……絶対に破壊力高い。絶対にバズるよね。でもそこは先生だった。

「そんな、自分にはそんな恐れ多いこと出來ませんよ」

「ははっ、流石先生、出來てるな。なら俺が請け負うかな」

「あっ、ごめんなさい、すでに食べました」

なんかオーデションをやってる扉の方から柄の悪そうな……というか、サングラスかけて、真っ白なコートを肩にかけて、更に髪はオールバックという場違いな人がこっちに來てた。

私は自然と、その人と距離を取るよ。だって あんな人の近くには居なくない。そう思うのは生の自己防衛本能であって、私が臆病とかそういうことじゃない。

なのに、靜川秋華はよくもまあ、あんな平然としてられる。流石は今の聲優業界の頂點に立つ。セクハラまがいの事をされてもうまくわしてる。

「ならもう一回。まだありそうだし」

「すみません、が乾いちゃったんです」

そんなじでさっきまで無限にぱくついてそうなお菓子をとっととしまう。そして本郷さんがちょうどよくお茶をもってきた。ポッドにはお湯がってるし緑茶もあるけど、紅茶もパックで用意してあって、自分で調整できるみたい。

「そうか……ならまあ仕方ない。あんまりはしゃいで怪我とかはしないようにしろよ」

「はい」

そう言って柄の悪いその人はドカドカとオーデションしてる部屋の方へと消えていく。武雄スタジオも凄いスタッフを抱えてるね。あれは仕事をする格好ではないと思うんだけど……

「なんか凄い人でしたね……」

はっきり言って場違い過ぎてヤクザとかの事務所と場所を間違えてるんでは? って思う。その思いがつい口に出た訳だけど……

「ああ、あれがここの社長だよ」

「……はい?」

なんだろう、まだ耳が遠くなるには早いはずだけど、なんか先生の言葉が聞き取りづらかった。

「いや、だから彼がこのスタジオの社長で今回のオーデションしてるアニメの監督だよ」

「………………ええええええええええええええええええ!?」

「どうしたぁ!!」

私のこれまでで一番の絶に再び柄の悪い……いや、このスタジオの社長が顔を出した。

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