《終末デイズ〜終末まで殘り24時間〜》椎名 蒼の章:3
空は赤く染まっている。
紅く煌めく球を中心としたその空は終末を告げるもののはずなのに、どこがしく見える。
紅くしい空を背にけて、鳶は鳴きながら優雅に飛んでいた。
「あ〜お〜い〜!何してるの?」
頭の上から憎たらしい顔と一生聞きたくなかった聲が聞こえる。
「どうして紅菜がここにいるのよ?」
岡本紅菜。
私の憧れであり、憎悪の対象。
自分勝手な考えなのは分かっている。
それでもどこか裏切られた気がするのだ。
「別に?蒼がいると思ったから來ただけだけど...?」
五月蝿い。
そんな綺麗な友なんてある筈ないのに。
「...あ!防持ってきてるんだ。やっぱりまだまだ剣道続けるんだね!」
小賢しい。
自分勝手な憶測をするな。
「どうする?私と一本打ち合う?」
黙れ。
ただ自分の力を誇示したいだけだろ。
「どうしたの蒼?なんか元気ないよ?」
うるさい。うるさい。うるさい。
ギリギリと歯が軋む音が口から脳に響き渡る。
「私...なにかあなたに嫌なことした?」
私の中で何かが決壊した。
それは思い出でも、憎悪でもない。
正なんて全く分からない。
ただ"何か"が朽ち果て、弾けたのだ
「いいよ...」
「へ...?」
「その試合...けて立つよ」
私は竹刀袋から竹刀を一本取り出して紅菜に突きつける。
証明してやる。
本當に強いのは私だと。
これは宣戦布告だ。
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