薄暗い部屋であのと二人っきりになってからすでに30分が経った。この時間ずっと無言で過ごしてしまっている。

もちろんそれは俺が貞だからリードをすることができないのもあるが・・・それ以上に彼の過去を知ってしまったことが俺の心の中の何かを抑制させていたのだ。

「・・・・・・・・・」

「あ、あの〜・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「「・・・・・・・・・」」

気、気まずい。

え？なんで？

なんでこの子こんなにも無口なの？

カウンターの男にはあんなにも優しくしていたのに二人っきりになった瞬間急にこれだよ？

何？俺って嫌われてるの？

・・・・・・いや、嫌って同然か。

俺は。いや、俺たちはこの子に男の恐怖トラウマを植え付けてしまったのだから。唯一優しくしてくれるあの男でさえも彼を売るのだから。

だからこそ気まずい。

彼はこの部屋の意味を知っている。

妖しく照らすショッキングピンクの照明も、に熱を與える甘いお香の匂いも、無駄に大きいこのベッドも。

その全ての意味を知っているのだから。

そんなことを考えているとは急に白いワンピースをいだのだ。勿論それは彼が唯一著ていた服でそれをいだということは。當然何も著ていないというわけで。

「っっっ！！！？？」

勿論俺は困した。

だって急にぎ始めるんだから。

そしてそんな俺をよそにはベッドに仰向けに寢て「來い」と言わんばかりの目で僕を見據えて、両腕を僕にばした。その貫祿は完全に娼婦のそれだ。

「ぁぁぁっっっ！！？？」

困は混へと変わり、俺はすぐにが著ていたワンピースを鷲摑みにしてにぶん投げた。

「ば、ばかやろう！の子がそんなことをしちゃいけないだろうが！？」

ついつい説教をしてしまう俺をワンピースを被ったは首を傾げながら見つめた。

「ぁ、ぁかやおぉう・・・ぉ、ぉ、ぉんにぁの・・・？」

その言葉は拙い。まるで子の・・・。

「ま、待てよ。まさか・・・」

そこで俺は一つの結論にたどり著く。

彼が俺とあの男に言葉をわさなかった理由。

彼は決して俺達を。

男共を嫌っていたわけではなかったのだ。

「お前、喋れないのか？」

彼はただただ首をかしげることしか出來なかった。