《終末デイズ〜終末まで殘り24時間〜》後藤 慎二の章:7
そう考えるとより一層のこれまでの生き方がより一層慘めに思えた。
彼は何一つとして知らなかったのだ。
人の優しさも。
男の恐怖も。
自分の慘めさを。
自分がどれほど悲しい存在なのかを。
何も、どれ一つとして知らなかったのだ。
だから俺は、を抱きしめた。
熱く、熱く、ただただ厚く・・。
己ののためではなく、にというものを教えるために。
今のの表なんて一切分からない。
もしかしたら先ほどまでの無用ヅラかもしれない。
もしかしたら満面の笑みを浮かべているのかもしれない。
もしかしたら恐怖に顔を歪ませているのかもしれない。
けれどもそんなことをいちいち考えていられるほど俺は冷靜ではなかった。
やっと俺が自分を取り戻し平靜を取り繕ったのにはかなりの時間が経った後だった。
そして俺は考えた。
この慘めなを救うには。
どうにかして償うには。
何をするべきなのか。
その答えはすぐに出てきた。
「おい、お前、外の世界を見たくないか?」
はまたも首だけを傾げた。
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