《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》僕の歌姫 8
優輝くんはその後もずっと、わたしが潰されないように守ってくれて、電車が揺れる度に大丈夫?って気遣ってくれた。
つかまってな
って言ってくれたけど、なんか躊躇してしまってつかまれずにいたら、次の瞬間大きく揺れてよろけてしまったわたしに
「ほらもぉ」
って、わたしの手を持ち、優輝くんの腰の辺りに持ってかれて
「ここつかまってな」
ってつかまされた。
ひと駅ごとにサラリーマンたちがどっと降りて行き、電車はだいぶ空いた。
もう次は優輝くんが降りる駅だ。
「明日いいベースに出會えるといいね」
と、優輝くんが言う
「うん。すごい楽しみ。」
まだ見ぬ相棒に思いを馳せて言った。
「ベース弾きながら歌うの子とか、絶対かっこいいと僕は思う」
急に真剣に優輝くんが言った。
「えっ?いや、だから歌はね、吉井先輩みたいなルックスと歌の上手さを兼ね添えた人が歌うべきであってね、わたしはベースに徹したいと思ってるんだってば...」
って言ったら
「ルックスと歌の上手さ?
兼ね添えてるじゃん、來蘭ちゃん!
ほんとに自覚ないの?」
と笑った。
「まぁいいや、小田原まで長いだろ?僕の曲、退屈しのぎでいいから聞いてよ!
じゃあまた來週ね、來蘭ちゃん」
と言って優輝くんは降りて行った。
1人になった車で、わたしはイヤフォンを付けて、さっき教えてもらった優輝くんの作った曲がアップされてるところにアクセスして、彼の曲を聞き始めた。
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