《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》蓮との出會い 6

〈來蘭side〉

ざわつく心を抱えたまま、家に帰った。

案の定、加奈は心配して起きて待っていてくれた。時計の針は12時を回っていた。

様子がおかしいわたしに加奈はすぐに気がついた。

「どうしたの?なんかあった?」

「...あった...」

加奈はハチミツをれたホットミルクを2つ、お揃いのマグカップにれて、持ってきてくれた。

「それで? なにがあったの?話してごらん?」

優しく聞く加奈に、わたしは今日出會った蓮のことを話し始めた。

ひと通り話し終わると、加奈は深いため息をついた。

「そんな人に出會ってしまったのか...」

ラグの上にペタんと座っていたわたしを、ソファに座っていた加奈が、ソファとわたしの間に降りて來て、後ろから抱きしめられた。

「分からなくはないよ...同じ痛みを抱えている者同士、その痛みを分かち合えるような気になるその気持ちはね...

それをなのかと思ってしまい易いけど、多分それは違うと思う」

「違うの?」

「それをだと思い込んで始まった関係は、お互いの傷を舐め合うばかりになる」

「......」

「狹い世界で2人で抱き合って、お互いばかりを見つめあっているのと、広い世界の先に2人が見えてる、目指すべき場所は同じで、手を取り合ってそこに一緒に歩んで行くのと、どっちがいい?」

その加奈の言葉にハッとする...

「それ、そうちゃんが言ってたやつだ...」

「青木が?」

「抱きしめて、見つめ合っての言葉を囁き合ってるだけじゃ未來は見えない、お互いに見えてるが同じならば、一緒に歩いて行ける。そう言われたことがある」

「さすが青木だな...

そんな言葉をくれた青木を裏切りたくないって思って、その人のkissを拒んだんでしょ?もうそれが答えじゃない?」

あぁそうかと、ぐちゃぐちゃだったが、たちまち整ってゆく...

だけど蓮を、やっぱり蓮を救いたい...

「わたしは、そうちゃんや加奈に救い出してもらったけど、彼はまだ暗闇の中に居る...救い出してあげたいと思う...

今度の土曜日のライブを見に來てって言ったんだ。気が向いたらね、とか言われたから來るか分からないけど、わたしは歌で彼を救いたい!」

「來蘭なら出來る、いや、それは來蘭にしか出來ないよ。彼のみならず、來蘭は歌でこれから沢山の人を救って行く使命を擔っているのだから...」

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