《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》メジャーデビューへ 7

〈紫音side〉

食堂で、奏太の母親である小児病棟の看護師、佐野春子さんに來蘭を預けたのはいいが、來蘭のことが心配で、午後の仕事はずっと上の空だった。

意図はあった。

病に立ち向かう純粋なあの子達と過ごせば、來蘭の疲弊してしまった心がし和らぐんじゃないかと...

午後のリハビリメニューがすべて終了し、リハビリルームを片付け、戸締りをして、來蘭を迎えに小児病棟へと向かった。

エレベーターが小児病棟のある7階に著き、扉が開いた途端に、來蘭の歌聲とギターの音が耳に飛び込んできた。

歌聲が聞こえて來る院學級の部屋を覗くと、そこには、歌に聞きる子供たちに囲まれながら、あぐらをかいてギターを抱え、のびのびと歌う來蘭の姿があった。

しばらく俺も、廊下で來蘭の歌に耳を傾けていた...

このままあいつをさらって逃げて、2人きり誰も知らない遠くの街にでも行ってしまおうかと思ってしまう...

でもそれは違うな...

あの子供たちの顔を見たら分かる。

來蘭...お前の歌聲は、人の心をこれだけかす力があるんだ...

「あの歌聲を多くの人に屆けないと...って強く思い過ぎて、々先走り過ぎたな、俺...

大切なものを、握り潰してしまうところだった...」

いつの間にか後ろに居た瀬名が呟いた。

「來蘭ちゃんを救ってくれてありがとう紫音...

咲のことが頭をよぎって...俺...怖かった...」

膝から崩れ落ち、瀬名は泣いた。

俺は瀬名の前にしゃがむと

「今度は救えて良かった..來蘭を救えたことで、俺もやっと背負っていた十字架を降ろせそうだよ...

來蘭の歌聲を、Re Lightの音楽を、どうか瀬名の手で多くの人のもとに屆けてやってくれ。

ただし、來蘭に無理だけはさせないでやってくれよ?

それと...

來蘭とアイツだけは離したらダメだ」

「お前が居ないと咲がダメだったようにな...」

「いや、むしろ逆だよ...」

と言ったその時に、エレベーターの扉が開いた。

奏太を先頭に、加奈、介、優輝が降りて來る。

來蘭の聲が耳にった奏太は、俺と瀬名のことなど目にもらず部屋に駆けると、一直線に來蘭の元へと向かい、ギターを奪い、來蘭を抱きしめた。

「俺の方が、咲が居ないとダメだったんだよ...」

 

    人が読んでいる<一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください